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【野球美】絶滅危惧種 投法“アンダースロー”という野球ロマン

球速160キロを超えるストレートで強打者をなぎ倒した大谷翔平投手がこのオフにメジャーのエンゼルスに移籍することが決定。その一方、130キロ台のストレートで日本だけではなくWBCなどで海外の強打者を翻弄した牧田和久投手もまた、メジャー移籍の可能性を模索しています。

2人の大きな違いといえば投球フォーム。オーバースローとアンダースロー。現地ではアンダーの牧田投手の方を高く評価するメディアもあります。果たしてアンダースローにはどのような特徴があり、どのような魅力があるのか? 今回は現在希少種となってしまったアンダースローに迫りたいと思います。

アンダースローとは?

来年からメジャーリーガーになる日本人選手は、大谷翔平だけではない。ここ2シーズン、防御率1.19の好成績を残した、アンダースローのリリーフピッチャー牧田和久もメジャー入りの可能性が高い。 https://t.co/gpW7WLzpBg#日本人選手情報 pic.twitter.com/E1ITMNwDh2— MLB Japan (@MLBJapan) 2017年12月2日

少年なら誰しも一度は遊びでチャレンジしたことのあるアンダースロー。投球フォームは軸足を中心に腰を折り、上半身を沈み込ませ腰のひねりと腕のしなりの勢いでボールを放つ。変則フォームと言われるアンダーですが、一連の流れるような挙動はまさに異端。しかしそれゆえに美しくもあります。

上記でも説明しましたが沈み込んでから浮き上がるように投げるためメジャーでは、海中から水面に浮上する潜水艦をイメージし、サブマリン(submarine)と呼ばれます。その代表格はかつてロッテで活躍した渡辺俊介氏。フォームは世界一低いアンダースローと呼ばれ、手と地面の距離がわずか3センチ。そのためたまに手が地面に接触してしまうときもありました。

とはいえ定義はあいまいで、例えば阪神の青柳晃洋投手はアンダーとされる資料もありますが、本人はアンダーより上、サイドより下であると説明し、クォータースローと独自の呼び方を生んでいます。

アンダーの利点・欠点

利点:オーバースローが9割を占める投手界。上から放られる球筋はどうしても最終的には下がります。しかし下から放られる球筋は上がって下がる、「浮いてくる」ように見えるので打者はタイミングを取りづらいのが利点です。また、アンダーの絶対数が少ないゆえに打者側から見ると練習ができないというものあります。

変化球に関してはシンカーやスライダーが自然に投げやすいと言われています。フィジカル面では下半身の強化が必須ですが、投手の生命線の肩や肘への負担が少ないという経験者もいます。

欠点:オーバースローにくらべストレートの球速が上がりません。速くても130キロ後半というところでしょうか。また、投げ方ゆえにフォークなどの落ちるボールが投げられません。さらにクイックモーションが難しく、ランナーを背負った場合、盗塁を決められてしまします。

絶滅危惧の理由

その昔は高校野球でもプロでもよく見かけることがあり、200勝超えの投手もいましたが現在、プロでは牧田投手を除くと、ヤクルトの山中投手、2017年のドラフトで西武に入団する與座海人投手、ソフトバンクの高橋礼投手の3人のみ。

激減する理由については、通常誰しも上から投げ、その後ケガなどを経てアンダーに移るので過程であきらめる者が多いといいます。ゆえにアンダーを指導できるコーチも少ない。そしてスター選手の存在にも因果関係があると思われます。山田久志氏や渡辺俊介氏のような先発完投型、投手の中でも花形のポジションを担う投手が少なく、憧れとなる対象が減ったのもアンダー減少の理由と思われます。

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