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ただの娯楽としてではなく歴史的資産として残す、NPO法人「ゲーム保存協会」の取り組み

■11月にアーカイブを一般公開するにあたり、一般の方の利用として想定されるソフトの複製や著作権などに関わる問題が発生しうるかと思いますが、その辺りはどのようにクリアされましたか?協会施設内での利用のみで貸し出しは不可という形となるのでしょうか?

ーー著作権についてですが、まず当協会ではソフトの貸し出しや複製の譲渡は、展覧会など一部例外を除いて、しておりません。
アーカイブ内の資料を使うには、利用目的の明示が必要で、研究やプロジェクトの内容を事前にお知らせいただいておりますので、その内容を見てこちらで権利の問題がないかどうか確認したうえでご利用いただいております。
利用の内容によっては、権利の問題がないこと、閲覧して得た情報を悪用しないことなど、署名捺印をいただくようにしております。
基本的には、学術研究のため、記事など執筆にあたって必要な調査のため、あるいは著作権を持っている方からの依頼であれば、問題なくご利用いただけます。

■資料として現物の現状保存が原則かと思いますが、エミュレータを使ったソフトの公開なども今後展開として考えられているのでしょうか?テープやフロッピー類だとどうしてもカビていたり劣化していたりということもあるかと思います。データの保存という観点では実機で動かすことが困難なソフトもデータがあればエミュ上で走らせることができますが、こういった保存での資料も公開していく方向なのでしょうか?

ーーNPO法人ゲーム保存協会は、もともとゲーム保存に必要な技術を開発したことから法人として立ち上げた団体です。2011年の立ち上げ以前より、理事長のルドンはSoftware Preservation SocietyのKryoFlux、あるいはフロッピーハードエミュレータHxCなど、高精度のデータ・マイグレーションとリマスタリングの技術の開発に協力してきました。フロッピーディスクであればクラッキングやハッキングをせずディスクの全情報を正確にマイグレーションできるこれらの技術は、現在、大英図書館、フランス国立図書館など海外のアーカイブ機関で運用されており、ゲーム保存協会の保存作業にもこの技術を使っています。

コピープロテクトを壊した一般のコピーでは、ゲームのすべての情報を正しく保存することはできませんし、コピープロテクト自体も当時のゲーム文化を語る大切な部分です。当協会には、正確にすべての情報をマイグレーションして実機で動作可能な特殊リマスタリング技術がございますので、今後の劣化消失に立ち向かうべく、この方法で貴重なソフトの保存を続けております。

ちなみに、アーカイブ室の一般公開でも、ソフトの実機動作が必要な場合、オリジナルのマスターディスクは使いません。いくら丁寧に扱っていてもディスクを実機で動かせば、損傷や劣化の原因となります。アーカイブの閲覧依頼でソフトの動作が必要な場合は、上述の通り特殊な保存技術で保存したデータを利用し実機で動かす形をとります。当協会の技術を使えば、オリジナルのディスクを使って動かすのと全く同じ動作(フロッピーの読み込み時間なども実際にフロッピーで遊んでいただく時と同じように再現されます)が、実際の資料をい傷めることなく再現可能です。

なお、こうした特殊な保存技術と同時に国産PCの公式エミュレータを開発するプロジェクトが取り組みの中にございます。ただしこちらは開発費がネックとなりまだ今後の展開に関し検討中の段階です。

当協会の保存技術は、今後世界のアーカイブ機関のスタンダードになると予想されます。すべての基礎となるフィジカル・アーカイブ(現物資料保管)ができましたので、今後は、こうした高い技術力を駆使したデジタル・アーカイブを作りたいと考え、活動中です。実現すれば世界初、最大規模のゲーム・デジタル・アーカイブになりますが、特殊技術を駆使する保存には時間と人手、予算が必要です。今はデジタル・アーカイブ実現にむけ、多くの人からのご支援ご協力を募っている段階です。

■全国にレトロゲームバーなどが点在しており、それぞれが所有しているハードとソフトを店内で利用できるようにしている業態をとっているところも多くありますが今後そういった店舗等との連携はとっていく可能性はあるのでしょうか?ハードは各店舗が所有しておいて、ソフトの店舗への貸し出しというのも考えられるかもしれないと素人ながらに思いました。

ーー私たちの第一の使命は資料の保存です。劣化や損傷から貴重な文化財を守るために活動しておりますので、資料の外部への貸し出しには資料の安全が守られるかどうかなど確認が取れない場合一切お受けしておりません。ですので、一般の店舗への貸し出しは行いません。そうした古いソフトを楽しめる場が増えることは、文化振興の面で非常に喜ばしいことですが、私たちNPOは営利を目的とせず、きちんと資料を残すために活動する機関として取り組みを続けてまいります。
ただ、マシンの修理に関するノウハウや技術は共有できます。ゲーム資料をお持ちの方々から、機器の故障などでお問い合わせがあれば、修理修復のご協力ができます。

アーカイブの公開ができたのは、2011年から今まで変わらぬご支援ご協力をくださったサポーター会員の皆さまのおかげです。
私たちは私利私欲と離れ、できる限り中立公平な立場で、ゲーム文化とゲーム資料のために活動を続けます。
無償で作業にあたるボランティア、善意からコレクションを共有するコレクター、そして劣化と戦うために技術開発をするスタッフなど、力を合わせてこれからも世界一のアーカイブが作れるよう真摯に活動を続けます。
大きな目標を達成するためには、まだまだ力が足りませんので、ぜひこれからもたくさんの方にサポーターとして参加していただけたらと願います。

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 ゲームというとどうしても営利的な事柄と結びつきやすい側面がありますが、公平性を期するためにもできるだけ多くの方と協力し、文化のために活動を続ける団体でありたいということです。劣化はどうしても避けられない事象。できる限りの最高の保存状態を維持するためにもこうしたデータのすべてをバックアップして、コピーしたものを資料として活用していくことが必要不可欠となるのですね。

 レトロPCといわれている、80~90年代のパソコンも製造終了やメーカー撤退などで修理する技術や部品も限られてきているのが現状ですが、全国に点在している愛好家たちがこうして努力しているおかげで実機の保存もできている、ということです。こうした膨大なデータベースを学術的な研究に活かすべく、今回のアーカイブ公開となったわけですね。

 昔遊んだ懐かしいゲームたちを後世に伝えていくためにも、多くの人にこの活動を知ってもらい、力を分けてもらえればと思います。

<協力>
 NPO法人ゲーム保存協会

(梓川みいな)

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