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メルカリが「R4D」設立で、技術基盤を強化へ――オープンイノベーションの野望はどこまで広がる?

企業・大学研究所と連携し、8つのテーマを攻める

メルカリはこれまでもフリマアプリにAIや機械学習などの技術を活用してきたが、R4Dの発足によりその技術基盤を強化すると同時に、外部の企業・教育機関と共同してさまざまなテクノロジーの社会実装・事業化を目指すとしている。

シニアフェローとしてアーティストのスプツニ子!氏や京都造形芸術大学教授の小笠原治氏が参画していることはもちろん、シャープ・研究開発事業本部、東京大学の川原圭博准教授、筑波大学の落合陽一准教授、慶應義塾大学の村井純教授、京都造形芸術大学のクロステック研究室、東北大学の大関真之准教授という、そうそうたる研究機関との連携も注目を集めた理由の一つだ。

従来の中央集権型の研究所ではなく、最初からネットワーク型の共同研究、オープンイノベーションを意識したスタイルになっている。

「こうした共同研究を通して得た知見は、メルカリや子会社のソウゾウ、メルカリファンドなどによる事業化に止まらず、さまざまな形で社会実装していく」

と語るのは、R4Dオフィサーに就任した木村俊也氏。2017年8月まではミクシィで自然言語処理やレコメンデーションの技術をサービスに応用する仕事に携わっていた。

株式会社メルカリ R4D オフィサー 木村俊也氏

「現時点ではメルカリのアプリで、xR技術を使っているものはない。しかしテックカンパニーを目指すメルカリとしては、xRの研究は欠かせない。これまでゲームやエンタメ領域が注目されがちだったxR技術の利用用途を広げるためにもそれは必要だ。さらに私たちの研究はメルカリアプリという狭い領域に止まることはない」

と、VR、AR、MRなどいわゆる「xR(xリアリティ)」技術のエキスパートとしてR4Dに参画する諸星一行氏も、新しい事業開拓を含めた社会実装に重点を置きたいと言う。

株式会社メルカリ R4D xR リサーチエンジニア 諸星一行氏

発表時には、企業・大学研究所など6機関との連携による8つのテーマが示された。どのような形で共同研究が進められるかは、テーマによってさまざまだ。

例えば、慶應大・村井純研究室を中心とした「ブロックチェーンを用いたトラストフレームワーク」の共同研究では、信頼できるフレームワークを創造するためのルール化・標準化の議論を進め、カンファレンスや論文発表の形でアウトプットしていくことになる。東大の川原圭博研究所とは、「無線給電によるコンセントレス・オフィス」で協業する。

「コンセントでなく無線給電で、携帯端末などを充電できるオフィスを実際に作り、誰もが無線給電の世界を体験できるような形を目指すことになる」(木村氏)

製品が完成してからそれを市場展開するというのではなく、研究開発段階からその原型を示すことで、世の中の関心を高めていくというスタイル。これも社会実装の一つのあり方といえよう。

シャープの研究開発事業本部との「8Kを活用した他拠点コミュニケーション」研究も可能性を期待させるテーマだ。8Kカメラの解像度は、これまでのオフィスでのテレビ会議などを使ったコミュニケーションや、遠隔医療などのメディカルの現場を大きく変えるといわれる。

まずはシャープがハード技術を、メルカリがソフトウェア技術を提供し合い、快適なオフィス環境のモデルを示すことで、8K技術の社会実装を担う。

落合陽一研究室と「画像解析技術」を共同研究

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