否応ないEV化の波……。心が叫びたがってるんだ! 至高のV6アルファに乗れと!

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▲写真はアルファロメオ 156 GTAの3.2Lエンジン。このようなディープで強烈なガソリンエンジンを普通に楽しめるのも、もしかしたらあとわずかな時間なのかも?

▲写真はアルファロメオ 156 GTAの3.2Lエンジン。このようなディープで強烈なガソリンエンジンを普通に楽しめるのも、もしかしたらあとわずかな時間なのかも?

「あの味」を経験しないままEV/FCVに行くわけにはいかない……

好評のうちに閉幕した東京モーターショー2017。そこではステキな内燃機関搭載モデルの展示もそれなりに豊富ではあったが、基本的には「電動化」と「自動運転」のための一大ショーケースであったように思われた。

実際、筆者が取材した某超有力経済団体によれば、2020年には専用レーンを自動走行する燃料電池バスが社会実装される公算が高く、「そのための技術はすでにある。あとはそれをどう適用・運用できるかという調整の問題」とのこと。2020年の時点ですべての交通が完全自動化されるわけではないが、社会全体および自動車業界が「その方向」へと向かって動いていることは間違いない。

一個人が時代の大きな流れに逆らうのはほぼ不可能であるため、筆者のような古典派の自動車愛好家もそれについては「ま、仕方ないよね」とは思っている。しかし同時に強く思うのが、「……でも、その時が来るまでに“あの素晴らしいエンジンたち”を存分に味わっておかないことには、自動車愛好家としての魂が成仏できないよ!」ということだ。

▲東京モーターショー2017にも出展されたメルセデス・ベンツの「コンセプトEQA」。もちろんこういうのもステキではあるが、こちらとしてはその前にやっておくべきこと(買っておくべきモノ)が……

▲東京モーターショー2017にも出展されたメルセデス・ベンツの「コンセプトEQA」。もちろんこういうのもステキではあるが、こちらとしてはその前にやっておくべきこと(買っておくべきモノ)が……

そこそこ燃料を食ってしまい、排ガスも少々濃いのかもしれない。だがその代償として、得も言われぬ快感をドライバーに与えてくれる名作エンジンたち。数年後にそれらを積んだモデルの中古車を買おうと思ったはいいが、「時代がそれを許さない状況になりました」とか、もしくは「マトモな個体がもう残ってません」では悔やんでも悔やみきれない。

それゆえ今、全員ではないが一部の自動車愛好家には「例えばこんな濃い口名作エンジンを積んでいる中古車を、今のうちに買ってみるのはどうでしょう?」と熱烈に提案したいのだ。

一例としてのそれは、アルファロメオ 156 GTAおよび147 GTAである。

▲イタリアのアルファロメオが製造販売していたアルファロメオ 156 GTA(右)と147 GTA(左)

▲イタリアのアルファロメオが製造販売していたアルファロメオ 156 GTA(右)と147 GTA(左)

その快音は人間の生(せい)を祝福するファンファーレ!

詳しくご承知の人も多いだろうが、アルファロメオ 156および147のGTAとは、02年から03年にかけて登場したスペシャルモデル。専用足回りの採用や純正空力パーツ、ブレンボ製対向4ポッドキャリパーの装着などもGTAの大きなトピックではあるが、その最大の魅力は「特別なエンジン」にあると言っていい。

中期型までのアルファロメオ GTVにも搭載された珠玉の3L V6 DOHCのストロークを5.4mm延長。吸排気ポート形状やバルブタイミングのモディファイ、専用ECUと空冷式オイルクーラーなどを用いた専用チューンが施された。

結果、156 GTAならびに147 GTAの内燃機関は「珠玉のV6」を超える「至高のV6」と呼ぶべき次元へ到達した。

156 GTAおよび147 GTAは、純正マフラーであってもアイドリング時の排気音はそれなりに野太い。しかし、実は低速トルクも十分なセッティングであるため、2500rpmぐらいまでを主に使う市街地での安全運転も、割と得意とする。タウンスピードでの乗り心地もなかなか良好だ。

しかし高速道路などで3500rpm以上、理想を言うとサーキットなどへ行って5000rpm以上までブン回したときにこそ、GTAのスペシャルなV6はその本領を発揮する。

高回転域で、至高の3.2L V6が発生させる超絶快音は「人間の生(せい)を祝福するファンファーレ」であり、あまりに肉感的なその回転感覚と、高みへ向かってひたすら湧き上がるアナログなトルク感は「生のメタファー」とでも言えばいいだろうか。

とにかく、GTAのV6エンジンに一度でも全開をくれてやった者は、まるで「サーキットの狼」主人公・風吹裕矢のように「うおおおおおおお!」と叫ばずにはいられない。近頃のエココンシャスなエンジンからはなかなか生まれ得ない咆哮である

▲日本では2002年7月から販売されたアルファロメオ 156 GTA。6MTの「156 GTA」の他、セミATの「156 GTAセレスピード」とスポーツワゴンの「156 GTAスポーツワゴン」がある。中古車相場は、各種条件にもよるがおおむね総額130万~200万円といったニュアンス

▲日本では2002年7月から販売されたアルファロメオ 156 GTA。6MTの「156 GTA」の他、セミATの「156 GTAセレスピード」とスポーツワゴンの「156 GTAスポーツワゴン」がある。中古車相場は、各種条件にもよるがおおむね総額130万~200万円といったニュアンス

▲こちらは2003年5月に発売されたアルファロメオ 147 GTA。エンジンは「兄貴分」の156 GTAと同じ特製3.2L V6で、こちらもトランスミッションは6MTとセレスピードが用意された。中古車相場は総額80万~180万円といったところ

▲こちらは2003年5月に発売されたアルファロメオ 147 GTA。エンジンは「兄貴分」の156 GTAと同じ特製3.2L V6で、こちらもトランスミッションは6MTとセレスピードが用意された。中古車相場は総額80万~180万円といったところ

何年先でもたぶん買えるが、好条件な1台が欲しいなら急いだ方がいい

そんな至高のV6を搭載するアルファロメオ 156 GTAおよび147 GTAの中古車は、たとえこれから何年先であっても、中古車市場でしぶとく流通し続けるだろう。いわゆる名車や名機というのはいつだってそういうものだ。

しかしその流通量は、いや「好条件な個体の流通量」は、間違いなく減少傾向にある。

具体的には2017年11月7日現在、修復歴なしの156 GTAの流通量は全国でわずか27台(うち4台がセミATのセレスピード)。そのなかでも走行5万km未満の「お宝」とでもいうべき個体は5台しかない。

147 GTAも状況は似たようなものだ。

同日現在の修復歴なし車は全国31台(うちセレスピードが13台)で、走行5万km未満のお宝系は8台のみ。

もちろん中古車のコンディションというのは走行距離だけで判断できるものではないが、それでも重要な指標のひとつではある。「低走行」な個体の数は今後、年を追うごとに減少していくだろう。また、非オリジナル状態に改変されてしまった個体の比率も残念ながら高まるはず。

つまり、どこぞの悪徳商法のように脅かして焦らせるつもりは一切ないが、「もしも欲しいなら、たぶん急いだ方がいいですよ」ということは確実に言えるのだ。

来るべき新時代の電動自動運転も、それはそれで決して悪くないものなのだろう。しかし今、去りゆく旧時代の銘品を普通に味わえる最後のタイミングに近いことを自覚しつつ、ご興味のある方はぜひぜひ、アルファロメオ 156 GTAおよび147 GTAにご注目いただければと思う。

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photo/大子香山、ダイムラー、向後一宏、フィアット・クライスラー

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