「馬路村のぽん酢しょうゆ」があまりにおいしいので高知県民におすすめレシピを教えてもらった

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高知県はゆずの生産量が日本一

当然ながら高知県産のぽん酢は多数販売されています。その中でもすば抜けた人気と知名度、そして売り上げを誇るのが、馬路村農協が製造・販売する「ぽん酢しょうゆ ゆずの村」(以下、ぽん酢しょうゆ)。

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今や全国のスーパーでも購入可能な人気商品なので、このラベルを目にしたことのある人は多いはずです。昔はぽん酢にまったく興味がなかった筆者も、まず大手メーカーの某ぽん酢で目覚め、そしてこの「馬路村のぽん酢しょうゆ」に出合ってからは、「冷蔵庫に『馬路村のぽん酢しょうゆ』常備が当たり前」となりました。角のないまろやかな味わいはやさしくて、ほどよい酸味と天然のゆずのうま味が口に広がります。ケミカルな感じのものが入っていないってこと、体が感じます。

このぽん酢のふるさとである高知県馬路村は、人口904人(平成29年10月31日現在)の小さな山村。面積の96%は山林で、かつては林業が村の経済を支えていました。しかし木材価格の下落や資源の枯渇などによって衰退してしまったため、村の生き残りをかけて栽培を始めたのがゆずです。その加工品が今ではなんと年商約30億円を稼ぎ出しているのですから、このぽん酢しょうゆだけでなく、おのずと馬路村そのものにも興味がわくというもの。

そこで今回、馬路村農協の営農販売課課長である長野桃太さんに、ぽん酢しょうゆ誕生の背景や、ここまでメジャーになるまでの経緯などをお聞きしました。

――林業に代わる産業ということで、なぜゆずに着目されたのですか?

もともとゆずは村内に自生していたうえ、各家庭の庭先にも植えられているなど、村民にとってなじみのあるものでした。加えて馬路村の気候風土に合う農作物だということで、昭和38年から本格的に栽培することになったのです。

ゆずの加工品を販売するようになったのは、昭和50年頃からです。馬路村のゆずはやや小ぶりのため、そのまま出荷するとどうしても見劣りしてしまうのが難点でした。しかし加工すれば見た目は関係ないですから、そこに販売活路を見出したわけです。

――ぽん酢しょうゆはどのように売り上げを伸ばしていったのでしょう。

最初は販売ルートもないので、全国各地のデパートの物産展で販売しました。それで気に入ってくださった方から、馬路村農協宛てに注文のはがきが届くようになり、少しずつ、けれど着実に、知名度が上がっていきました。私たちは「ただぽん酢しょうゆを売るのではなく、馬路村を売ろう」という姿勢でやってきました。馬路村を知って欲しい、そしてぽん酢しょうゆだけでなく馬路村のことも好きになって欲しいという思いが強かったですね。

――人口1000人に満たない村がこれだけ有名になったということは、過疎化も止まりましたか?

残念ながら、ゆず産業がこうしてある程度形になって以降も、人口の減少は続いているのが現状です。ただし、ゆず産業がある程度の歯止めの役割をしていることは確かでしょう。また、県内外からのIターン者も増えているので、農協も雇用枠を用意したり寮を整えたりして、Iターン者の受け入れには積極的です。

どれほどおいしいぽん酢しょうゆを作っても、どれほど馬路村の知名度が上がっても、人口減少が続いていることには危機感を抱いています。ぽん酢しょうゆには「村をつぶしたくない、村を残したい」というわれわれの気持ちが込められています。

ぽん酢しょうゆは馬路村を背負っているんですよ。村の未来を託されているんですよ。あー、もうますます好きになったぽん酢しょうゆ。馬路村にも行きたくなりました。景観の美しさはお墨付きだし、温泉あるし、おいしいパン屋さんがあるといううわさも聞いたし……。

さて、このぽん酢しょうゆは県外でもメジャーですが、高知県民からももちろん愛されています。生産量日本一だけあって、高知県民にとってゆずは身近な調味料。瓶を持参して近所の農家からゆずの絞り汁を買い、自宅でしょうゆと混ぜるといった、ちょっと通な使い方もするそうです。なんかかっこいいな。

今回は「馬路村のぽん酢しょうゆ」のおいしさが際立つ料理を、夫婦そろって高知県出身という高岡津由さんに教えていただくことに。

なお、津由さんが今回、高校時代の同級生6名に自宅で使っているぽん酢の銘柄を尋ねたところ、全員がこのぽん酢しょうゆだったそうですよ。

津由さんはこのぽん酢しょうゆを冷ややっこ、しらすおろし、刺身、鍋、寿司など、多用途に活用。今回はぽん酢しょうゆを使った高岡家の家庭料理を3品、図々しくも自宅まで押しかけて教えていただいてきました。

津由さん、よろしくお願いします!

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あえるぽん酢「もやしぽん」

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【材料】(3~4人分) もやし 2袋 きゅうり 1本 カニカマ(ハムでも可) 1袋(ハムの場合は5~6枚) ぽん酢しょうゆ 70cc(好みに応じて増減可) ごま油 30cc(好みに応じて増減可) いりごま 適量(多めに投入がおすすめ)

津由さんのご主人のお母さんがかつて下宿屋を営むなか、「安くて手早くできて、しかもお腹にたまるもの」として作っていたのであろうもので、高岡家の定番メニュー。津由さんも嫁いでから教えてもらい、レパートリーに加わりました。簡単なのにおいしくて、大皿にどーんと作ってもあっという間になくなってしまう人気の一品です。

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作り方はいたって簡単。レンジで加熱したもやしの水気を絞り、千切りにしたきゅうりとカニカマを混ぜ、ぽん酢しょうゆとごま油であえるだけ。最後にいりごまをたっぷりと混ぜます。

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あえて注意点を挙げるとするなら、もやしのしぼり具合です。水気を絞りすぎるとシャキシャキ感がなくなるし、絞りが足りないと水っぽさが残ってぽん酢の味が薄くなるので、様子を見ながら絞りましょう。

絞ったもやしに軽くお酢かぽん酢で下味をつけてみたりして、味の調整をするのもコツです。

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かけるぽん酢「ぽん酢ワンタン」

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【材料】(4人分) ワンタンの皮 30枚分 豚ひき肉 300g にら 1束 かいわれまたは白髪ねぎ 適量 生姜 1かけら(すったもの) ぽん酢しょうゆ、ごま油 適量 塩コショウ 適量

「ぽん酢ワンタン」は津由さんが大好きな一品で、独身時代から何度も繰り返し作ったものだそうです。なるほど、手際よくワンタンを作っていく様子に納得です。

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豚ひき肉、にら、おろし生姜と塩コショウを混ぜてよくこねます。

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そのあんをワンタンの皮で包んで……

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ゆでて器に取ったら、かいわれか白髪ねぎをたっぷり。

その上からぽん酢しょうゆをかけ、さらにアツアツに熱したごま油をジュっとかけてできあがり。

ごま油が飛んでコンロが汚れるけど、熱いうちに掃除すれば油汚れも楽に落とせるから気にしないで! ごま油アツアツに熱する→皿に回しかける→すぐさまコンロを拭く、の流れで!

飽きのこない味なので、自分の胃袋サイズが怖くなるほど大量のワンタンが食べられます。

ワンタンの下に食べやすく切った水菜やレタスなどの葉物を敷けば、彩りがよりきれいに。

ひたすぽん酢「鶏のぽん酢だれ」

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【材料】(4人分) 鶏もも肉 500g(塩麹か日本酒などをすりこんでやわらかくする) 塩 適量

<タレ> だし汁 200cc(かつおでもいりこでもお好みで) コショウ 5ふりくらい(多めがおすすめ) わけぎ 適量 にんにく 1かけら(すったもの) ぽん酢しょうゆ 50cc(好みに応じて増減可)

タレとしてのぽん酢しょうゆ。豚しゃぶのタレに使うのは一般的ですが、鶏肉にはこんな使い方も合います。

津由さんご自身のお母さんが作っていたタレは、「だし汁+にんにく+塩コショウ+にら+醤油」だったそう。津由さんはそれをねぎとぽん酢しょうゆでアレンジしました。

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鶏肉は一口大に切り、肉を柔らかくするために塩麹か日本酒をすり込んで10~15分置きます。

その後、塩を振って焼きます。塩麹をつけた場合は焦げやすいので火加減に注意。

フライパンで焼く以外に、ホイル焼きや網焼きなどでもOKです。

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タレは煮立っただし汁におろしにんにくとコショウ、ぽん酢、わけぎを加えてできあがり。

コショウがぽん酢しょうゆとよく合うので、豪快に投入してください。このタレに鶏肉をつけていただきます。

タレと鶏肉の相性が抜群なのはもちろん、タレのおいしさにもびっくりです。スープとしていただくのもありのうまさ。筆者は器を持ってぐびぐび飲み干しました。そういううまさです。 f:id:uralatokyo:20171107092430j:plain f:id:uralatokyo:20171107093339j:plain f:id:uralatokyo:20171114173708j:plain

「もやしぽん」が嫁ぎ先の味なら、「鶏のぽん酢だれ」は実家の味。2つの家庭の食の歴史が津由さんの中でひとつになって、夫婦の食卓にごく自然に並んでいる。いいですよね。すごくいい。

高岡夫妻、ご協力ありがとうございました。末永く仲良くお幸せに~!

「馬路村のぽん酢しょうゆ」の魅力、伝わったでしょうか。

最後はもう一度、馬路村農協の長野さんから一言いただきましょう。

「馬路村のぽん酢しょうゆ」はおかげさまで30年超えるロングセラー商品です。それだけ長くご愛顧いただいているということも、馬路村の元気につながっています。今後もぽん酢しょうゆを通して、馬路村のことも知っていただけたらうれしいですね!

自宅の冷蔵庫にぽん酢しょうゆ、ありますか? なかったら次の買い物時、ぜひぽん酢コーナーで「馬路村のぽん酢しょうゆ」を。そして手始めに高岡家の家庭料理、やってみてください!

馬路村農協ウェブサイト:https://www.yuzu.or.jp/

書いた人:椿あきら

椿あきら

猫の下僕をしているライターです。猫と暮らすようになってから、断然家飲み派になりました。著書に『オリンピックと自衛隊 1964-2020』(並木書房)。

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