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こんなゴーヤーチャンプルー、食べたことなかった

こんなゴーヤーチャンプルー、食べたことなかった

那覇市、県庁前駅の近く。
国際通りから少し入ったところに、知る人ぞ知る名店があるんです。一見BARのようにも見えますし、実際泡盛の種類も豊富ですが、味わうべきは、その本格的な料理。店の名前は「黒うさぎ」です。

「沖縄なのに、黒うさぎ?」と思った人がいたら、鋭い! 黒うさぎは、沖縄ではなく奄美大島の天然記念物として有名だからです。

でも、そこにはちゃんと理由がありました。

過去から、未来へ
「沖縄の食を変えること」

こんなゴーヤーチャンプルー、食べたことなかった

沖縄料理でよく聞く「ぬちぐすい」という言葉。直訳すると「命の薬」という意味ですが、つまりは食べ物すべてが自分自身の体になり、健康につながる、という考え方です。

ふとその言葉に立ち返ったとき、塩分や油分の多いジャンクフードは、果たして「沖縄料理」と呼べるだろうか? スパムが入ったゴーヤーチャンプルーはどこか矛盾していないだろうか? 残念ながら現在沖縄は日本一の長寿県ではなくなってしまい、肥満や生活習慣病という問題が無視できないのも事実。

「悲しいことです。本来と逆なんです。このまま行くと、沖縄の料理文化はどんどん痩せ細ってしまう。だから一回それを壊さなきゃいけない。今ならまだ取り返しがつくと思っていますし、本質的においしいものを提供して、新しい沖縄料理として見つめ直していくこと。それが、このお店のテーマなんです」

大きいコの字のカウンターの中から聞こえてきたのは、店主・照喜名健(てるきな・つよし)さんの言葉。奥さんのルーツが奄美大島にあり、かつては同じ琉球文化圏にあったことも店名に由来しているそうです。

「エリアを超えて琉球文化の過去に立ち返ること、そして未来に向けて沖縄料理をアップデートしていくこと。『黒うさぎ』の店名には、そういう意味が込められています」

紅豚の油が沁みる
やさしい「ゴーヤーチャンプルー」

こんなゴーヤーチャンプルー、食べたことなかった

さて、そんな「黒うさぎ」のゴーヤーチャンプルー。

横から見ると、3層になっているのが分かります。上から、「紅豚」「ゴーヤー・卵・にんじん」「島豆腐」。これは、ただの盛り付けや見た目へのこだわりではなく、おいしく味わってもらうためにできた3層なんです。

油を一切つかうことなく、豚肉の油がジワ〜っと一番下の豆腐まで沁み込むようになっていて、とてもやさしい味わい。黒豚では存在感と油が強すぎるので、使っているのは肉自体に甘みと品がある「紅豚」。ただし通常の1.5倍くらいの厚みに切ってあって、ボリューム感とのバランスも考えられています。

味付けは最小限にとどめていて、素材と組み合わせ、手間ひまをかけた調理法が重なりあってるんです。

「豚肉の油だけで仕上げるのが、沖縄本来のゴーヤーチャンプルーだと思っています。食べたあとにお水をひとくち飲んでもらえば分かると思いますが、イヤな後味なくスッキリするはずです。たとえば沖縄旅行に来ている方に『翌日まで残って気持ち悪い』なんていう料理は恥ずかしくて出せないですし、沖縄の食文化を変えたいと思っている以上、常にそこは意識していますね」

リーマンショックと
「鶏飯」

こんなゴーヤーチャンプルー、食べたことなかった

では、なぜそこまで「本質」「本物」「誠実さ」にこだわるのか。以前は食材の買い付けの仕事をしていたという照喜名さんにとっては、リーマンショックが大きなきっかけになったそう。

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