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梅干し、奈良漬、豆腐、柚子酒。でもチョコレートです

梅干し、奈良漬、豆腐、柚子酒。でもチョコレートです

ほんの数年前まで、カカオ70%とか95%のチョコレートなんて、苦くて渋くて食べれたもんじゃない、と思っていた。けれどそんな私もいつの間にかカカオの風味に目覚め、チョコの魅力に気づき始めた。きっかけは2014年に日本初上陸した『Minimal -Bean to Bar Chocolate-』のNUTTY ROASTY。あれはカカオ85%だけどすごくおいしかったし、私のなかでちょっとした革命だった。

そこから、『USHIO CHOCOLATL』『Dandelion Chocolate』など話題のチョコレートショップがオープンするにつれ、物理的に選択肢が増えたことで、元来チョコレート好きの私はさまざまなチョコレートを食べ歩くようになった。だから、ちょっとやそっとの変わり種チョコにも驚かない自信があった——のに。

このニュースを見たときには、さすがに驚いた。それは……。

梅干しに、奈良漬!?

梅干し、奈良漬、豆腐、柚子酒。でもチョコレートです

左・燻し梅干し/右・京奈良漬(賀茂茄子)

正直にいう。まず、理解に苦しんだ。

冒頭で書いたとおり、チョコは好きだし、いろんな選択肢を楽しめるとわかっている今だからこそ、どんなチョコにも果敢に挑戦したいとすら思っている。けれど、これは……? しかも、ロンドンで行われたチョコレートの世界大会「インターナショナル・チョコレート・アワーズ2017」で金賞を4品も受賞していると聞いて、ますます謎は深まる。

そしていろいろ調べていくうちに、この謎のチョコの製作者に行きつく。それは——。

キング・オブ・パティシエ!?

このチョコレートを作っているのは、兵庫県三田市にある『パティシエ エス コヤマ』だ。このお店のオーナーシェフ、小山進さんは、1990年代に人気を博した『TVチャンピオン』のケーキ職人選手権大会で何度も優勝を果たした腕の持ち主。2000年に独立し、その3年後にオープンした念願の自店が『パティシエ エス コヤマ』だった。

まさに、キング・オブ・パティシエともいえる小山さん。そんな彼が目指したのは、チョコレートで「日本の素晴らしい素材を深く掘り下げ、世界のカカオとの組み合わせを探求していく」ことだった。

燻し梅干し、京奈良漬のほか、受賞作のなかには、梅干し、奈良漬、豆腐、柚子酒。でもチョコレートです 和歌山県の「完熟赤山椒」に、伝統野菜の「日の菜漬け」!梅干し、奈良漬、豆腐、柚子酒。でもチョコレートです

四国の「吉野川産青のり」に、兵庫県奥丹波・山名酒造の「柚子酒」!

このほかにも「味噌漬けスモーク豆腐」や「生姜の醤油漬けプラリネ」といった、想像を超える和素材とチョコレートとを組み合わせ、日本流チョコレートの新境地を表現し続けているのだ。

でも、驚いてばかりじゃ
いられません!

なので、考えてみた。
見つけたときはもちろん二度見、三度見くらいの衝撃だったけれど、それぞれの素材とチョコの関係をよく考えてみると、だんだん「ああ、そりゃそうだ」と納得することができた。

そもそも人の味覚って、苦味を感じるセンサーがダントツで多いらしい。逆に一番少ないのが甘味を感じるセンサー。基本味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)の感じ方に差があるということは、素材そのものの味はもちろん、そこの緻密な計算も必要になってくるということ。さらには、人間には舌以外の感覚で感じとる味(辛味、渋みなど)もあるので、そのバランスも必要になる。それこそが、食べ物のマリアージュを豊かにしていくキモなのだ。

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