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1930年代のカートゥーンと1980年代のアクションゲームへの狂気に等しい愛情に溢れた大作『Cuphead』

そして、ここまでのスクリーンショットで明らかな通り、本作は背景からキャラクターに至るまで、1930年代のディズニー作品を髣髴とさせるカートゥーン調のグラフィックで描写されている。
 
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いや、むしろカートゥーンそのものだ。驚くべきことに各キャラクターの動きは1フレーム単位で手描き、手塗りによって表現されている。その為、一体一体が見せるリアクションは当時のアニメに忠実。文字通りの「動かせるアニメ」を実現しているのだ。

映像周りも当時のカートゥーンを忠実に再現するこだわりに満ちている。
1930年代のカートゥーンと言えば、映写機を用いて撮影されたフィルムを再生する形式が一般的であり、それによってフィルムを動かしている際の音が本編の映像に混じったり、フィルム側に付着したホコリが僅かに映し出されることがある。
 
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そんな当時特有の弊害をも本作は表現。「ジジジ…」という音が鳴り響いたり、映像の至る所で微かなシミが浮かんだりと、徹底して30年代のアニメらしさを突き詰めている。

これらの表現を見るだけでも、本作が何故、7年もの歳月を費やすことになったのかの理由を思い知ることになるだろう。キャラクターのバリエーションも多彩で、中でもボスは似通ったタイプが一切存在せず、ほぼ全てが段階的に形態変化を遂げる仕掛けを宿しているという点に制作者の狂気を垣間見るはずだ。

緻密な計算に基づいた、”理不尽”に適さない絶妙な高難易度

グラフィックに比類する魅力としてもう一つ、高い難易度がある。
発売当時より、本作は非常に難易度の高いゲームとして、様々なメディアでセンセーショナルな表現と共に伝えられてきた。「数秒足らずでゲームオーバー」、「ファミコン時代のク●ゲーそのもの」、「理不尽の連鎖」などなど。筆者もプレイ前はそれらの情報に目を通して、そんなに壮絶な難易度なのかと戦々恐々の思いだった。
 
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もし、これでクリアを断念するほどだったらどうすりゃいいのか。そんな戸惑いと共に蓋を開けてみると、そこにあったのはそれらの表現に適さない、緻密に調整された難易度だった。
 
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高い難易度であるのは間違いない。通常アクションステージの「RUN&GUN」、ボス戦共に初見でのクリアは困難と言ってもいいほど、激しい敵の猛攻が画面いっぱいに繰り広げられる。本作はダメージ制を採用しているので、一回喰らったところですぐにやられはしないのだが、それでも体力の最大値はたったの3。少しでも調子が崩れれば、一瞬で持っていかれる。
 
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だが、どんな場面においても「何が原因か分からずやられる」ということがない。ボスも含む敵の攻撃は、一貫して予備動作を行った末に実施されるので、それを察知して行動すれば、確実に回避できるようになっている。その予備動作から攻撃に移るまでの時間が短く、初見の時は直撃を浴びてしまいがちではあるのだが、逆に一度経験してしまえばそこまで。以降はそれに応じた対処ができるようになり、的確な立ち回りをしていける。
そうして、一つ一つの攻撃を経験するにつれ、ダメージを最小限に抑えての勝利も狙えるようになり、最終的にはノーダメージでの勝利を目指すことも可能だ。

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