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時短制度はもういらない!?――女性に優しい企業・変わらない企業の差

・時間数での評価から時間あたり成果の評価へ

・有休取得率の上昇

・育休復帰、時短復帰の早期化

・兼業などライフスタイルに合わせて働き方を選べる

これらの変化が起き始めているのは、ごく一部。どの企業でも働き方改革は始まったばかりです。上の世代を見ればマッチョで滅私奉公な上司が多いですが、この6つの変化が浸透することによって、徐々に時代は変わります。では、どれくらい経てば私たちが働きやすい時代が来るのでしょうか。

定時を「16時半」に変えた某大手メーカーの秘密

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働き方改革が始まった2017年、ある大手食品メーカーが驚きの施策を展開しました。施策の要点は次の3つです。

・基本的な終業時間は8時15分~16時30分(7時間15分勤務)

・コアタイムなしのフレックスタイム制

・時間有休の取得やリモートワークの承認

白河さんによると、これらは社員の働き方を変える最強の施策とのこと。まず、全社員の終業時間が4時半なら「お先にすみません」と後ろめたい気持ちで帰る必要がなくなります。そして夜に子どもが熱を出したときは、翌日自宅で仕事ができるようリモートワークを申請し、午前中に時間有休を取得。翌朝子どもを病院に連れていき、帰宅後は再び家で仕事。会議にはオンライン上で参加すれば、リスケの必要もありません。

施策実施後、この食品メーカーでは時短制度の適用を辞退する女性社員が続出したとのこと。つまり、ここで初めてワーキングマザーたちが働き方を自分で選べるようになったというわけです。子育てや介護など、それぞれのライフスタイルによって働ける時間は異なります。この施策によって、この食品メーカーの社員たちは「時短を使ってやりくりをしなければならない」という制限から解放されました。

「2人のお子さんを育てながら働く研究職の女性社員にインタビューをしたところ、『仕事でもプライベートでも限界を感じることがなくなった』と聞きました。この施策は、会社のトップがカルチャーを変えるために動き出して実現したとのこと。2020年には7時間勤務を目指しているそうですよ。実質的な賃上げということもあり、社員たちは意欲的に取り組んでいると聞きました」

このように一部の大手企業では様々な施策が練られ、働きやすい時代が着々と近づいています。施策が社内に浸透すれば、一気に働きやすい企業へ変わるでしょう。しかし、多くの企業はまだまだ混乱状態。いつ頃から、日本の企業は変わり始めるのでしょうか。

白河さんによると、実際に多くの企業が変わり始めるのは今年から。「働き方改革」が始まった2017年は、一体何をすればいいのかと右往左往する1年だったと言います。

「昨年様々な場所で『働き方改革』に関する講演をさせていただきました。その結果感じるのは、前向きな企業とそうでない企業で二極化し始めているということです。大切なのは、働き方改革を何のためにやるのかということ。例えば女性活躍ひとつをとっても、今、男性の働き方を変えてまで女性を活躍させたいのかどうか。経営課題に対する向き合い方で、企業はきっぱり二分されると思います」

仕事&育児 両立しやすい企業の見極め方は?

そこで気になるのが、自分が今いる会社が両立しやすい環境に変わるのかどうか、ということ。この先どんな方向に進むのか、見極める方法はあるのでしょうか。

「まずチェックすべきは、トップの動きです。働き方改革やダイバーシティに関するインタビューに積極的に出ているか。メディア等を使って、自ら社外に発信しているか。社内報など社員向けの媒体ではなく、外部で発言しているかどうかが見極めのポイントです」

例えば、経済産業省が選定している「新・ダイバーシティ経営企業100選」。表彰式では、毎年選定された企業のVTRが放映されています。一般的な企業の場合、働きやすい職場づくりを推進した人事部の役員などが出演していますが、熱意のある社長はVTRに自ら出演し、インタビューにも答えているそう。

また、表彰式に登壇するのは企業のトップなのか、代理の出席者なのかも見極めに役立つとのこと。経営者のスケジュール調整は難しいものですが、自分の時間を割いてでも表彰式に出る熱意溢れるトップもいるそうです。大規模な企業の場合、自分の部署にいると会社の進む方向が見えないこともありますが、実は細かいところで社員にも判断ができるのです。

柔軟な未来思考「キャリア・ドリフト」とは?

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企業を見極めた後に見直したいのが、自分のキャリアデザインです。女性は、結婚や出産などのライフイベントによって人生が大きく変わるもの。みなさんのなかにも、「〇歳で結婚」「〇歳までに出産」と決意したけれど、何度も計画を上書き保存している人が大勢いるのではないでしょうか。そんな人に一度試してほしい考え方があります。神戸大学大学院の金井壽宏教授が提唱するキャリア理論、キャリア・ドリフトです。

人生の8割が偶発的な出来事で決まると言われている今、10年・20年・30年先まで細かくプランニングしたりしていても、毎回計画倒れに終わってしまうことがほとんど。キャリア・ドリフトは、偶然の出会いや予期せぬ出来事をチャンスとして柔軟に受け止めるために、あえて状況に流されるままでいることも必要だという考え方。未来を1年単位できっちり決めるのではなく、偶然起きた出来事などを利用して、ステップアップしたり、新たな方向に踏み出したりする柔軟なデザインです。

白河さんは実際に、大学や社会人向けのセミナーでキャリア・ドリフトの実用性を伝えているそう。特に女性は、定期的なキャリアの見直しが必要だと言います。

「IT技術が日を追うごとに進化している現在、10年スパンでの計画は通用しなくなってしまいました。大切なのは、偶発的に発生した人生の荒波に前向きに乗っていく姿勢です。大きな目標やビジョンを決めたら、まずはざっくりとライフキャリアデザインをしてみてください。希望するかどうかは別にして、子育ての可能性もいれて。そしてうまくいかなくなったら、そのたびに作り直す。作っては壊すために作るんです。

改革を進める企業にとって、2018年は実現化の年。現在何の施策も実施していない企業でも、トップが交代すれば突然方向転換する可能性があります。そのまま会社に残って変化を推進するのか、見限って転職するのか。企業も、働く女性たちも二極化する今は、改めて自分の人生設計を作り直すのに向いているのかもしれません。

次回は、実際にキャリアを転換するときにどんな行動をとるべきか。残留と転職、それぞれの生き方や、自分を見つめなおすキャリアの棚卸方法を紹介します。

【参考】

https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8201129.html

白河桃子 著

『後悔しない「産む」×「働く」』

(ポプラ社)

女性の身体・キャリア・産むと働くの両立が、これ1冊で見えてくる!「結婚は?」「子供は?」「仕事は?」選択は自由と言われても、その方法は学校でも家庭でも教わらなかった――。女性とそのパートナーのための仕事・結婚・出産への不安に対して、医療とキャリアの視点から多数のデータやアンケートとともに応える。これから産みたい人、産んで働きたい人、娘を持つ親にも必携の1冊。

取材・文:華井由利奈

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