”さいきょうのヒーロー”に憧れる「残念少女」の殺戮劇!? 問答無用の痛快アクション『Bleed』

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西暦20XX年、超能力者、ドラゴン、ロボット、芋虫、果てはゲル状のなにかまでもがヒーローとして祀り称えられる黄金時代が到来した。
 
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それから100年後の西暦21XX年。
かつてヒーローと称えられた者達は揃いも揃って堕落。世間も彼らの事を忘れるだけでなく、堕落後もヒーローとして居座り、過去の栄光にすがり続けているため、世代交代も進まずにあった。

”さいきょうのヒーロー”に憧れる少女「Wryn」は、まさに彼ら旧世代のヒーロー達が現役であるがためになりたくてもなれないジレンマに陥っていた。どうすれば、新しいヒーローになれるのか。
おつむが残念な彼女の答えは実にシンプルだった。

「そうだ。昔のヒーロー、全員ぶっ殺しちゃえ♪」

かくして時代を変える為の殺戮の宴が幕を開く!
 
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そんな物騒すぎる物語を描いたアクションゲーム『Bleed』を今回紹介する。

カナダ・トロント在住の個人開発者Ian Cambell氏(BOOTDISK REVOLUTION)によって制作された本作は、2012年にXbox LIVE インディーズゲームとしてXbox 360向けにリリース。翌年にはPC版もCambell氏の個人サイト、ゲーム配信プラットフォーム「Steam」にて配信された。2017年にはPlayStation 4、XboxOneにも移植され、同年12月にはNintendo Switch版もリリースされている。(※いずれも海外のみ)

銃火器とスローモーションで戦う、華麗なるアクションシューティング

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ご紹介の通り、本作でプレイヤーが操作するのがこの「Wryn」と呼ばれる少女だ。
そして、物語の導入部分から明らかな通り、「アホの子」である。タイトル画面でホットコーヒーの隣にストロベリーサンデーを置いて、一緒に飲み食いしていることからも明らかだ。
シャレオツに「アホガール」とでも言っておこう。

しかし、戦闘能力は並外れていて、ピストル(連射機能付き)、ロケットランチャー、更にはカタナと言った武器を巧みに使いこなし、周囲の時間を遅くする「スロータイム」なる特殊能力を持っている。この特技を駆使して、堕落したヒーロー達に天誅喰らわし、肉片一つ残らない程度に惨殺して、22世紀を象徴する新しいヒーローになるのが最終目標だ。物騒極まりないが、おつむの残念な彼女はそれぐらいしか思いつかなかったのだ。多めに見てあげましょう。
 
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ジャンル的にはステージクリア型のアクションシューティングとなる。弾数制限なしの銃火器を乱射して迫りくる敵をバタバタと撃ち落とし、最後に待ち構えるボスの撃破を目指す、80~90年代に盛んになった「ラン&ガン」のスタイルを踏襲している。

ゲームデザイン面にはこれと言って真新しさは無い。
だが、操作系が特殊。Xbox360コントローラでプレイした際のアサインになるが、左スティックで移動、右スティックで射撃、RTボタンでジャンプ、LTボタンで「スロータイム」、他のABXYボタンはほとんど使用しない、いわゆる「ツインスティックシューター」の形式を採用している。
 
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その為、銃火器で攻撃する際には360度自由に狙いを定め、立ち止まる必要もなく、縦横無尽に撃ちまくれるので、非常にテンポ良く攻撃を展開していけるようになっている。
 
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「スロータイム」の能力も特徴の一つ。先述の通り、LTボタンを押している間、Wrynを始めとする全ての動く対象の速度を遅くすることができる。これを用いて敵が目にも止まらぬ速さで放ってきた攻撃を潜り抜け、その隙を突いて攻撃を叩きこむ超人的戦術を展開できる。

しかし、発動の度に専用のゲージを消耗するので、延々と使い続けることはできない。ゲージは自動で回復するものの、空まで使い切ると再度使えるようになるまで数秒待たされるペナルティも課せられるので尚更だ。それゆえに”ここぞ”という時に使う事が重視される。
 
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その分、適切な場面で発動させる癖が身に着けば「蝶のように舞い、蜂のように刺す」の立ち回りができるようになる。ジャンプのアクションと併用すれば、よりそれっぽい動きに。実は本作、最大三回までの空中ジャンプが可能で、その際に移動に用いる左スティックで方向調整をすれば、決めた方向にWrynが流れるように飛んでいくのだ。
 
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上手くスロータイムを絡ませれば、プレイヤー自身が「ゾクッ」としちゃうスタイリッシュな回避を決めれたりも。

こんな特徴的な操作系、反則染みた特殊能力によって、クールでスタイリッシュなアクション(立ち回り)が楽しめる内容にまとまっている。主人公の容姿からは想像も付かないほど、カッコイイ戦いが画面いっぱいに繰り広げられるのである。主人公の容姿からは想像も付かないほどに。

手ごわくしたければ、とことん手ごわくできる懐の広い難易度

「ラン&ガン」のスタイルを忠実に踏襲したステージ構成も大きな見所。総数にして7つと少ないが、文字通りの息つく暇をも与えない戦闘が連続する。
 
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難易度も高い。ダメージ制を採用しているので、敵の攻撃を受けたら即刻ゲームオーバーとまではならないが、ダメージを受けた際に無敵時間が発生しないので、当たり所が悪いと”ガッツリ”削られてしまう。更にダメージを回復するアイテムも用意されていない。特定のポイントを通過すれば回復する救済措置にしても皆無だ。
 
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それもあって、攻撃をしっかり避けることが重視される……のだが。
仮に体力全てを失い、ゲームオーバーになってもやられた直前からリトライが可能。しかも、残機やコンティニュー制限は無し。いくらでもやり直せる。
 
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また、ステージ開始前には四段階の難易度を選べるほか、上位の難易度でなければエンディングが見れない仕掛けも無い。極め付けにステージクリア時に獲得したポイントを消費してWrynの体力、スロータイムの効果時間を伸ばすアップグレードを施せるので、クリア済みのステージでポイントを稼いで可能な限り強化した後、後半のステージに挑むやり方も通用する。
 
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「ラン&ガン」のスタイルを踏襲したアクションゲームという事で、激しい戦闘が連続する構成は伝統に忠実だが、間口に関しては狭くしすぎない配慮が徹底されていて、ヌルく遊ぶも、シビアに遊ぶもプレイヤーの思うがまま。高めの設定ではあるが、そこまで気負う必要もなく楽しめる懐の広さが滲み出たバランスになっている。
 
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なので、クリアするだけならそこまで難しくは無い。しかし、より高いスコアとランクを目指したり、最高難易度の攻略を目指すに当たってはダメージを受けない立ち回りが要求される。全7ステージをリトライ無し、体力継続の条件で挑む「アーケードモード」の場合はなおのこと。懐の広さを出しているだけあって、そんな所もしっかり確保されている。

特に「アーケードモード」は本作のやり込み甲斐の深さを象徴する内容になっているので、本編の「ストーリーモード」に物足りなさを覚えたら、チャレンジしてみて欲しい。
80~90年代の「ラン&ガン」の熱き興奮が呼び起こされるだろう。

さいきょうの新ヒーロー誕生の瞬間を目撃せよ!

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銃火器を用いたアクションも戦略性満点。低い難易度なら初期装備のピストルで全ステージを渡り歩いていけるが、高い難易度になればなるほど、「ロケットランチャー」などの別の武器を敵に応じて使い分ける必要性が増すようにバランスが取られている。

独特の画風で描かれたグラフィックも味わい深い。特に可愛らしい敵達が血と肉片を飛び散らせながら爆発していく様はなかなかに刺激的。漫画的な表現に落ち着かせているので残酷さは薄いが、良くも悪くも昔のヒーロー達を皆殺しにするストーリーの設定を痛感する……かもしれない。
 
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操作の癖が強いのもあり、最初は上手く動かせずに四苦八苦するが、自分のものにしてしまえば極上の爽快感を堪能できるようになる本作。見た目とは裏腹に動きは激しく、熱い「ラン&ガン」を楽しめる内容になっているので、80~90年代のアクションゲームを楽しんだプレイヤーならぜひ、挑戦してみて欲しい良作だ。ぜひ、その目で新ヒーロー誕生の瞬間を目撃しよう。

殺戮本能丸だしなアホガールがヒーローになる瞬間なんて見たくない?
何をおっしゃる。この世は弱肉強食、力を持つものでありゃ誰であろうとヒーローなのだ!
……と、勢いで豪語してみた。意見は十人十色です。

[基本情報]
タイトル: 『Bleed(ブリード)』
制作者:Ian Campbell(BOOTDISK REVOLUTION)
クリア時間: 25分~1時間(※やり込み要素のコンプリートを除く)
難易度:中級~上級者向け
対応OS: PC(Windows、Mac、Linux)、Xbox360(※配信終了)、PlayStation 4(※海外のみ)、Xbox One(※海外のみ)、Nintendo Switch(※海外のみ)
価格: ¥980(PC版)

購入はこちらから
※PC(Windows、Mac、Linux)版

体験版のダウンロードはこちら
http://www.bootdiskrevolution.com/bleed/

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