ソニーのペット型ロボット「aibo」の「かわいさ」とは?ロボットを「かわいい」と思う心理とは?

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ソニーのペット型ロボット「aibo」の「かわいさ」とは?ロボットを「かわいい」と思う心理とは?

リアルすぎるロボットはかえって不気味に感じる?

人工知能は今とても注目される技術のひとつですね。最近では家庭用音声AIアシスタントが流行ったり、企業の受付にロボットが導入されたり、どんどん動きや姿や発する言葉はリアルになっていきます。

しかし、皮肉なことにリアルに近づけば近づくほどに、不気味だと感じる心理が、人間には働くようです。

不気味の谷(uncanny valley)は、ロボット研究者の森政弘氏が提唱した概念です。心理学的に不気味の谷は、人間が自然や超自然的なものに対し、畏怖や畏敬の念をもつこととつながりがあるとされています。人間に似ていない工業用ロボットに対して我々は慣れ親しんでいませんが、顔や腕などを持たせて人間の姿形に似せていくと次第に親しみを感じ、さらにそれがよりリアルになると不気味さを感じると唱えました。

日本の可愛いディフォルメされた人形に対して、外国のリアルな人形が不気味に感じてしまうようなものでしょうか。

そもそも「かわいい」ってどんなもの?赤ちゃんの特徴から考える

「かわいい」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?そこには個人差があるかもしれませんが、世界共通、生物共通のものとして「赤ちゃん」があげられます。動物行動学者のコンラッド・ローレンツによると、かわいい赤ちゃんの特徴は以下となります。
柔らかな肌と毛(髪)
大きな目
ぽっちゃりした頬
小さな鼻
大きくて丸い頭
小さな手足

このような幼い生命は、「かわいさ」によって大人に対して慈愛の感情を芽生えさせ、生きることができるのです。この感覚は、ときには種の壁を超えるほどです。日本人は、こういったディフォルメしたデザインが得意とも言われますね。

ペットロボットには人間が持つ特別な「関係価値」が生まれやすい?

人間というのは、他の生物に比べて外形へのこだわりは十人十色です。

例えば、鳥なら羽の色が鮮やかだとか、動物なら角が大きいとか、特徴的なもので価値が統一化しています。しかし人間は違います。

だからどれだけデフォルメ化したとしても、好みは十人十色かもしれません。しかし、あるドキュメンタリーで視ましたが、先代のペットロボットの「AIBO」も、愛好家の方たちは今でも大切にメンテナンスしながら共に暮らしています。

人間には「客観的価値」とは別に「関係価値」というものがあります。いわゆる「愛着」です。例えば、そこら中に売っているようなペンだとしても、長く付き合えば、その人にとっては”世界にたった一つの”ペンになるのです。

ペットロボットと長く付き合うためには?

長く持っていられるものとして考えてみると、「壊れない」というのは重要なポイントではないでしょうか。

デザインに関してはきっとプロが色々考えてのことだと思いますが、まだまだ「IT家電」は、「白物家電」に比べて複雑な分、壊れやすいところがあります。また操作や運用が複雑すぎると誰もが所有できるわけではなくなってしまいます。
人間がロボットと「関係価値」を深めるためには、
リアルすぎない赤ちゃんフォルムデザイン
長く付き合える頑丈さ
長く付き合える操作のシンプルさ

これらが必要なのではないでしょうか。

(青柳 雅也/心理カウンセラー)

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