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怒髪天、『響都ノ宴』を初の映像化&2018年ワンマン企画3本発表

怒髪天による『響都ノ宴 10周年記念「夢十夜」』が終わった。『響都ノ宴』とは怒髪天と磔磔が一体化し、ともに新たな歴史を刻んでいく怒髪天企画で、2008年より毎年秋に開催している(一部例外あり)。意外な顔合わせのドリームマッチやワンマン、トークなど、「いいものはいい!」をコンセプトにジャンルレスなステージを展開。この10年での出会いや試みが後々定番となるなど、実験的かつ最も新しい怒髪天を見せてきた。10周年の今年は、新たな切り口でありながら、その姿は原点でしかないという、まさに伝統と革新の『夢十夜』を繰り広げた。
怒髪天 (okmusic UP's)

10月21日~25日(23日は休演)の前半の目玉はキャリアを一挙振り返る全70曲かぶりなしのセットリスト。初日のトークライブでも思わず懸念を口にするほど、いつにない緊張感を見せた。THE NEATBEATS、ザ50回転ズ、ニュータウン御意見無用バンドと対バンした22日の『おたべやす 響都全開バリバリ鍋 “夢味”』でのセットリストも重複なし。ライブは常に一発勝負だが、時には巻き返したいと思う夜もある。だが、今回は4日間もありながらどこにもすがる場所がない。でも、やるんだよと男の意地で突き進んだ。

ワンマンでは怒髪天を3つの時代に分けた。まずは21日の『EARLY DOHATSUTEN YEARS 1984-1996』。札幌で結成し、やがて上京。そして訪れる活動休止決断前夜。鳴かず飛ばずの時代に奏でられた楽曲はブルージーでフォーキー、忌野清志郎や憂歌団に憧れていたというのも納得、今よりも格段と大人っぽい。何物にもとらわれず自由である一方で、やりきれないしょっぱさもあった。「なんでこの歌が、声が届かないのか」と、あの頃の叫びが蘇るようでもあり、胸を締め付けた。

24日の『FREIHEIT YEARS 1999-2004』はレーベル“フライハイト”で心機一転、歩きはじめた時代だ。30代、有り余る勢いで突き進んだ。ある種のあきらめと開き直りを交互にのぞかせなら、しゃにむに前進した。悔し涙を流すことも、ぐっと拳を握り締め、唇を噛んだ夜もあった。熱気で湿る場内。その湿り気をもたらしたのは流した汗だけではなかったはずだ。しみったれて、ヒリヒリした日々に時間が巻き戻された。

25日、前半最終日は『EARLY TEICHIKU YEARS 2004-2006』。テイチクより再びメジャーデビュー、新たな地平に立った。楽曲もさらに力強くなり、手綱を握る力をゆるめるとたちまち大暴れするようだ。歌詞の包容力もぐんと広がった。“俺の歌”でありながら、“俺たちの歌”へと昇華し、ライブに集まった「俺たち」一人一人を束ねて、怒髪天という唯一無二の“俺”を作り上げる。そんな俺を引っ張っていくのが我らが兄ィこと増子直純。すなわち俺たち界隈が生きる上で欠かせない三大要素“塩分、水分、兄貴分”は、この3時代で完成されたのだった。

そんな三夜の映像化が決定、2018年3月14日(水)に発売される。『響都ノ宴』初の映像化でもある。怒髪天×磔磔の真髄と、時代を物語るセットリストの妙を楽しんでほしい。さらに坂詰克彦の待望のソロセカンドシングル「待っているのよ」を特典として収録。こちらも聴き逃せない。尚、この映像作品より「サムライブルー」の映像がYoutubeにて公開された。

12月3日から7日の後半は、3日の大槻ケンヂと橘高文彦 with 寺沢功一(Ba)・河塚篤史(Dr)、ザ・たこさんという異色のドリームマッチ『おたべやす 響都全開バリバリ鍋 “希望味”』から幕を開けた。5日にはMR.PAN(THE NEATBEATS)、須藤寿(髭)、TAISEI(SA)、松原裕(KOBE太陽と虎代表)による門外不出のトークライブ「バンドマンのすべらない話」、千秋楽の7日はDMBQと対バン「天下逸品 京都磔磔本店」が行われた。

後半のハイライトは、怒髪天史上初男女限定ライブだ。4日は『男忍!男だらけの大忘年会』。地鳴りのような雄叫びに迎えられて始まったライブは、阿吽の呼吸でかつてない一体感を見せた。MCの話は墓場までと堅い約束。ともに年齢を重ねてきたからこそ、気持ちと気持ちを遠慮無用でぶつけ合い、一枚岩となって同じ思いを噛みしめる。坂詰克彦の中2以下の発言も爆笑を生み、泣き笑いの極上喜劇を繰り広げた。

6日は『女忍!女だらけの超婦人会』。ステージから見る光景はアイドルのライブさながらであったろうと想像する。どことなく紳士的で演奏も歌も丁寧だ。数少ないラブソングも披露し、バンド史上最も甘い時間が訪れた。だが、クライマックスではいつもと変わらず、熱いサウンドとだみ声に拳を振り上げ、互いに魂を震わせる。結局のところ、男も女も関係なく「いいものはいい!」と歌うだけ。ライブとはボーダレスでジャンルレス、ジェンダーレスな場であることを再認識した一夜となった。

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