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新しい風が吹き込み、静止していた時空が変化していくーー上田暁子「風穴」

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上田暁子の個展『風穴』がユカ・ツルノ・ギャラリーにて1月20日(土)~ 2月17日(土)まで開催。本ギャラリーでの初個展となる本展では、新作を含む絵画作品とともに、上田が2013年より続けてきているパフォーマンスプロジェクト「EN ROUTE」を発表する。

 時間や音楽、人の行動や思考、状況の揺らぎ、芽吹いては枯れる植物など、刻一刻と変わり続ける出来事への関心、つまりは生きている中で絶え間なく感じ続けている流動的なリアリティを絵画においてどのように表現し語ることができるのか − このように考える上田は、再現や表象としての絵画ではなく、何かの事象が変質・変容していく過程やその瞬間、あるいはその成り行きとして現れてくるような絵画のあり方に関心を寄せている。作品ごとに多彩なスタイルや筆致を持ち合わせる画面は下絵を決めずに描き出され、一つ一つの筆づかいが次の質や色を導きだし、その時々の上田の思考や興味に合わせて制作が進められている。絵画全体へと広がっていくその連続した行為は、絵画内部に流動的な時空間を作り出し、揺らめくような気配が立つ幻想的で断片的な物語の世界が紡ぎだされているのだ。様々な生き物が登場したり画面上に異なる質感や要素が交錯したりするその世界観は、部分ごとに異なる想像力を掻き立て、絶えず移り変わりゆく世界のあり方を彷彿とさせる。

 上田はそのような自身の制作を振り返った時に、「壁に風穴があき、そこから新しい風が吹き込むことが契機となり静止していた室内に流れや動きが生まれその時空が変化していくイメージ」が浮かんだと言う。本展のタイトル「風穴」はこのイメージに由来しており、上田の制作に対する考え方を表している。

 また、このような姿勢は、上田がパーカッショニストの山㟁直人との出会いをきっかけに始めたパフォーマンスプロジェクト「EN ROUTE」(仏語で「道の途中」の意)にも通底している。このプロジェクトは、2013年に二人のセッションとして山㟁のパーカッションの演奏を聴きながら上田が一枚の絵を描き出すという実験的な取り組みから始められた即興で絵画制作空間を作り上げるパフォーマンス。二回目以降は観客を招いたパフォーマンスイベントとして続けられ、音楽家やダンサーなど様々なパフォーマーをゲストに編成を変えながら、同じ一枚の絵画の上に色を重ねてきた。これまでパリ、小諸、横浜など各地で行われ、本展のオープニングでは第七回目となるパフォーマンスイベントを行い、そこで新たに塗り重ねられた絵画は展覧会の一部として展示される予定だ。

作家プロフィール
1983年京都市生まれ、2006年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。主な個展に「世界は大きな花束でもある」(清須市はるひ美術館、2009年)、「ARKO2012 / 上田暁子」(大原美術館、2012年)、「絵画が画家の寝顔を見る時」(第一生命南ギャラリー、2015年)、グループ展に「VOCA展2011」(上野の森美術館、20011年)、「ネオヴィジョン新たな広がり」(信濃美術館、2017年)、コレクションに大原美術館(岡山)、清須市はるひ美術館(愛知)など。パリやチェコなど海外のレジデンスに参加しながら現在は長野県を拠点に制作している。

上田暁子「風穴」
会期:2018年1月20日 – 2月17日
* パフォーマンス:1月20日(土)19:00 –
開廊時間: 火 – 木、土 11:00 – 18:00、金 11:00 – 20:00
休廊日: 月、日、祝
会場: ユカ・ツルノ・ギャラリー
東京都品川区東品川1-33-10 TERRADA Art Complex 3F

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 Yuka Tsuruno Gallery is pleased to present A Hole for a Wind, a solo exhibition of Akiko Ueda, from Saturday, January 20 to Saturday, February 17 in 2018. In her first solo exhibition at the gallery, Ueda will present her works of art including new paintings and an ongoing performance project EN ROUTE which she has developed since 2013.

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