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BUGY CRAXONE20周年ワンマンに見た、ロックバンドの生き様

BUGY CRAXONEが11月19日(日)、渋谷CLUB QUATTROにて『20周年ワンマン“100パーセントナイス!”』を開催した。1997年に北海道札幌市で結成され、1999年にメジャーデビュー。その後自主レーベルでのインディーズ活動、メンバーチェンジなど、紆余曲折ありながらも止まることなく走り続けてきたロックバンドの20年の生き様を、これでもかというくらい見せつけた。
11月19日(日)@渋谷CLUB QUATTRO photo by 新保勇樹 (okmusic UP's)

定刻を少し過ぎると、客電が落ち、SEが鳴る。リズムに合わせて頭上高らかにクラップするフロアいっぱいの“ナイスちゃん”(=ファンの総称)がメンバーを盛大に迎え入れる。「元気かー? 楽しんでいこうぜー!」すずきゆきこ(Vo)が叫ぶ、クラップの軽快なリズムを受け継ぎながら、「ハレルヤ」が始まった。後方まで埋まった会場を隅々まで見渡し、満面の笑みを浮かべながらすずきは嬉しそうに歌う。そんな彼女を前に、10〜20代からメンバーと同世代、そしてもっと上の世代も……幅広いナイスちゃんたちが手をかざし、ともに歌う。「ドアタマからボルテージを上げ、会場は熱気に包まれーー」のようなロックバンドとは異なる、あたたかくて、ほっこりしていて、しあわせ感に溢れた、ブージーらしい空間が広がった。

つづく「花冷え」「ボクを信じて」と軽快なナンバーのあと、「よかったぁー、できたぁー、クアトロー」と思わずこぼれたすずきの声にフロアから暖かい拍手が送られる。「ホントに、ありがとう。ホントに!……まだこの後なげーから(笑)」鳴り止まぬ拍手と捲き起こる“ブージー!”コールを照れくさそうに制すると、「WATCH YOUR STEP」へ。先ほどまでとは打って変ってキレのあるリズムにクールなヴォーカルが映えるパンキッシュなナンバー。この緩急のついた振り幅もブージーの魅力だ。

すずきの叩きつける感情と洪水のようなバンドアンサンブルが襲う「悲しみの果て」、鋭い刃のような切れ味を見せる「Come on」、かと思えばキャッチーなメロディとリズム、すずきが指をクイッとフロアを煽り皆大声で歌った「なんとなく Be happy」、次から次へと繰り出す珠玉の楽曲と演奏の幅にバンドの懐のどデカさを見た。

サウンドも、グルーヴも、とにかく図太い。一切の迷いのないリズムでアンサンブルを司っていくヤマダヨウイチ(Dr)と地を這うように重く、大きくうねりをあげる旭司(Ba)。笈川司(Gt)のギターは歪んでいないのに、ときに豪快に音の壁を作り、ときに繊細に楽曲に彩りを与えていく。特別音がデカいバンドではないし、音数の多いバンドでもない。ましてやカラフルなサウンドメイクを使い分けるわけでもない。綿密に構築されたアレンジとフレーズだけで、さまざまな表情を見せていくのだ。

中盤、淡々と刻まれるヤマダのリズムにどよめきが起こる。デビュー曲「ピストルと天使」だ。ヒリヒリとした焦燥感が胸をえぐるような楽曲は、現在のブージーが、現在のすずきが歌っても、あのときのままだった。当時に思いを馳せた人も少なくはなかったはず。そんな感傷に浸ってみるもつかの間、最新アルバム曲「シャララ」ですぐにその気持ちを払拭してくる。その様がいかにもブージーらしい。ラストも2ndシングル「罪としずく」で観る者の心に揺さぶりを掛けておいて、「ぼくたち わたしたち」で、あっけらかんと思いっきり感傷をぶっ飛ばしてくれた。

アンコールは「New sunrise」。あの頃のブージーは、すずきゆきこはどこか生き急いでいて、なにもかもがギリギリだったように見えた。だからこそ、この曲が生まれたんだと思う。〈悲しみと失望の間で希望は生まれるんだ〉その歌詞は当時とまったく違う意味になっている気がした。ラストのラストは「枯れた花」。怒涛のアンサンブルとグルーヴ、猛り狂うように歌うすずきが、会場を圧倒した。

「20年より、この1年がとにかく長げぇかった」すずきがそう口にしていたように、開催発表から1年、この日のために駆け抜けてきた。そうした中でのメジャーレーベルへの移籍、なにより2000年の同会場での初ワンマンのリベンジの意味合いもあった。

17年越しの渋谷CLUB QUATTROワンマンは、ステージ上の4人と会場を埋め尽くしたナイスちゃんたちの思い、“ぼくたち わたしたち”の空間に“ベリナイス”な音楽が鳴り響き、大盛況で幕を閉じた。

「この20周年が終わると、また来月からいつもの調子の、……でも、今日を経たことで、抜群にカッコイイ! と思うんだよね、ヘヘヘ(笑)」

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