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浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS、アルバムレコ発ツアーがスタート

最新アルバム『Sugar』を携えた浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSの全国ツアー『Sugar Days Tour 2018』が3月16日(金)、千葉LOOKにて初日を迎えた。
3月16日(金)@千葉LOOK (okmusic UP's)

春の冷たい雨が降ったこの日の千葉市。その市街地の一角にある老舗のライヴハウス・LOOKにおいて、ホットで、ヒューマンな温もりもあって、それでいて最高にクールなロックンロールが放たれた。浅井健一&THE INTERCHANGE KILLSが全国を駆け巡る『Sugar Days Tour 2018』がここでスタートしたのである。

「ハロー、千葉エンジェルス! レッツ・パーティー!」

ベンジーがそう叫び、バンドがフルスロットルでたたみかける。冒頭からアッパーなロック・ナンバーの連射で、その世界を屈強なリズム隊が増幅させていく。ビートがスリリングなまんま次々と連なっていく、これぞベンジーのロックンロールのダイナミズムだ。メンバー間のバランスが最高値にあるのは最新アルバム『Sugar』から感じられたが、ライヴの場ではそれがいっそう顕著である。ドラムスの小林瞳、それにベースの中尾憲太郎。いまベンジーがロックンロールを叫ぶのに、最高の仲間たちだ。

セットリストはもちろんこの2nd作『Sugar』がメイン。ベンジーはリリース時の取材で、このタイトルについて「このアルバムが何回も聴きたくなるように。麻薬のように……という意味も半分あるかな」と語っていたが、その通り、今夜は『Sugar』の虜になっていると思われるオーディエンスがかなりの割合で見受けられた。また、このアルバムの楽曲は、たとえば強く生きることを唄った「Ginger Shaker」、愛することの大切さを込めた「Beautiful Death」など、どこか人生にまつわるものが目立つ。もっともこうしたテーマは今までもベンジーが唄ってきたことではあるが、それらが悲劇的な何かや現実の冷たさを思わせるのではなく、むしろ優しさやあたたかみ、そして希望的な感覚を強くもたらしてくれているのは現在の彼を示していると思う。アルバムで最後に配された「すぐそば」もそうした曲のひとつだ。

……と、こんなふうに感じたのは、このツアーではベンジーが作ってきたさまざまな時代の歌も唄われるからである。それらはBLANKEY JET CITYのレパートリーを筆頭に、やはり彼のロックンロール・サイドを強く見せるものが多く、たとえば「20代のベンジーはこんなことまで唄ってたんだよな」とか「これは大人になってからじゃないと叫べないロックだよな!」等々、さまざまな感情を湧き立たせてくれる。中にはリアレンジされた曲もあるので、古い歌が新しいイメージをもたらしてくれることもあり。そしてそうした事実のひとつひとつに、ベンジーがずっとロックンロールし続けていること、それを今もって体感できることの喜びを覚える次第だ。

なお、そんな今のベンジーが感じられることのひとつにはMCもある。彼と言えばライヴ中にはほとんど話すことなく演奏に立ち向かってきた印象が強いが、実はこのところはなぜか「ちょっとおしゃべりタイムね」と言って、メンバーや観客と言葉を交わすシーンが多い。この夜はフロアからの「ベンジー、千葉、好き?」という問いかけに「千葉、大好きだよ」「俺は千葉と言えばマックスコーヒーだな。(味が)甘いよな」なんて話してくれて、こちらの心がほだされる場面もあった。これも今のベンジーのナチュラルなあり方なのだろう。

ライヴは最後の最後まで「うわ、この曲やるんだ?」「この歌でこう来るか!」の連続。中にはバンドの音が豊かな広がりを見せる瞬間もあり、そのすべてがベンジーのロックンロール人生を凝縮したような時間にさえ思えた。こうして3人は一気に突っ走り、あまりに切実な、それでいて心が開放される空間は熱いまま、ツアー初日の終演を迎えたのである。後に残った心の高ぶりとほのかな熱気とが、本当に心地いい。会場を出て外気に触れると、冷たかった雨はほとんどあがっていた。

『Sugar Days Tour 2018』はこの春、こうして全国のライヴハウスを廻っていく。その旅はゴールデンウィークの後半には大阪と名古屋にたどり着き、5月12日には東京の新木場STUDIO COASTで千秋楽を迎える予定だ。このバンドが奏でるロックンロールを、そしてベンジーが今唄おうとしている歌を、ぜひ体感してほしい。そこで見える希望の光は、きっとポジティヴな何かをあなたの心に灯すはずである。
浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS『Sugar Days Tour 2018』
※終了分は割愛

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