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『ムー』編集長に聞いた「フェイクニュース」「オカルト」「超能力」のこと(1)

「フェイクニュース」が問題となり、情報の確度に対して世の中全体が敏感になっている今、独特の存在感を発揮しているのが、1979年に創刊された雑誌『月刊ムー』(学研プラス刊、以下『ムー』)だ。

「日本最長寿のオカルト雑誌」とも称されるこの雑誌、扱うネタにはUFOから超能力、怪奇現象や陰謀論まで、一般的に「眉唾」とされるものが多々ある。

こうした情報を『ムー』はどのようなスタンスで発信しているのか。編集長の三上丈晴氏にお話をうかがった。

(インタビュー・記事/山田洋介)

■『“UFOだ”と騒ぐだけではダメ』超常現象への『ムー』のスタンス

――『月刊ムー』は来年創刊40周年を迎える歴史ある雑誌です。表紙には「世界の不思議に挑戦するスーパーミステリーマガジン」とありますが、このテーマは創刊当時からのものなのでしょうか。

三上:そうですね。「ミステリー」というと推理小説のイメージがありますが、そちらのいわゆる「ミステリ」ではなく、「ノンフィクション・ミステリー」を扱うというのは創刊当時から変わっていません。

表紙

――創刊当時から基本的なスタイルは変わっていない。

三上:スタートは学年誌です。今は休刊してしまいましたが、学研では『科学と学習』という雑誌をやっていて、小学生から『1年の科学』『1年の学習』『2年の科学』『2年の学習』と。それが6年生まであって、その後に中学コース、高校コースがあった。

小学生のうちは学校の勉強に紐づいたコンテンツがほとんどなのですが、中学、高校になると、芸能やスポーツなど、学校の指導要領に関すること以外の記事も掲載していたんです。その一環で「ミステリーゾーン」「ノストラダムスの大予言」といったものを扱った読み物を載せたらすごく受けた。

折しも世の中が好景気で浮かれている時期で、雑誌の創刊ラッシュでした。じゃあ学研でも雑誌を作ろうとなった時に、アンケートでダントツに受けがよかったのがこうしたテーマだった。「ならばそのまま雑誌にしてしまえ」ということで、高校コースの編集部が中心になって1979年に創刊されたのが『ムー』なんです。今もある「読者ページ」などは、学年誌だった頃の名残といえるかもしれません。

――1970年代といえばオカルトブームが世の中を席巻した時期です。

三上:「木曜スペシャル」でやっていた矢追純一さんの「UFOスペシャル」ですとか、ユリ・ゲラー来日だとか、あるいは心霊写真を誰かが学校に持ってきたりとか、超常現象的なものが流行っていましたね。今のようにメディアがコンプライアンスコードでがんじがらめになっていなくて、ある程度自由にできたのが大きかったのでしょうが。

ただ、『ムー』はそうしたブームの中で順風満帆というわけではなくて、最初のうちはなかなか部数が伸びなかったんです。それで、創刊から1年ほど経った頃にリニューアルしようということになった。当時は中高生が読者ということで、アニメや漫画といった直接ノンフィクションではない部分のミステリーも扱っていたのですが、それらを全部切り捨てて、ノンフィクションの読み物中心でいこうと。

鉄道がわかりやすいと思いますが、マニアの世界というのは小学生が大学生レベルの専門誌を軽く暗記してしまうような世界です。『ムー』もやはりマニア向けの雑誌ですから、難しい漢字にはルビをふるにしても、内容をあえて中高生向けに作る必要はないだろうと考えたんです。その方向でリニューアルしたらぐっと数字が伸びました。その形が今に続いています。

表紙

――この時期、同様のテーマを扱う雑誌が何誌か発行されていますが、現在も発行されているのは『ムー』だけです。生き残っている理由についてどのようにお考えですか?

三上:続けていくのが難しいジャンルだとは思います。ひと言でいって「怪しい世界」ですからね。

作り手側のスタンスは全て誌面に出ます。「怪しい世界」を作り手側が茶化すようなスタンスになると、それは誌面に出て読者は白けてしまう。かといって、「これは本物だ!」と押してくるような作りになると、それはそれで読者は引いてしまうんです。「危ない雑誌だな」と(笑)。

――適度な距離感が大事なんですね。

三上:作り手には多少懐疑的なスタンスは必要だと思います。たとえばUFOが出たという事件があったとして「あれはUFOだ」と騒ぐだけではダメで、いろいろな可能性をまずは検証してみる。

あれもちがう、これも違う、どうしてもわからない部分があると。そうなった時にはじめて、仮説として「UFOなんじゃないか」という意見を提示するわけです。

(後編につづく)

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