安全?安全じゃない?「仮想通貨」の真実とは

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『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』や『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、「仮想通貨とは何か?」についてお話しいただきます。

「仮想通貨とは何か?」

こんにちは。俣野成敏です。

2017年12月。仮想通貨のビットコインが、一時1BTC(ビットコインの単位)200万円を超える場面がありました。11月に1BTCが初めて100万円を超えてから、わずか十数日後のことです。これを見た多くの人が「すごい、仮想通貨は儲かるぞ!」と思い込んだのもムリはありません。

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仮想通貨は、Suicaやnanacoといった電子マネーとよく比較されますが、実はそれらとは根本的に違います。現在、使われている電子マネーは、基本的に「現金を支払いやすく形を変えたもの」です。つまり「形は変わっても、同じ“日本円”“である」、ということに変わりはありません。一方、仮想通貨の定義とは、金融庁のHPによると「電子的に記録し移転ができる、不特定多数に対して使える財産的価値のこと」だとあります。

仮想通貨とは、文字通り新しい“通貨”です。個人的には、「仮想通貨のような革新的なサービスが世に普及するのは望ましいことだ」と考えています。ただし、仮想通貨と付き合っていくに際して、知っておくべきことがあります。それは、「仮想通貨はまだ価値が定まっていない」ということです。

実際、ビットコインは現在も激しい乱高下を繰り返しており、わずか1ヶ月余りのうちに、逆に一時100万円を割る場面も見られました。この価格の上下幅のことを「ボラティリティ」と言います。仮想通貨のようにまだ市場が小さく、参入者が少ない状態では、些細なことにも市場は過敏に反応します。「つられ買い」「つられ売り」が大きな影響を与え、価格も操作しやすいのです。

このように、ボラティリティが大きいことが、仮想通貨の特徴の1つとなっています。ですから「仮想通貨で儲けよう」などと思って取引を始めたりすれば、ボラティリティに巻き込まれて気が気ではなくなるでしょう。価格が気になって、日常生活にも支障をきたすようになるに違いありません。

仮想通貨に対する「国の対応」

だったら、「やはり仮想通貨のような得体の知れないものには、触らないのが一番なのか?」と言うと、それも違います。形は変わっていくかもしれませんが、私は以後、仮想通貨が必ず私たちにとって身近な存在になると確信しています。この新しい可能性を無視する、というのも惜しい話です。大切なのは、仮想通貨がどんなモノなのかをよく知り、その活かし方を考えることではないでしょうか。

2017年4月より、改正資金決済法が執行され、国は仮想通貨を決済手段の1つとして取り扱うことになりました。また同年7月からは、仮想通貨購入の際に消費税がかからなくなりました。つまり、消費税とはモノに課税されるため、「(モノ+消費税)←支払い(仮想通貨+消費税)」では二重課税になってしまうからです。

国が消費税の課税をやめた背景には、別の目的があります。実は、仮想通貨に所得税をかけるためです。同年9月、国税庁より「仮想通貨は雑所得の扱いとなる」ことが正式に発表されました。現状、仮想通貨取引によって得た利益は雑所得の扱いとなり、所得税だけで最高で45%もの税金が課されることになります。

仮想通貨との付き合い方

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国は「税金をかけたいがために、仮想通貨を決済手段として認めた」、とも言えるのかもしれません。2017年12月には、さらに「仮想通貨から別の仮想通貨に両替する際」や「仮想通貨でモノを購入する際」にも利益確定とみなされ、差益が出た分に関して課税対象となることが明らかになっています。

よって万一、深く考えもせずに「増えたから使おう」「日本円に戻そう」などとやってしまうと、後で大変なことになるでしょう。現在、「仮想通貨で利益が出た」という人の多くが、単純に残高だけを見て「こんなに増えた」と喜んでいる状態です。その後のことまで考えている人は、多くはありません。もしかしたら今後、より仮想通貨に相応しい課税方法が出てくるかもしれませんが、今は国にとっても「手探り状態」なのです。

仮想通貨はしばらくの間、こうした混乱が続くものと思われます。とはいえ、国ですら「仮想通貨を決済手段として認めざるを得なかった」というのは、すごいことです。これこそまさに、仮想通貨の革新性を表していると言っても過言ではありません。

仮想通貨とは、いわば「未来の通貨」とも言えるものです。ですから、どんなものなのかを調べたり、少額で試してみるのも勉強になるでしょう。ただし先にもお伝えした通り、【大事なのは知ること】であって、くれぐれも仮想通貨にのめり込んで人生を振り回されたりすることのないよう、気をつけてください。もし、より詳しくお知りになりたい方がいましたら、拙著がお役に立つかもしれません。

次回は、「今、なぜ仮想通貨に注目すべきなのか?」「何がそれほど革新的なのか?」などについてお話したいと思います。

俣野成敏(またの・なるとし)

30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、日本経済新聞出版社からシリーズ2作品目となる『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』を上梓。著作累計は39万部。2012年に独立、フランチャイズ2業態5店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、『日本IFP協会公認マネースクール(IMS)』を共催。ビジネス誌の掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』1位に2年連続で選出されている。一般社団法人日本IFP協会金融教育研究室顧問。

『トップ1%の人だけが知っている「仮想通貨の真実」』

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俣野成敏 公式サイト

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