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【ITビジネスマンの寺業計画書】お坊さんHacks!〜寺報発行編〜

【ITビジネスマンの寺業計画書】お坊さんHacks!〜寺報発行編〜

今の時代、お坊さんの生活やお寺の出来事、仏の教え、宗祖の教えを人々に伝える手段は様々です。ブログやTwitter、Facebookを活用しているお坊さんも沢山いらっしゃいます。僕もそんなお坊さんの一人ですが、以前からどうしても編集発行に取り組んでみたい媒体がありました。それは紙で発行する「寺報」(じほう)です。

皆さんは「寺報」なるものをご覧になられたことがありますか?

観光寺院で拝観チケットと共に配られる、お寺の縁起や拝観の見所が書かれたパンフレットとは違います。日本全国に存在するちいさな檀家寺のお坊さんが、そのお寺の行事案内や所属する宗派の教え、ご住職のお説教などを自ら編集して定期発行する紙媒体を「寺報」と定義し、その意義や発行方法についてお話しします。

自坊のお檀家さん参りをお勤めするようになり一年余りが過ぎました。毎月二週間ほどの日程で、一日に数軒〜多い日には十数軒もお参りする予定があります。毎月一度のお参りですが、なかなかゆっくりとお檀家さんとお話することができません。年に数回、法要などでお寺にお越しいただく機会もありますが、そんな時も法要の準備や運営にせわしなく駆けまわり、なかなかゆっくりとお話することができないのが現状です。

毎日のようにいろいろなことが起こるお寺の近況を伝える方法がないだろうか?と思案していた時にふと思いついたのが「寺報」の発行だったのです。

知り合いのお坊さんのなかには、「毎月寺報を発行しているんです」というと驚かれる方がいらっしゃいます。せいぜい発行しても三ヶ月に一度、年に二回というのが相場だそうです。(僕なりのリサーチ結果です)

発行するからには、月参りにお配りできるように毎月発行を徹底したい!というのが僕の編集発行方針でした。

そして想定される課題に対して現時点での最善策を考え抜き、「寺報」発行に関する三大課題を解決する方法を見出しました。

まずは課題の抽出。「寺報」発行の三大課題は、1.ネタが続かない、2.編集が大変、3.配布するのが大変の三つです。

1.ネタが続かない…お釈迦様の教え、宗祖の教えにネタ切れはございません!もっというとお寺で起こる出来事ならなんだってお檀家さんにとっては知りたい情報なのです。本堂の屋根裏で子猫が生まれましたでもいいし、来月は自動車税の支払いですね、とお坊さんも税金を払っていることをお知らせするのもいいでしょう。

2.編集が大変…はじめから立派なものをつくろうとしないことです。A4一枚でもいいし、その半分でもいいです。大切な事は続けられるフォーマットを見つけるということです。

3.配布するのが大変…月参りにお伺いした時に直接お渡ししています。遠方の方には郵送。月参りがないという方は、本堂前に机をおいてご自由にお取り下さいというように配布することもできます。

寺報を発行しはじめてまだ四ヶ月ほどですが、お檀家さんの反応に手応えを感じ始めています。お世辞でも「毎月楽しみにしています」と寺報をファイリングしてお仏壇にお供えされるおばあちゃん。本当にありがたいことです。とても励みになります。

寺報を一号発行するごとにお寺の寿命は一年伸びるのでは?というのが寺報を発行してみての僕の勝手な仮説です。もしこの仮説が正しければ、これから僕が75歳まで寺報を書き続けるとして、40年、480号発行することができます。自坊の開山は1633年ですので400年弱の歴史があるお寺をさらに480年続くお寺にできるのです。ちょっといいすぎですかね?「寺報」に運命をかけすぎ?

でもこれはあながち間違いではないと確信しています。

「寺報」を毎月発行するということは、編集発行する責任者であるお坊さん自身がしっかりと勉強しなければなりません。難しい仏教をわかり易い言葉で置き換えなければなりません。「寺報」のネタ探しを意識するようになり、自分のお寺で起こることに今まで以上に目がいくようになるでしょう。また、読者であるお檀家さんがお寺やお坊さんのことを知る機会が増えることになります。自宅におかれた紙の「寺報」が、普段接点のなかったご家族の目に触れるようになります。お檀家さんも知識が増えることで仏教やお寺に対する興味が今まで以上に湧いてくるかもしれません。その結果、お寺がますます、お坊さんとお檀家さんが共に仏教を学ぶ場所になっていくのです。

さて最後に僕がお寺で発行している寺報のフォーマットを皆さん(とくにこれから寺報を発行しようとされているお坊さん)と共有することにしましょう。

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松島靖朗:彼岸寺

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