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デレク&ザ・ドミノズ結成のきっかけとなったライヴ盤の傑作がデラニー&ボニー&フレンズの『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』だ

本作『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』は、エリック・クラプトンのソロデビュー作『エリック・クラプトン』(‘70)、ジョージ・ハリスンのソロデビュー作『オール・シングス・マスト・パス』(’70)、デイブ・メイスンの『アローン・トゥゲザー』(‘70)、ジョー・コッカーの『マッド・ドッグス&イングリッシュメン』(’70)等と参加メンバーがほぼ同じで、デラニー&ボニー&フレンズにクラプトンがゲスト参加したかたちで録音されたイギリスツアー時のライヴ盤である。ライヴならではの臨場感と熱気が十分に感じられるロック史に残るアルバムのひとつである。
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ジョージ・ハリスンと エリック・クラプトン

ザ・バンドが1968年にリリースしたデビュー作『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』はロック史上最高のアルバムの一枚であり、このアルバムに大きな影響を受けたのがブリティッシュロッカーのエリック・クラプトンとジョージ・ハリスンである。ザ・バンドに骨抜きにされたクラプトンはクリームを解散し、スワンプロック志向のブラインドフェイスを結成するものの、メンバー間の軋轢やツアーの疲労もあって、アルバムを1枚リリースしただけで空中分解し、アメリカに渡る。一方、ジョージ・ハリスンも解散寸前のビートルズのストレスから癒やしを求めて、レオン・ラッセルやデラニー&ボニーのメンバーとソロアルバム『オール・シングス・マスト・パス』の制作をスタートする。

ザ・バンドへの加入を打診するものの、あっさりと断られたクラプトンに、ジョージがザ・バンドに負けない本物のロックグループだと紹介したのがデラニー&ボニーだったのである。ジョージはデラニー&ボニーのアルバムをアップルレコードからリリースしようと画策するのだが、契約上の関係でお流れとなり、その代わりというわけではないだろうが、デラニー&ボニーにイギリスツアーの話を持ちかける。快諾したデラニーらは、のちのデレク&ザ・ドミノズのメンバーとなる凄腕のミュージシャンたちを引き連れて渡英、そこにはひと足先にバンドメンバーに収まっていた元トラフィックのデイブ・メイソンもいた。
70sロック界のトレンドとなった スワンプロック

デイブ・メイソンのソロデビュー作『アローン・トゥゲザー』は、ジョージよりも早くデラニー&ボニーと接触して制作されたイギリス初のスワンプロック作品である。デラニーらと一緒にイギリスに戻ったメイソンがレコーディング中の内容をジョージとクラプトンに聴かせたことで、彼らふたりのスワンプロック熱は高まり、デラニー&ボニーらの音楽を生んだアメリカ南部へ想いを馳せるようになる。

デラニー&ボニーがやっている音楽はアメリカ南部のブルース、ゴスペル、カントリーをごった煮にしてロック風味をまぶしたサウンドであり、それはいつしかスワンプロックと呼ばれるようになる。スワンプロックという言葉を最初に使ったのはアトランティックレコードのプロデューサー、ジェリー・ウエスクラーだと言われているが、70年初頭のロックシーンはイギリス、アメリカ、日本を問わず、スワンプロックに大きな注目が集まっていたのである。その中心にいたのがレオン・ラッセルであり、デラニー&ボニーだったのだ。
スワンプロックの立役者、 レオン・ラッセルとデラニー&ボニー

69年、デラニー&ボニーはサザンソウルの名レーベル、スタックスレコードと白人として初めて契約し、デビューアルバム『ホーム』をリリースするものの、あまり売れなかった。そして、黒人ではないことからスタックスを追われることになり、新たにバックバンドとしてフレンズを結成し、エレクトラレコードから『オリジナル・デラニー&ボニー』(‘69)をリリースする。フレンズの構成メンバーは、レオン・ラッセルをはじめ、ボビー・ウイットロック、カール・レイドル(このふたりはデレク&ザ・ドミノズのメンバー)、ドクター・ジョン、ジム・ケルトナーらで、当時のロック界最高の布陣であったと言えるだろう。ジョージやクラプトンはこのアルバムを聴いて、彼らの魅力に取り憑かれるわけであるが、確かに今聴いても当時のスワンプロックの熱さが伝わってくる名盤だと思う。特にレオン・ラッセルのゴスペルライクなピアノは素晴らしく、ジョージが主宰する『バングラデシュのコンサート』(’72)でのレオンの演奏を彷彿させる。
本作『オン・ツアー・ウィズ・エリック・クラプトン』について

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