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MITとハーバード大が51個の量子ビットの操作に成功!レーザーを使った量子コンピューティングの新技術

つい最近までSFの世界とされていた量子コンピューテイング技術が、予想以上の速度で発展してきている。

通常のコンピューターが0と1を使ってタスク処理するのに対して、量子コンピューターでは0と1のスーパーポジション(重なり合った状態)を扱うことができるため、桁外れに高速な並列計算が可能だ。

量子コンピューターは実用にこそいたっていないが、研究機関や企業が開発にしのぎを削っており、Googleは5年以内の商用化を宣言し、IBMに関しては11月に、50量子ビットを備えた量子コンピューターを発表している。

そんななか、MITとハーバード大学の研究チームは、量子ビットを操作する新しい手法を実証。メリーランド大学と並んで最大級となる、51個の量子ビット配列を扱うことに成功した。詳細は以下だ。

・中性原子を用いてノイズを除去

量子コンピュータの商用利用を難しくしているのは、量子の状態が安定しないことだ。

量子コンピュータでは、タスクに応じて量子ビットを操作。最終的な状態を測定することで計算結果を得るが、量子の状態は不安定で、現状IBMの開発するシステムですら、最大90マイクロ秒しか状態を保っておくことができない。

Googleなどのように、極低温の環境で量子を超伝導状態にして制御する「断熱的量子コンピューティング」が用いられることも多いが、MITとハーバード大学の研究チームはは、量子コンピュータの構築に電荷を持たない中性原子を量子ビットとして使用。

原子同士の反発を避けると同時に、人工的に作った「超伝導量子ビット」での、原子の性質が厳密に同じではないものが出てくることからくるブレを排除している。

・レーザーで原子を捉えて制御

同研究チームは、以前の研究ですでに、レーザーを使って絶対零度付近にまで原子全体を冷却して運動を抑え、次に個々の原子を捕えて再配列する手法を考案していたが、今回さらこれを推し進め、原子を捉えたレーザーを一時的にオフにして量子システムを自然に展開させた後、別のレーザーで原子を高いエネルギー状態にして、最後に再びレーザーで捉えて個々の原子の最終状態を検出する手法を検証している。

これにより51個の原子を制御することに成功。すべての原子のスピンが整列している状態や、量子の相互作用に影響されない個別の操作が可能となった。研究チームはシステムを数百にまで拡張する目論見だ。

同コンピューティング技術により、セールスマンが複数の都市を訪問する際の最短経路を求める「巡回セールスマン問題」といった課題を素早く計算できるほか、将来的には、同様に量子コンピュータが得意とされる機械学習や、医薬品・新素材の開発に役立てられることが望まれる。

参照元:Scientists Demonstrate One of the Largest Quantum Simulators yet, With 51 Atoms/Futurism
参照元:Scientists set traps for atoms with single-particle precision/MIT News

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