「50平米未満」のマンション購入、税制、融資、どんな落とし穴がある?

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「50平米未満」のマンション購入、税制、融資、どんな落とし穴があ

晩婚化、未婚率・離婚率の上昇、高齢化などさまざまな要因で、単身世帯が増加している。不動産流通経営協会(FRK)によると、ひとり住まいの住宅購入については、「50m2未満」という住宅の面積がキーワードになるという。どういうことだろうか、詳しく見ていこう。【今週の住活トピック】

「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査(首都圏・関西圏・中部圏)」を公表/不動産流通経営協会(FRK)

立地の利便性が重視される「ひとり住まい」の住宅購入

「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査」によると、過去5年以内に三大都市圏で住宅購入を検討/購入した人のうち、住宅の購入後に「単身」で住む予定があった人は、検討者で21.3%、購入者で10.8%だった。さらに、「50m2未満の物件」について、どの程度の人が単身で検討/購入したかをみると、検討者で 9.4%、購入者で3.2%だった。

この結果についてFRKは、「50m2未満の物件購入ニーズは約1割の人にあるものの、実際に購入しているのは購入者全体の約3%と、実際のニーズに対して、適切な住宅供給ができていない可能性があるとみられる」と分析している。

また、50m2未満の物件を検討または実際に購入した人には、住まい選びの重視点に特徴が見られる。

調査結果では、50m2未満検討者が検討時に重視していたことでは、「路線・駅やエリア」が8割超と高く、「最寄り駅からの時間」「通勤・通学時間」などアクセスや立地面を挙げる人が 50m2未満非検討者に比べて多い。さらに、50m2未満購入者を見ると、50m2以上購入者に比べてアクセスや立地面を重視し、間取りや広さを妥協する傾向もうかがえる。【画像1】検討者・購入者がそれぞれ重視していたこと(出典/不動産流通経営協会「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査(首都圏・関西圏・中部圏)」より抜粋転載)

【画像1】検討者・購入者がそれぞれ重視していたこと(出典/不動産流通経営協会「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査(首都圏・関西圏・中部圏)」より抜粋転載)

では、50m2未満の物件を検討/購入しなかったのは、どういった理由からだろう?

調査結果の「50m2未満の物件を検討しなかった理由」を見ると、「暮らし方を考えると、自分には狭すぎるので」が最も多い(画像2)。しかし、注目したいのは、50m2以上を実際に購入した人が2番目に多く挙げた理由、「住宅ローン控除の適用外だから」だ。【画像2】50m2未満の物件を検討しなかった理由(出典/不動産流通経営協会「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査(首都圏・関西圏・中部圏)」より転載)

【画像2】50m2未満の物件を検討しなかった理由(出典/不動産流通経営協会「『ひとり住まい』の持ち家ニーズ調査(首都圏・関西圏・中部圏)」より転載)

住宅ローン控除などの減税には、登記簿面積50m2以上の適用条件

「住宅ローン控除」とは、住宅ローンの年末残高の1%を10年間にわたって所得税などから控除するというもの。かなりの額が納めた税金から戻ってくるので、利用する人は多い。この住宅ローン控除を受けられる条件として、「住宅の床面積が50m2以上」というものがある。

政府は、「豊かな住生活が実現するため」として、住宅の面積を広くしようと誘導してきた。そのため、マイホーム取得を促進する減税などの適用条件として、住宅の面積を50m2以上に制限している場合が多い。住宅を買うときの減税措置には、ほかにも「登録免許税の税率軽減」もあるが、同様に50m2以上であることが条件となる。

また、住宅を買うときなどに親や祖父母から贈与を受けた場合、一定額の贈与額が非課税になる「住宅取得等資金の非課税制度」の条件でも、住宅の面積を50m2以上としている。このように、税制の優遇措置を考えると、50m2というのが一つのハードルとなっていることが分かる。

注意したいのは、ここで説明した税制上の床面積とは、「登記簿面積」であることだ。マンションの不動産広告で表示される面積は、「専有面積」であることが多い(中古の一部で登記簿面積が記載されていることもある)。マンションの登記簿面積が「内法(うちのり)」、つまり壁の内側だけの面積であるのに対し、専有面積は「壁芯」、つまり壁の厚みの中心線で測る面積なので、壁の厚みが加算されない登記簿面積のほうが小さくなる。

専有面積が50m2だから住宅ローン控除が適用されると思っていたら、登記簿面積は50m2未満だったということもあるので、面積の違いについて正しく理解しておきたい。

※なお、「不動産取得税の軽減制度」と「新築家屋の固定資産税の税額軽減」の適用条件である、床面積50m2以上の床面積は「課税床面積」なので、共用部分の持ち分が加算された面積となる

何を重視するか、住まい選びの優先順位を明確に

さて、利便性の良い立地でかつ広さを求めると、住宅の価格は高くなる。予算内なら問題はないが、予算が足りない場合は、狭くなっても利便性を重視するか、利便性を妥協して広さを重視するかといった、優先順位が決め手になってくる。

住宅ローン控除を受けるためだけに、予算より高い50m2以上の住宅を買ってしまい、重い返済負担を抱え続ける、といったことだけは避けたいものだ。

したがって、「親からの贈与を受けて住宅を購入するので、贈与税の非課税枠を使いたい」とか、「返済に問題はないが、借入金が多いので減税効果を最大限に活用したい」など、減税効果を考えたうえで、50m2以上にするなどの判断をするとよいだろう。

一方、住宅ローンを利用する場合にも、住宅の広さは影響するのだろうか?

住宅金融支援機構が民間金融機関と提携する、全期間固定型の【フラット35】を借りる場合は、マンションなら30m2以上、一戸建てなら70m2以上の床面積で、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅という条件がある。こちらは専有面積30m2あれば、借りることができる。

銀行ローンなどの民間金融機関もそれぞれ独自の基準があるので、住宅の面積の条件の有無については、それぞれ確認が必要だ。

税金を納める身としては、減税はできるだけ活用したいと思う。だからといって、減税目的だけで重視する優先順位を変える必要はないだろう。避けたいのは、「知らなかったことを買った後に悔やむこと」だ。住まい選びの際には、その準備として、こうした知識も身につけておきたい。

なお、住宅の面積以外にも適用条件はあるので、必ずそれぞれ確認してほしい。
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