ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

新国立劇場2018/2019シーズンラインアップ発表 次期オペラ芸術監督に大野和士

DATE:
  • ガジェット通信 GetNewsを≫
新国立劇場2018/2019シーズンラインアップ発表 次期オペラ芸術監督に大野和士

 新国立劇場は1月11日、2018/2019シーズンのラインアップを発表。オペラ芸術監督として、次期からの新任となる大野和士、舞踊芸術監督には全シーズンに引き続き大原永子、そして演劇次期監督には歴代最年少での就任となる小川絵梨子が登壇した。

 世界的名声を既に確固たるものにしている指揮者・大野和士次期オペラ芸術監督の掲げる指針は、単なる演目上の目標に留まらない。現在の劇場そのものがぶち当たっている壁や弱みを分析した上で、それをどう乗り越えていくかについて、経営判断とも言える視点で提示していたのが非常に印象的だ。

 第一に問題視し、劇場としての目標として掲げていたのはレパートリーの拡充だ。その為の施策のひとつとして、まず新制作のプロダクションを3演目から4演目へ増加。また海外劇場で上演されたプロダクションについてはレンタルを減らし、
いつでも再演可能なように上演権をできる限り購入していく。更に日本人作曲家へのオペラ作品委嘱を定期的に行い、日本初のオペラを増やす。他、一幕もののオペラ上演を定期的に行い、その組み合わせを多様化させる。またバロックオペラを取り入れ、これも定期公演化していく考えだ。

 また大野次期監督は「日本から世界へ発信」という観点も強調。国内外の他の劇場とのコラボレーションも既に始まっている。配役においても、より一層多くの重要な役で国際的に活躍できるレベルの日本人歌手を起用。また日本での新制作オペラでは世界レベルでの旬の演出家を起用していくことを述べ「ああ、あの演出家が東京でやったか、と話題になるような舞台が、ワールドプルミエで見られる劇場にしていきたい」と意気込みを語った。

 2014年からの在任である大原永子舞踊芸術監督からは、新シーズンのオープニング演目としてロイヤル・バレエの「不思議の国のアリス」が紹介された。トリッキーで難易度が高い振り付け、視覚トラックを駆使した舞台でエンターテインメント性抜群の本演目は、ダンサー達にも非常にチャレンジングであると同時に、劇場にとっても財政面では厳しいものがあったが、オーストラリア・バレエの協力を得ての新制作となったことが述べられた。数年の間、ロマンティック・バレエをメインに据え鍛え上げてきたバレエ団に対する愛と情熱、そして本シーズンへの新たな活躍の期待を充分に感じさせた。

 また歴代最年少での就任で話題となっている演劇次期監督の小川絵梨子も、シーズンのラインナップ発表はもちろん、そこに組み込まれた新しい「仕組み」について意欲的に述べた。特に注目が集まるのは新国立劇場初めてのフルオーディション企画だろう。誰もが入手しやすい戯曲、チェーホフ『かもめ』を題材にし、募集は発表会後すぐに開始している。他、稽古期間を長いスパンでもうけ、作品が体力をつけ、鑑賞と批評に耐えうる強度を持った時に上演を行う新企画「こつこつプロジェクト」についても上演詳細の発表が気になるところだ。

 最後に本記者会見では大野和士次期監督がマイクを取り「今この3部門は、同じ劇場にいながら分かれているように見えるかもしれない。しかし例えば、ダンス公演の『Summer/Night/Dream』を見れば、自分は『オペラで真夏の夜の夢ができるじゃないか』、演劇の『オレステイア』も、オペラで『エレクトラ』があると考える。せっかく同じ場所で3つのインスティテューションがあるので、同時期に同じテーマで上演をするような協力体制も取っていきたいと思っており、既に話し合いは進めている」と述べ、新国立劇場全体の在り方の風通しの良さに加え、部門を超えた協力体制の模索について新しい時代を感じさせる発表会となった。text:yokano

関連記事リンク(外部サイト)

ワルツで華やかな年明けを ウィーン・リング、シェーンブルン宮殿オケ、新国オペラ「こうもり」
シャンパンの泡のような華やかさ、ウィーン生まれのオペレッタ『こうもり』新国立劇場にて公演間近
2017年のクラシック・リリースを振り返る、インディペンデントが再評価進む

Billboard JAPANの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。