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新進気鋭の作家が海外を放浪しているときに出会った衝撃的なエピソードとは?

新進気鋭の作家が海外を放浪しているときに出会った衝撃的なエピソードとは?

出版界の最重要人物にフォーカスする『ベストセラーズインタビュー』!

 第48回となる今回は、『盤上の夜』で第1回創元SF短編賞山田正紀賞を受賞してデビュー、この作品が収められた同名の短編集がいきなり第147回直木賞候補となり、同作で第33回日本SF大賞を受賞した宮内悠介さんです。

 この作品では、将棋・囲碁などのボードゲームを中心に据え、一人のジャーナリストを通して、それらのゲーム・競技のさなかに起こった人知を超える事件や出来事が語られます。

 古くから人間が親しみ続けてきた“ボードゲーム”に宮内さんはどのような可能性を見出したのでしょうか。

 注目のインタビュー、いよいよ最終回です!

■「質にこだわって、ヘンなものを」

―現在は長編を執筆中とのことでしたが、刊行のご予定はいかがですか?

宮内「春ごろに2冊予定していまして、一つが長編で、もう一つが連作短編集です。

長編は精神医学をテーマにした書き下ろしで、何事もなければ東京創元社から刊行されます。短編集のほうは、早川書房の『S-Fマガジン』に載せてもらった連作がありまして、それに書き下ろしの短編を一つ加えて一冊にまとめる予定です。こちらは“DX9”という楽器のような初音ミクのようなロボットが、世界各地で紛争や民族衝突、革命など色々なものと交差するという、ライトなようなヘビーなような、いわくいいがたい作品になる予定です」

―そういえば、宮内さんは海外を放浪していたことがあるとお聞きしました。

宮内「放浪と呼べるかどうかは別として、大学を出て、アルバイトをして貯金して旅に出て、ということをやっていました。当時インドとアフガニスタンに行ってみたかったので、南アジアを回りまして。そこからは合間合間にどこかに行ってという感じですか」

―パキスタンにも行きましたか?

宮内「インドからパキスタンに行って、アフガニスタンですね。その国境がカイバル峠と呼ばれる場所なのですが、円城塔さんと伊藤計劃さんの『屍者の帝国』に出てきまして、“俺、行ったことある!”と少しにやにやしました」

―かなり長期間にわたって海外に行かれていたかと思いますが、そもそもなぜ海外に出ようと思われたのでしょうか。

宮内「高校時代からずっと小説を書いているのですが、理屈に偏りがちといいますか、頭の中だけで話を作りがちな、そういう傾向が自分にあるとわかりました。

で、変な話なのですが、“この後仮に作家としてデビューできても、一作か二作書いて早々にフェードアウトしそうだ”と思うに至ったのです。明らかにポイントが間違っているというか、どちらかといえば、それを心配すべきはまさにいまこの瞬間なのですが、とにかくそう思ったわけです。それで、あわよくば自分の内面を広げて価値観も壊してみよう、と思い立ち日本を出ました。だから結果的には自分探しと何も変わらないと言いますか(笑) 」

―旅先で一番衝撃的だったことはどんなことでしたか?

宮内「そういえば、南インドからカルカッタに電車で北上している時に、バングラディッシュの学生と友達になったことがありました。で、遊びに来てくれというので、バングラディッシュに行ったついでに彼の家に遊びに行ったんです。ところが私が訪ねた時に彼は不在でして、妹さんにお土産だけ渡して宿に帰ったのですね。すると、いったい何をどうしたのか、彼は私の宿を突き止めて、馬車にスーツに薔薇という出で立ちで迎えにきたんです。あれはびっくりしました(笑)季節的に日本人があまりいなかったからかも知れませんけど、それにしてもどうやって突き止めたのかと」

―そういった海外での体験を小説に書いてみようと思ったりもするのでしょうか。

宮内「いずれは、という感じでしょうか。海外に行ったからといって、それを書くというのも安易な気がしますし。だから、まずは日本を描いて勝負して、という思いがありまして、『盤上の夜』の主な舞台が日本であるのは、それが理由です。 ただ、少し前、梓崎優さんが『叫びと祈り』を引っさげてデビューして話題になったのですね。これはジャーナリストが世界各地で謎と遭遇する話でして、最初がこれでもいいのだと驚いたことを覚えています」

―作家として、今後の目標や抱負があれば教えていただければと思います。

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