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パリで「本物のパン屋」を見分けるための豆知識(店内編)

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パリで「本物のパン屋」を見分けるための豆知識(店内編)

日本ではフランスパンと呼ばれて親しまれているバゲット。これは、私が暮らしているパリでも、もちろん日常的に食べられているもの。だからフランスには街のあちこちにパン屋があります。中を覗いてみると、バゲットやらクロワッサンが積み上げられていて、パンの焼ける良い香りが漂ってきます。

旅行中、そんな香りに誘われて「そうだ本場のバゲットを食べてみよう」と店内へ、なんてこともあるのではないでしょうか。

でも、ちょっと待ってください。そのお店、「本物のパン屋」ですか?

前回の「外観編」に続いて、今回は「店内編」をお届けします。

スタンダードなバゲットの横に……

パリで「本物のパン屋」を見分けるための豆知識(店内編)

それでは、ちゃんと「Boulangerie」と名乗っているお店に入ったとします。よく見てみると、実はバゲットにも種類があることに気づくでしょう。そもそもバゲットとは細長いものを指す言葉。そのような形をしたパンにもまた種類があるのです。

いわゆるスタンダードなバゲットの横に、「トラディション」と呼ばれるバゲットがあります。見た目はほぼ同じですが、普通のバゲットより値段が少しだけ高め。

このバゲットは、その名の通り、昔ながらのレシピが復活したものです。工場でのパンの生産量が増え、同時に添加物が入ったパンがスタンダードになりつつあることに危機感を抱いたパン屋さんたちが、93年に伝統的なレシピのステータスを復活させたのです。

もちろん、なんでもかんでも「トラディション」という名前を付けていいわけではありません。この名前をつけたパンを売るためにもまた、いろいろと条件が定められています。パリで「本物のパン屋」を見分けるための豆知識(店内編)

まず材料は、小麦粉、水、塩、パン用ふくらし粉、パン種のみ。それから、パン作りの過程を最初から最後までお店でやること。その過程で冷凍をしないこと。最後に、添加物を一切使用しないこと。これらはデクレという政令(法律の一種)によって義務付けられているものなのです。

スタンダードなバゲットは、イチからお店で作られていたとしても、使用されている小麦粉自体に、日持ちするため、あるいは膨らみやすいように、と添加物が入っていることがあります。トラディションを作るときにはそのような添加物が含まれた小麦粉を使ってはいけないことになっています。

添加物が多少入っている小麦粉を使うメリットとしては、見た目が綺麗で長持ちするパンが作れる点ですが、実は無添加の小麦粉は時間が経つにつれて酵素が変化し、消化にもいいと言われています。

ヴィエノワズリー(菓子パン)の見極め方も

パリで「本物のパン屋」を見分けるための豆知識(店内編)

次に、フランスのパン屋さんで気になるのが、クロワッサンやパンオショコラなどのヴィエノワズリー。タイミングがいいと、オーブンから出てきた焼きたてを並べているところだったり。

ですが、これらが冷凍物ではないか、本当に手作りのものかどうかを見抜くのは、かなり難しいのです。というのも、この分類に関してはパン屋のような法律で決められたルールがないから。したがって、「Boulangerie」を名乗っているお店でも、クロワッサンやパン・オ・ショコラは冷凍、なんてことがしょっちゅうあるわけです。お店によってはエクレアなどのケーキ類を置いているところもありますが、最近はこれらも冷凍品であることが多いのです。

また、イチから自分のお店で作っていたとしても、人手不足を補うため、もしくは効率化を理由に、作ったネタを一旦冷凍するというお店も。

そういう場合でも、本来ならば「解凍品」であるということが分かるように、ペンギンやイグルーなどの記号を使って明確化することが定められてはいるのですが、実際に守っているお店が少ないのが現状です。

では、どうやって見分けたらいいのでしょうか?

もし、どれも同じ形・大きさをしていて、お店に一日中、品薄にもならず並び続けている場合は、店内にストックがある=冷凍品が解凍されたもの、という可能性が高いです。工場から冷凍した状態で届けられ、前夜に店頭に並べるということが多いようです。

つまり、一番手っ取り早く見分ける方法は、自分の目で見て判断すること。それでもわからず、どうしても知りたい場合は、お店に聞くしかありません……。

時代とともに変化する「フランスのパン事情」

パリで「本物のパン屋」を見分けるための豆知識(店内編)

このようにパン屋が冷凍品を並べるようになってしまった理由は、フランス人の消費スタイルの変化にあるようです。現在、フランス全国で「パン屋」の称号を持っているお店は3万店舗ほど。しかし、1950年代には5万店舗ほどあったというので、かなり減少傾向にあると言えるでしょう。

また、フランス人の6割ほどが「パン屋」でパンを購入しますが、スーパーなどパン屋の称号を持っていないお店で購入する人の割合が増え続けているのが現状です。実はフランス人のパンの消費量が50年代には1日325gだったのが現在では130gにまで減っているということもこの業界に大きな影響を与えているようです。

驚くことに、フランスへ来て本物の美味しい手作りパンに巡り合うのは、難しくなりつつあるという現実があります。そしてこのような中、最近のフランス人たちは無添加やオーガニックなど質の良いものを求める傾向があるようです。彼らの食のスタイルが変化の真っただ中にあり、パンの消費量が減少しているわけですが、その質に関する需要は高まっているのです。

フランス=パン、といった固定化されたイメージがありますが、それも時代によって変化していくものなのです。今後、フランスのパン産業がどのような変化を遂げるのか。現地で注目し続けていきたいと思います。パリで「本物のパン屋」を見分けるための豆知識(店内編)Reference:Légifrance,Bastamag,Franceinfo

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