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リアクション ザ ブッタ、3ヵ月連続ワンマン最終公演で2018年ツアーを発表

リアクション ザ ブッタが3ヵ月連続で開催してきたワンマンライブの最終回『人たらしRock show vol.3~CD買ってライブに恋~』が12月6日(水)に代官山SPACE ODDで行なわれた。毎回異なる趣向で繰り広げてきた今回の企画だったが、この日はミニアルバム『After drama』のリリース日ということもあり、その収録曲を中心にしながら、ブッタの最大の持ち味でもある歌の魅力をシンプルなかたちで伝えるという、バンドの原点に返るようなライブだった。
12月6日@代官山SPACE ODD (okmusic UP's)

SEが流れ始めると、お客さんのハンドクラップに迎え入れられてメンバーがスタンバイ。オープニングを飾ったのはミニアルバムでも1曲目に収録されている「ドラマのあとで」だった。ブッタのような歌ものギターロックバンドにはやや珍しい“ベースボーカル”というポジションの佐々木直人(Vo&Ba)がポップで甘酸っぱいメロディを持ち前のハスキーな歌声で紡いでいく。「あなたが笑うことができずに泣いているんだったら、俺が代わりに言いたいことを言ってやる!」という前フリから、大野宏二朗(Dr)の軽快なビートが弾んだ「仮面」から、木田健太郎(Gu)がライトハンドで華やかなギターリフを繰り出し、佐々木が言葉数の多いメロディを歌いながらスラップベースを弾くという真骨頂のコンビネーションで魅せるアップナンバー「Wonder Rule」へ。「最初から出し惜しみなしでいく」という佐々木の言葉どおり、企画ワンマンのファイナルとなる大切なステージを最高のものにしようという気合いが十分に伝わってくる幕開けだ。

「みなさん、準備はいいですか!?」。すっかり温まった会場のボルテージをさらに加速させるように佐々木が叫ぶと、性急なリズムが前のめりに駆け抜けていく「クローン」では、“もうひとりの自分”という歌詞にシンクロするように、スクリーンにはステージで演奏するメンバーをリアルタイムで複製した映像が映し出された。「次は少し雰囲気を変えて……」と、佐々木が曲のタイトルを告げた瞬間に会場がざわついたのは、サポートキーボードの“マツジュン”こと松本ジュンを迎えたジャジーでスタイリッシュな「誰も知らない夜に」。2013年にリリースされたミニアルバム『DIAL9』の収録曲で、実際にライブで演奏されたのは4年ぶり3回目ぐらいの曲だという。さらに木田がアコースティックギターに持ち替えて最小限の音数のなかで届けたミディアムテンポ「はしゃぐ君を見ていた」、マツジュンのピアノと佐々木の歌だけで聴かせた切ないバラード「ふぞろい」など、多彩なサウンドアプローチで新旧のラブソングを続けた中盤は素晴らしかった。ブッタには自身を鼓舞したり、見えない何かと戦うような曲も多いが、ソングライティングを手がける佐々木が生み出す愁いを帯びた美しいメロディラインと儚い歌声にはラブソングがよく似合う。会場がしっとりとした雰囲気に包まれたところで、大野によるドラムソロへ突入。自分のプレイを見せつけるというよりも、お客さんのハンドクラップを巻き込んだユニークなスタイルが面白い。そこに加わった木田は往年のハードロックに影響を受けたであろうギターソロを見せながらも、途中からサザエさんのエンディング曲を弾いてみたり、“木田こーじろー”らしい楽しいセッションでフロアを一体にした。

スクリーンにタイポグラフィーのように歌詞を映し出したダークサイドなロックナンバー「Fantastic Chaos」からライブは後半戦へ。「ついてこれるかー!?」という佐々木の煽りのあと、「あなた」で盛大なシンガロングを巻き起こすと、終盤で何度目かのハイライトを飾ったのは「fall fall fall」だった。「いつも明るいところに行くだけが正解じゃない。たまには落ちるところまで落ちてみようよ。俺らみたいに地ベタに足をつけて一緒に歩こう!」という佐々木の熱い言葉のとおり、落ちながらにして希望を捨てない泥臭いロックナンバーが生む圧倒的なカタルシスは、いつかもっと大きな会場でも感じてみたいと思う。

そして、これまでのブッタの楽曲のなかでもとりわけ疾走感溢れる「リード」のあと、ラスト2曲を残して佐々木が語りかけた。「高1のときに結成して、リアクション ザ ブッタっていう名前を付けて。“ゴリゴリのパンクバンドみたい”って思いながら(笑)、10年間やってます。俺たちがこの10年で誇りを持てるのが“あなた”の存在です。あなたが見てくれなかったらライブをする意味もないし、聴いてくれなかったらレコーディングする意味もない。あなたがいるから俺たちはやっていけるんだと思います」と。そして、2018年3月25日にバンドにとって最大のチャレンジとなる代官山ユニットでワンマンライブを開催することを発表すると、「何度失敗しても、何度自分を嫌いになっても、音楽は辞められない。メンバーが大好きだし、聴いてくれるみんながいるから。一緒に素敵な景色を見に行きましょう」と言って、その想いを音楽に込めた「何度も」へとつないだ。最高のテンションのままラストソング「ヤミクモ」へ。ウォーウォーというシンガロングと共に全員で作り上げたクライマックスで届けたのは“君がいて 僕になる”という揺るぎないメッセージだった。

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