体験を伝える―『ガジェット通信』の考え方

面白いものを探しにいこう 本物を体験し体感しよう 会いたい人に会いに行こう 見たことのないものを見に行こう そしてそれをやわらかくみんなに伝えよう [→ガジェ通についてもっと詳しく] [→ガジェット通信フロアについて]

猫まみれのお膝を目指して−膝乗り猫カフェ Cat tail

「ここの猫ちゃんはどうしてこんなにお膝に乗るのですか?」とお客様によく聞かれたりするのですが、簡潔にご説明することができません。「お膝掛けに自分たちの匂いが付いているので乗りやすくなる?」との分析は常識的にはYESなのですが、新品のお膝掛けの方が猫たちに人気があったりするので、そうとも言い切れないようです。

昨年取材でお越しいただいたNMB48の白間美瑠さんには「ここの猫たちはお客様のお膝が一番安全で心地良いと思っているからです」とお答えしたのですが、そうなるためにはどうして?が本当に知りたいことだったと思い、それから気になっていました。

お客様が猫のお膝乗りでとても喜ばれることに気付き、猫が自ら進んで人間の膝に乗るにはどうすれば良いのか?を約10年間模索し続けました。その結果、叶えられないと思っていた「全員(約20匹)お膝乗り猫」が実現しました。私は世界でも希少な「膝乗り猫研究家」なのかもしれません(笑)。最初は上手なお客様を見て推察し、些細な工夫や様々な配慮を積み重ね、さらには多くのお客様のお心遣いがあってやっと達成できたのです。

お膝乗りするか否かは「猫の防衛本能」が深く関与します。
人、すなわちお客様が何か不安をもたらす対象と猫が思っていれば乗りません。仲の悪い猫に喧嘩をふっかけられやすい環境なら、落ち着いてお膝に乗る余裕が無くなりがちです。乗りたい所(膝や足上)にスマホや人の手などの異物があれば、それを退けて乗ろうとはせずに遠慮しがちです。自分の身体が上手く収まらない場所(お膝)は、考えた末に諦めることもあります。乗っている時にやたらと触る兆候を感じた人の膝は敬遠されます。静かに話す人を好む傾向はありますが、安心できるお客様と認知されれば、多少地声が大きくても心地良くお膝乗りしていたりします。

これらを小さな頭脳で考え判断する前提条件は、「人のお膝が暖かく心地よい」と知っている猫たちだけであることは言うまでもありません。

さて、具体的にどうすれば、お膝に乗ってくれるのか? (冬がベストシーズンですが)当店で解説付きのアルバムを読んでコツを把握し実践していただければ、成功体験を得やすく、理解も深まると思います。猫毎に乗るコツが少しずつ異なったりするので、いろいろなパターンを経験していただけます。果たして何回か通っていただくと自然と所作が身につき、他所でも乗られやすくなることは常連様のお話などで確認済みです。また、当店の設備や配置、システムやサービスなども、ほぼ全てお膝乗りのために考慮し設定されたものです。些細な事柄や過去のものをも含めると、お膝乗りのための工夫は50項目を超えるかもしれません。

当店で観察する限りでは、無邪気な子猫の時はお膝乗りしやすいですが、遊び回るのに忙しく、乗る時間も回数も少ないと言えます。成猫になり、自我が目覚めるとお膝乗りから遠ざかる傾向があります。その後、2歳以降の成熟し出した脳は、乗るか乗らないのかの分岐点を迎えます。先輩猫たちのリラックスしたお膝乗り姿を見た後輩猫たちはお客様に対し不安がないことを認知します。すると、皆が気持ち良さそうに乗っているので自然と真似ます。

店内で2〜3匹だけならわかりかねますが、20匹近くの猫が全てお膝乗りをしていたら、お客様に乗ることは当たり前な行動とその猫は感じることでしょう。

最初の生駒店終盤時代は、5〜6名様に対し、同時にそれぞれ1〜2匹の計6匹以上のお膝乗り風景はとても珍しいことでした。ところが移転した心斎橋店の冬期では、その風景が日常的に見られるようになりました。当店もお客様も日々コツを得、猫たちのお客様への信頼度合も日々増していきました。このシナジー効果が年々積み重なり、約10年の年月をかけ、お膝乗り回数・時間・頭数が増加して、当店は「膝乗り猫カフェ」と名乗れるようになりました。

今年のある日、当店初来店のお客様がお帰りに「今日、仕事でとても疲れていたのですが(猫たちがお膝乗りしてくれたので)、すっかり疲れが取れびっくりしています。ありがとうございました。また来ます」とおっしゃっいただきました。猫といつも接している私自身は実感がありませんが、猫のお膝乗りは思いのほか、素晴らしい癒し効果があるようです。そして、お客様にお膝乗りさせてもらっている猫たちも癒され、究極のストレスフリーを体感していると確信しております。それが当店では猫たちの引退を考えない理由であり、無休営業の理由である同時に、お客様の笑顔にも繋がると信じています。これに満足することなく、今後も精進を重ねて参りたいと存じております。

庄 知宏@

にゃんこマガジンの記事一覧をみる
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。