ガジェット通信 GetNews

見たことのないものを見に行こう

【原子力規制庁】塩崎恭久議員(自)政府案に対する野党対案の説明

DATE: BY:
  • ガジェット通信 GetNewsを≫

2012年4月25日 衆議院会館にて 塩崎恭久議員(自民)より原子力規制庁政府案に対しての野党対案についてのインタビュー全篇。
※インタビューは硬派経済ジャーナリスト磯山友幸氏 です。

以下書き起こし

磯山:政府が原子力規制庁案を出してまして本来は4月1日にスタートするはずだったのですが野党がこれでは不十分だということで賛成、議論をせずに対案を出す、ということでした。そもそも政府案と野党案とはどう違うのですか?

塩崎:いままでの原子力規制組織の問題点はなんだったかというと三つありました。一つは原子力の推進役と規制をする側が同じ組織の中にあって利益相反状態、やってはいけないことまでやってしまう。これが原子力村といわれてしまった一つの原因です。安全に徹しなければならない人が推進のことを配慮してやってしまう。これが最初の大問題です。

磯山:同じ経産省の中に産業所管部局と資源エネルギー庁、原子力安全・保安院がある。

塩崎:エネルギー庁っていうのは推進役です。それに対していままで原子力安全保安院というのがありました。これは規制側。ところがこれが同じ組織の中にありますからおおよそエネ庁の論理が勝ってしまって安全性が確保出来なかった。いいかげんなことをやってしまった。というのが問題です。安全のために絶対にやってはいけないこともエネ庁や所管部局がやってくれといったら「わかりました」となっていました。もう一つは事故の時によくわかったことですが政治が関与をしてしまうという形になっています、われわれは「菅直人リスク」と言っていますが素人が全く知らないのに「ベントをやれ」とか「海水注入を止めろ」とかそう言うことを言ってしまう。もう一つはIAEAの安全基準というのは他の行政からの独立性、他の役所の政治家や大臣からの独立性もなくてはならない、これも無かったということです。三つ目は本当の専門家が育ってなかった。たとえば検査に行くのにどういう検査をしたら良いのかを電力会社につくってもらうといった馬鹿げたことをやっていた。

磯山:ということは産業所管部局と資源エネルギー庁、原子力保安院が一体となって安全を守る側と原発を推進する側と一体だったという話ですが具体的に推進側が主導して安全をおろそかにしたいった事例はあるのでしょうか?

塩崎:防災計画をつくりましょうとIAEAが言ってきたことがありました。それが2005~06年くらいです。その時にJCOの事故というのがちょっと前にあってやっと熱りが冷めた所に「寝た子を起こすようなことではないか?この防災計画は!」という判断がエネ庁のほうにあったんだと思います。結果どうなったかというと保安院そのものが「防災計画はつくらない」ということを決めてしまいました。たぶんこれは「寝た子を起こすことになるんではないか」ということを推進側のエネ庁が判断をして規制側の保安院に命じた。推進側と規制側が一体となってしまって防災計画を作らなかったのではないかということです。今回のような事故が起きた時のことを決めておくということがそこで出来なかった。ですから推進役と規制役は一緒にしてはいけない。

磯山:国際的には防災計画を作れといっているのに推進側としてはまずいという判断があったわけですね?

塩崎:安全神話を崩すようなことがあってはいけないということで防災計画は無しということになってしまいました。今回これを独立させることで安全の論理は安全の論理で一貫してやる。推進は推進でいろいろ考えても良いけれども安全は絶対に譲らない。人事権で圧力をかけてくることも無い。そういう独立性をもった形で「ダメなものはダメです」といえる体制をつくろうとしています。

磯山:政府案ですがどういう感じになっていてどこに問題があるか?

塩崎:政府案はいままで経産省の下に保安院がぶら下がっていたのを環境省にぶら下げる規制庁という組織にしましょう。というふうにしています。一見推進役と規制役が独立したかのように見えますが実はこの長官というのは人事は全部環境省がやります、この長官人事は閣議で決まります。ということは総理を始めとした内閣が「この人がいいな」という人でなければならない。あるいはなったあとに罷免権が残ります。人事権は持ったままです。そうするとここが原発を再可動させるという安全判断をしたのに「安全ではないです」という判断を仮に行なったとしたら場合によっては経産省側が「手加減してはやく可動させてください」といって「そんなこと出来ません」といったら「わかりました、あなたには次からお願いしません」というので三ヶ月後に罷免をするようなことをほのめかしたら「わかりました、工夫して上手にやります」というようなことになってしまいます。そうすると安全に徹しない組織になってしまう。経産省と原子力規制庁が人事で繋がっているというのがものすごく危ない話です。規制の責任を持つ人たちは身分補償があって何があっても首にならない、というふうにしなければならない。原子力というのは危険な技術です。一歩間違えば今回のような大事故になる。もう一つは北朝鮮やイランでやっているように軍事転用できる技術です。政府がもし核兵器を作りたいと思ったらうまく裏でやらせることが出来てしまう。だから独立をしていなくてはダメだというのが世界の知恵なんです。

磯山:同じ内閣の中になって今まで経産省の下にあったものが環境省の下に移る、結果的には前とかわらないではないか?ということですね。

塩崎:これは第二保安院を環境省の下にぶら下げただけでノーリターンルールで規制側に人を育てて行かなければならない難しい技術ですし他の国はそうしているのですがノーリターンではなくまたエネ庁に戻りたいと思ったらエネ庁や産業所管部の意を介していいかげんなことをやったり退職する時に再就職を経産側にお願いするとなるとご機嫌を損なうわけには行かないので安全規制が緩む。そう言うことがあってはならないという意味でも完全にノーリターンルールに上から下までやらないと危ない。ノーリターンルールがなかったら結局「原子力村」がお引っ越しをしたということで終わってしまいます。

磯山:今までの人事もそうですよね、産業所管部局、電力を担当しているところから規制庁へいって資源エネルギー庁へ行って行ったり来たりしながら本庁で偉くなって行くというパターンだったわけですよね?

塩崎:我々の委員会にもエネ庁と保安院にいた人が行く可能性が高いわけです。知見をもっているのはその人たちですから。だけれども批判は「原子力村が移るだけではないか」という風にいう人がいるわけですけれども「もどらないこと」を前提にすればそんなことはなくて「もどるから原子力村」なんです。専門家を原子力村と呼んでたらでは素人だけでやらせるのかということになって恐ろしいことになってしまいます。

磯山:政治家のところも経産大臣やってた人が環境大臣やったりとかしょっちゅうかわるわけですよね、推進側の人が規制側にきて交渉するということも十分に考えられますね。

塩崎:罷免権をバックに推進側の大臣が無言の圧力を加えるというのもいくらでも考えられます。

磯山:今回、野党がまとまって、対案を出されたということですが、中身はどういう感じなんでしょうか?

塩崎:ここにあるように我々は、すべての役所から独立しているという「いわゆる」三条委員会(公正取引委員会がありますが)そういう自まかないで権限もある、予算も自分で決める、人事も自分でやるという。
そういうことによって、政治からの影響や他の行政からの影響を完全に排除して、そして自ら政府のどこにでも勧告ができるように(する。)ですから環境省も除染とか放射性瓦礫の処理をやりますから、その安全基準をつくるのは、当然原子力規制委員会であり、ここが環境省に向かって勧告を出すことができるわけです。

磯山:環境省の下にあると、除染とか瓦礫処理を優先させたいがために、「ここまでだいじょうぶだ」と緩い基準をつくる可能性があるということですね。

塩崎:環境省は、実はもう事業官庁になってしまって、放射性瓦礫と除染の処理をする。そうすると政府案のように自分の配下である原子力規制庁が、安全基準を作り監督をしていたら、いい加減なことをやってしまう可能性が非常にあるわけです。環境省との間の行ったり来たりも「これはだめ」ということが当然出てくるわけですね。

磯山:なるほど。そういう意味では、独立性をきちんと保たなくてはいけないと。それは国際的な常識でもあるというお話ですが。三条委員会というものが、なかなかわかりにくいんですが、公正取引委員会も、一般の国民には馴染みがない組織です。霞が関の方々は、三条委員会に抵抗が強いというか、あまり作りたがらないですが、何故三条委員会でなければだめなんですか?

塩崎:三条委員会の特徴は、自ら規定を作れる、つまり安全基準とか。そういうことの権限を持っている。
その委員長は政治家ではない、大臣ではないということですね。そして、その委員の元で規定を作れる。そのための事務局を自分で持っていると。自己完結型の組織で、他の行政から影響力を行使されないと政治からも行使されないというのが、三条委員会の最大の特徴なわけです。これらを、言ってみれば「格納容器のような形で守って」自分で物事を決めて自分で実行することができるのです。他の三条機関というふうに呼んでますが、国税庁とかあるいは海上保安庁とか、それぞれの役所に置いてある庁は、みな大臣がいてそれにしたがってやると。どうしても政治からの影響、あるいは内閣全体で「それは困る」ということは。安全性でやらなくてはいけないこともやらなかったりする。そういうことがありうるので、今回はIAEAの安全基準を守るというのが、一番大事な我々のルールでしたんですけれども、それを守るためには、三条委員会でないと難しいということなんです。

磯山:細野大臣が「危機が起きた時こそ、政治家が出ていかなくてどうするんだ」と国会答弁で仰ったんですが、それに対して塩崎さんは「それこそが菅直人リスクなんだ」と。ある意味、(細野大臣の発言は)国民にわかりやすい言い方なんですが、それは、なんでだめなんでしょうか?

塩崎:皆さんは、混同してましてね、危機の時にやることっていっぱいあるわけですよ。例えば放射能がでた時には避難してもらわなくてはいけない。自衛隊が放水をして、燃料、原子炉を冷やすとかやらなくてはいけない。それらは。原子力災害対策本部長たる総理が責任を持つのは当たり前なんですよ。我々が言っているのは、原子炉の扱いをどうするか、つまり問題が起きてメルトダウンだと。これを、どうやって抑えこんでいくのかという専門技術的なことについては、政治家が訳もわからないのに「右に行け左に行け」ということを言っちゃいけませんと言っているので。例えばですね、瀕死の重傷の患者さんを診ようとしているお医者さんに「あんたちょっとどけ」と。総理が「命を預っている俺が診断する」と言ったら家族は皆「やめてください」と言うでしょう?やはりお医者さんに見てほしいと。そのところだけを言っているのであって、後は、この専門組織が判断して「これは放水しないといけない」という時は、総理にお願いして「やって下さい」と。そうしたら総理は「よしわかった」というんで、自衛隊に放水せよと命令をする。
非常に緊密な連携をしないといけないということは間違い無いんですけれど。だからといって、素人が専門的なところの判断をやるということは、ありえないということだと思うんです。

磯山:その意味では、前回の例で言うと菅首相は本来やるべきでないことまで、踏み込んでやってしまった?

塩崎:それは「ベントをやれ」「海水注入をやめろ」と言ったと言っている。これは吉田所長が無視したという。これはいい意味で良かったんですけれど。命令する権限が大臣にあるのに対して、総理が命令しろといっている訳ですから。それともう一つは、例えば、浜岡原発を止めるとか、そういうものは、本部長が言うことでしたら無視できないわけですよ、今の法律体系では。で、政府案はまったく同じ法律体系のままでやろうとしているから、相変わらず「菅直人リスクはあります」ということなんですね。

磯山:今後、どういうプロセスで議論をされていきますか?

塩崎:重要な法案ですので、本会議で政府案と我々の自公案を並べて、そこでまず議論をして、それで委員会に下ろしてやると。そして修正協議をして、我々の案がIAEA基準を満たしているので「これでいこうじゃないか」と丸呑みしてもらおうと思っているんです。

磯山:なるほど。民主党の議員の中にも当然、安全性をもっと強化すべきだと言っている人もいるわけですよね?

塩崎:独立性を高めることで「安全性を高めよう」という人たちは結構いるはずです。

磯山:そういう意味では、議論をしていくうちに、政府に野党案を丸呑みしてもらうということがありうるということですか?

塩崎:審議を通じてね。独立性の問題、IAEA基準を満たしているかどうかということを、両案を比較しながら議論して、国民の皆様にも見ていただければ、与党の皆さんもわかってくれるんじゃないかなと思っています。なにしろ徹底議論をして国民と一緒に、与党も考えなおしてもらうということだと思います。

磯山:ありがとうございました。

下記使用した資料
原子力規制機関(簡単なポンチ絵)

【原子力規制庁】塩崎恭久議員(自)政府案に対する野党対案の説明 【原子力規制庁】塩崎恭久議員(自)政府案に対する野党対案の説明 【原子力規制庁】塩崎恭久議員(自)政府案に対する野党対案の説明 【原子力規制庁】塩崎恭久議員(自)政府案に対する野党対案の説明

東京プレスクラブの記事一覧をみる ▶

記者:

東京プレスクラブについて: 「オープン&シェア」を合言葉に、現在話題となっている出来事の取材やネットでのオープンな資料・素材公開をおこなっているブログメディアです。特定の記者やジャーナリストだけではなく「新しいテクノロジーを使って誰でも参加できる情報共有の場をつくる」ことを目標に、共有すべき資料は迅速に共有し拡散することで皆さんのお役に立つことを目指しています。 東京プレスクラブに掲載された情報は転載・引用・転送・共有・拡散、すべて自由です。もちろん、ブログ、ニュースサイト、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等々のメディアでの利用も自由です。

ウェブサイト: http://tokyopressclub.com

  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。