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「5G×鉄道」という世界初の実証実験 KDDIとJR東日本で実施

さてこの写真、JR東日本が誇る試験車両「MUE-Train(ミュートレイン)」である。

今年10月、「MUE-Train」を使って、次世代移動通信システム・5Gと鉄道との連携をテストする世界初の実証実験が行われた。

KDDIでは、これまで5Gの特徴である「高速・大容量」「低遅延」「多接続」が社会にどんなふうに生かせるのか、さまざまな実験で検証してきた。JR東日本も、5Gを活用することで列車内や駅構内をどれほど快適にすることができ、どんな新たなサービスを提供できるのかを考えていこうとしていた。そこで今回の、5G×鉄道という世界で初めての実験が実現することになったのである。

実験が終わった11月中旬、JR東日本IT・Suica事業本部、通信ソリューショングループリーダーの髙島昭治さんと、KDDIモバイル技術本部・黒澤葉子、大塚裕太に今回の実験に関して話を聞いた。

まずは今、鉄道で無線通信はどのように活用されているのかを、JR東日本の髙島さんに聞いてみた。

無線通信は鉄道とは切っても切れない関係

鉄道で使われている通信は大きく2つに分類できるという。「鉄道無線」と「商用無線」だ。


JR東日本・髙島昭治さん

「『鉄道無線』は大まかにいうと、地上と車両との間でなにかしら通信するものです。国から専用の周波数をもらって、使用しています。列車の制御や運転士との音声通話、わかりやすいものでは新幹線のドアの上に出る表示にも使っています。あとはメンテナンスのためのデータをサーバーに送ったりもしています。

一方『商用無線』は通信事業者が提供する無線のことで、車両以外の部分で駅構内のサイネージやコンビニの映像配信、自動販売機のデータ収集などに使われています。駅構内は入り組んだ構造になっているので、光ケーブルを這わせるのがすごく大変なんです。改装や新店舗の出店にも柔軟に対応できるので、駅では無線を使う傾向にあるんです」

実は今、鉄道はすごくIT化されていて、車両自体が“センサー”と化しているという。

「ドアの開閉やブレーキの使用頻度、エアコンの状態などを車両そのものが計測してサーバーに送り、今後はメンテナンスで活用していく予定なんです。線路についても走行しながら線路の劣化度合などの情報を営業車両で収集してメンテナンスで活用していく予定です」(JR東日本・髙島さん)

それらのシステムは現在、山手線の新型車両に搭載されているが、実用化以前に試験を行ったのが、前述の「MUE-Train」なのだ。

5G×鉄道という世界初の実証実験

では、そのように鉄道のIT化が進んでいるなか、今回の実証実験とは一体どんなものだったのか。


KDDIモバイル技術本部・黒澤葉子

今回の実験内容は大きく分けて2つあったと、KDDIモバイル技術本部の黒澤葉子。

①走行中における高速・大容量通信を目的とした実証実験。
②駅ホームにおける電波伝搬試験。

まずは①の実験の話を聞いた。

「『MUE-Train』の先頭車両に4Kカメラを設置し、高精細映像を端末に送信しました。一方で、事前に録画した8K映像を車外から送信し、車内でストリーミング受信。『ハンドオーバー』と『ビームトラッキング』の性能を検証しました」(KDDI・黒澤)

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