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モツ煮と何が違うの?愛知名物「どて煮」をフカボリしてみた

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名古屋市を中心に愛知県で愛されているローカルフード、どて煮をご存じですか?

ざっくり言うと、牛スジやモツの味噌煮です。居酒屋さんの定番メニューで、

行くと必ず頼む!

という県人は多いんですよ。クタクタになるまでしっかりと煮込まれて、酒のアテにいいんだよなあ。

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味つけの決め手はなんといっても、八丁味噌(はっちょうみそ)。どうです、この深い色! 味噌も日本各地でいろいろなものがありますよね。八丁味噌は愛知県だけで作られているもので、原材料は大豆と塩のみ。岡崎市の旧・八丁村で造られたことから、この名前となりました。

味わいは……実にビター! うま味も濃いんですが、口に含むとまずシャープな渋みが感じられます。

普段の味噌汁も八丁味噌ですよ。

なんて声も聞かれるぐらい、愛知県人にはおなじみのもの。

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八丁味噌をたっぷり入れて、砂糖とみりんで甘みをきかすのが味つけのポイント。今回、愛知県人にいろいろ聞き込みをしましたが、 「砂糖と味噌は同量で作る」 「ざらめや黒糖を使う」

なんて意見が聞かれるほど、甘みは味つけの要。ざらめや黒糖は、白砂糖よりこっくりとした存在感のある甘みが加えられます。

居酒屋さんの定番メニューと書きましたが、「家で作って楽しむ」という県人もかなりいらっしゃいました。

実家が名古屋ではないですが愛知です。具は白モツ、人参、大根、こんにゃく。甘味はみりんとザラメでザラメ入れすぎると苦味が出るんで白砂糖も入れてた気がします。基本は八丁味噌でお醤油も少し入れてました— 阿冬宏@3日目東リ-36a (@lunanoxx) 2017年10月14日

はじめまして。両親も私も愛知出身、愛知育ちです。私が子供の頃、母が、大根・こんにゃく・ねぎなどと一緒に赤味噌や砂糖で煮込んで作ってくれた記憶があります。甘みは砂糖のみだと思います。今は家ではほとんど食べず、居酒屋で食べることが多いです。— 若子みな美* 管理栄養士 (@m1chirorange) 2017年10月16日

愛知産まれでは無いのですが、家人に請われて見よう見まねで作ります。

牛すじ派です。甘みは味醂ときび糖(家にある物)。

こんにゃくと大根を入れます。

煮込んだ方が美味しいです。

甘みもですがやはり八丁味噌があってのお料理かと思います。— キーコ (@ki_ko51) 2017年10月13日

レシピをうかがって何度か試作して、初めてでも作りやすいどて煮レシピ、考えてみましたよ。

〇具材その1

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今回のメインは豚モツ。豚の小腸で、スーパーでも肉売り場でよく売られています。どて煮は牛スジ、または牛スジと豚モツのミックスで作られることが多いんですが、牛スジは全国的に見るとちょっと手に入りにくい。ちなみに名古屋では「ほぼどこのスーパーでもある」のだそう。うーん、料理好きとしてはその環境、うらやましい。

〇具材その2

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コンニャクと大根!

牛スジやモツだけで作るという人も多かったんですが、その他の具ではこの2つがよく利用されているようです。煮ても煮崩れしにくいので、重宝されるんだろうなあ。味の染みたコンニャクと大根はそれだけでいい酒肴なので、今回は入れるとしましょう!

さあ、レシピです。

どて煮(4人前程度)

材料 豚モツ 200g 大根 250g コンニャク 150g

調味料 赤だし味噌 大さじ4 酒 大さじ4 みりん 大さじ3 砂糖 大さじ2

※八丁味噌、愛知や岐阜以外だとちょい入手しにくい。なので、ここでは八丁味噌と同じ豆味噌をベースにつくられている「赤だし味噌」を使用しました。

【最初に言っておきますね】

どて煮、料理としてさほど手間はかかりませんが、時間はかかります!

最低、2日は“育てて”ほしいです。

なので気長に作れるときにトライしてください。時間のかかったぶんのおいしさは、確実に返ってきますから。

それでは、始めましょう!

調理スタート

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まず大根は、皮をむいてイチョウ切りにします。こんな感じ。

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コンニャクはこのぐらいの大きさに切るか、ちぎるかしてください。適当でかまいませんよ。私は最初からこの状態になっているコンニャクを買ってきます。コンニャク売り場、見てみるといろいろな形状のものが売っていますよ。チェックしてみてください。

そして切ったら、熱湯で2~3分ほど下ゆでして、ざるにあげておきます。

この下ごしらえ、けっこう大事。ゆでることでコンニャク独得の強い香りを取って、味を染みやすくさせます。

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豚モツも同様に、鍋にたっぷり水をはってモツを入れ、一度沸騰させてザルにあげます。まだ臭みが気になるようであれば、もう一度同じことを繰り返します。面倒かもですが、丁寧にやっておくと味がきれいに入りますよ。

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さ、鍋に大根、コンニャク、モツを入れて全体がつかるぐらいの水(分量外)を入れて火にかけましょう。強火でいいです。

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湧いてきたらアクがぶくぶく出てくるので、いったん取り除きますよ。アクを取ったら火を中火にしてください。ここで調味料をすべて入れます。

その前に……

<<ポイント>>

味噌は商品によって甘さ、塩辛さがかなり違います。今回は「大さじ4」としていますが、まず大さじ3ぐらいで一度入れてみて味見をして、薄ければさらに足し、ちょうどよければそのままでやってみてください。

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味噌は溶けにくいので、こんなふうに先に溶いておくといいですよ。この泡立て器は100均で買いました。

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調味料をすべて入れたら強火にして一度沸かしてアクを取り、全体を混ぜます。そうしたら中火にして煮ていきます。まず最低でも30分、できれば1時間は煮てほしい。アクはずっと出続けるので、折々で取ってくださいね。そんなにこまめにやらなくてもOK。だんだんと汁が蒸発して飛んでいきますので、減った分は水を足して加熱します。

これを繰り返して、できれば2時間、3時間と続けていただきたい。煮られるだけ煮たら、フタして置いておき、熱がとれたら保存容器に移しかえて、冷蔵庫や冷暗所に置いておきます。※夏場は冷蔵庫に必ず移してください

翌日、同じように1時間、できれば3時間ぐらい煮ます。これで一応の完成。

名古屋のあるかたから、

昔は冬になると父がストーブで作っていました。ショウガとネギのぶつ切りも入れてましたね。

なんて教えてもらいました。ストーブで水を足し足し、どて煮が煮える……いい情景だなあ。どて煮、向こうでは一年中食べられてますが冬の季語って感じですね。

煮込んでうまい八丁味噌

さて、味噌って「煮立ててはいけない」と教えられるものなんですよ。風味がいのちで、煮るとその風味が飛んでしまう。だから食べる直前に入れて、入れたら煮立たせないというのが常識。しかしこれ、八丁味噌に関しては違うんですね。

八丁味噌は煮立てても風味が飛ばない。むしろ味やコクが増す。

とは地元のかたの声。一度、地元のかたの味噌汁づくりを見せてもらったことがあるんですが、八丁味噌を入れてからぐらぐら煮るのでびっくりしました。

「こうやったほうがうまくなる」とおばあちゃん。いただいてみれば、確かに風味も飛んでないし、コクがあって実にうまい。ビックリしました。

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1日目、30分煮るとこんな感じ。私はさらに2時間煮て、1日置きました。

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翌日さらに1時間ちょい煮てこんな具合。どんどん色が染みて、濃くなっていきます。

この成長が、料理しててうれしい!

じっくり煮て料理を“育てる”感じ、煮込み料理の醍醐味(だいごみ)です。写真で分かるでしょうが、なんかゆで卵入れたくなっちゃいました。それは後でご紹介するとして、さあ盛りつけましょうか。

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たまらないっすねえ。

本来はネギの刻んだのが欠かせないのですが、ちょっと質感を伝えたかったので省いております。やっぱり煮たら半日休ませるの大事。火を止めて温度が下がっていく間に味が染みていきます。

たとえば週末、土曜日の午前中にはじめて、半日休ませ、日曜の午前中に煮てまた休ませ、晩酌のアテにする……なんていかがでしょうか。ええ、気の長い話ですが、どて煮を楽しむならやっぱりこのぐらいの時間、必要。

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さらに3日目のどて煮。より黒ずんできてます。

そうそう、ちょっと邪道なんですがゴボウを加えてみました。「合うに違いない!」と思っちゃったんですよ。

こんな変化球も楽しい

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ああ……やっぱり八丁味噌の味わいにゴボウ、最高に合います。しかしこれは「ゴボウとモツの味噌煮」という感じ。どて煮とは別物になっちゃいますが、アレンジして遊ぶのも楽しいもの。

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それから、どて煮の汁でカキをサッと煮てもうまいですよー! 加熱用のカキを下洗いして、4~5分煮ればできあがり。つまみとして抜群です。

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そうそう、

どて煮の汁を浸けて食べる串カツが最高なんです。東海地方のお祭り等の出店では、どて煮(串)と味噌串カツがセットで売られているのが定番!(๑´ڡ`๑)

てなことも愛知のかたに教えていただいたので、早速試してみました。

うまいなーッ!

いやはや、いいアテ。「これが味噌カツのルーツかも」という声も。

あ、そうそうさっきのゆで卵。どて煮汁、卵を浸けても当然うまいんす。

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汁が染みた卵と一緒に、どて煮をごはんにかけて食べてみてくださいよ。

最高ですから。

これ、現地では「どてめし」として定番の食べ方。我が家でも定着しそうです!

さて、ここまで書いておいてなんですが……大量に仕込んで長時間煮込まれ、さらにはつぎ足しつぎ足しで作られた現地のどて煮はやっぱり格別。牛スジバージョンもぜひ食べてほしいので、名古屋や周辺に行かれた際はぜひトライしてみてくださいね。

以上、どて煮実作レポートでした!

【おまけ】

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どて煮、たくさん作ってあまっちゃったらカレーにするのもなかなかうまい。カレー粉を入れてひと煮立ちさせるだけです! いやホントに、甘味噌とカレーけっこう相性いいんですよ。上の写真は豆の水煮缶(食塩不使用のもの)を足したもの。この組み合わせ、かなり良かったです。

今回たくさん試作して、正直ちょっと食べ飽きてきたとき(笑)、ふと思いついてやってみたらこれがGOOD。ぜひ試してみてください。

※この記事は2017年11月の情報です。

執筆・撮影:白央篤司

白央篤司

フードライター。雑誌『栄養と料理』などで連載中。「食と健康」、郷土料理をメインテーマに執筆をつづける。著書に「にっぽんのおにぎり」「にっぽんのおやつ」(理論社)「ジャパめし。」(集英社)がある。 facebook:atsushi.hakuo ブログ:独酌日記

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