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就職活動失敗…からの「まわり道」、私が見つけた夢を叶える裏ワザ | クロスステッチデザイナー 大図まことさん

▲当時の作文と絵

とはいえ絵もそんなに得意じゃないし、自分には無理だろう……という諦めもあって。将来設計をたいして考えないまま、なんとなく学生時代を過ごしていました。

――現在のお仕事に至るまではけっこう回り道をされたそうですね?

私が大学を卒業した当時は、就職氷河期でどこにも新卒入社できなかったんです。結局アルバイト採用で酒屋で働きはじめました。でもやっぱりデザイナーとかクリエイターはオシャレだしかっこいいなっていう憧れの気持ちはあって、いつかはそういう職業に就きたいと思っていました。酒屋の仕事をしながら、デザインのコンペに出品したり、イラストを描いて応募したり、といったことには地道に取り組んでいました。

巡り巡ってファミコンに関わりの深い仕事に行きつく

――クロスステッチに出会ったきっかけは?

酒屋で働きながら創作活動をしていた時に、「昔ファミコンが好きだったし、当時はドロー系のソフトを使ったイラストや3Dグラフィック全盛期であまりドット絵を見る機会が無かったので自分で描いてみよう」と、ある日思いついたんです。すると、たまたま手芸の仕事していた友だちが、「ドット絵みたいな“クロスステッチ”っていう刺繍のジャンルがあるよ」と教えてくれたんです。そこで色々調べてみたら、男性でクロスステッチをやっている人はほとんどいないことがわかったんです。

クロスステッチは主に女性が愉しむ手芸なので、モチーフがお花など可愛らしいものが多かったんです。そんななか私は、昆虫や恐竜とか乗り物みたいな男子らしいデザインのものを作ってみたところ、ユニークな仕上がりになったんです。そこからはクロスステッチに集中して、作品を作りためるようになりました。

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――どうやって自分の作品を世間に知ってもらったんですか?

当時はちょうどブログブームだったので、ブログを通じて作品をコツコツ発表していったら、話題になり、クラフトフェアやアート系イベントといったところから声をかけてもらえるようになったんです。

そんなかんじで手芸やクロスステッチが好きになり、これは自分の仕事にしたいなと思い始めました。でもいきなりフリーランスのクロスステッチ作家になるというのは不安があったので、とりあえず手芸業界の企業に入ろうと思い、縁もあってオカダヤ(手芸用品・材料の専門店)で働きながら、自分の作品も発表しつつ、というステップを踏みました。

結局オカダヤでは3年ほど働かせいただき、ちょうど30歳になる直前で独立することにしました。幸いなことに早い段階から出版社から「本を出しましょう」と声をかけてもらっていたので、完全オリジナルの作品として、最初の一冊『ぼくのステッチ・ブック』(白夜書房)を出版することができました。

今までになかった男子目線の刺しゅう図案集だったので、とくに男の子のお母さんたちのウケがよくてヒットしたんです。読者の方から「作りました!」っていう反響のメールも直接届いたりして、嬉しかったですね。

――そうして、ファミコンで遊んだ経験がいまのお仕事に結びついたんですね。

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私の場合クロスステッチに出会い、そこに独自のモチーフで切り込んだことで仕事がどんどん広がっていきました。そうこうしてるなかで、「昔のゲームをモチーフにクロスステッチを作りませんか?」っていう声をかけてもらって出版したのが、『GAME&STITCH!』(学研教育出版)。ここをきっかけにさらにお仕事の幅が大きくなっていきました。

今は「TOKYO PiXEL.」という8bitカルチャーをモチーフにしたデザインブランドも立ち上げて、ファミコンで遊んだ『パックマン』をはじめ、ナムコ(バンダイナムコエンターテインメント)のゲームグッズなどもいろいろオフィシャルライセンス商品として作らせてもらっています。子どもの頃の「ファミコンを作る人になりたい」っていう作文が、めぐりめぐってこういう形でゲームに関われる仕事ができていて、なんか色々遠回りしたけど夢は少しだけ叶ったかな、と思っています。

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取材・文:深田洋介

1975年生まれ、編集者。2003年に開設した投稿型サイト『思い出のファミコン』は、1600本を超える思い出コラムが寄せられる。2012年には同サイトを元にした書籍『ファミコンの思い出』(ナナロク社)を刊行。

http: //famicom.memorial/

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