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Movable Type 7(MT 7)へのバージョンアップに見るデザイナーとエンジニアの「協業」

情報設計からウェブサイト制作を始める

コンテンツタイプは、情報設計からウェブサイト制作を始めるために新しくMT 7に導入された概念だ。

ブログツールやCMSツール(以下では、便宜上「CMSツール」と表記する)の登場で、タイトルや本文の入力はHTMLタグを使って自分で編集するよりはるかにラクになった。すぐに見た目のよいページレイアウトができる。

基本的には、CMSツールで作成するウェブサイトのコンテンツは「タイトル」と「本文」から構成される。もちろん実際には、本文の中にさまざまな要素に入ってくるため、スタイル設定を駆使して、それぞれの要素を表現する。

たとえば、ここは記事の地の文です、引用部分です、ここは箇条書きでポイントをわかりやすくしようという感じに。しかし、それは見た目のわかりやすさであって、ページを構成するパーツとして自由に扱えるわけではない。

これは、情報設計の観点では何もされていないに等しく、当然、再利用性は高くない。再利用できるとすれば「スタイル」だ。

一方、今回、MT 7が導入したコンテンツタイプはコンテンツにどんなフィールドが必要か、情報設計の段階から組み立てることができる機能だ。それにより、CMSツール上からもっと柔軟にコンテンツを管理できるようになる。

Six ApartのCTO平田大治さんはコンテンツタイプによるメリットとして次の点をあげる。
さまざまな情報をすべて「本文」に入れる必要がなくなる
「エントリー」「ページ」以外の名称を付けることができる
タイトルを必須としないコンテンツが作れる
コンテンツとデザインを分離できる
プラグインやアドオンなしでコンテンツタイプが作れる
特定のメディアアセットの参照ができるようになる
使い回しができるコンテンツの管理がしやすくなる

▲ウェブサイトとコンテンツタイプ(イメージ)[平田大治さんのスライドより]

データを入力するフィールドを「コンテンツフィールド」として作成し、コンテンツフィールドの組み合わせでページを構成する。それをコンテンツタイプとして定義する。つまり、そのページに必要な情報を”情報の粒”の単位で組み合わせる。きちんと情報設計からできるということになる。

“情報の粒”にあたるコンテンツフィールドは、他のコンテンツタイプからも利用できる。データフィールドの再利用がしやすく、柔軟なページ設計が可能になる。

従来のツールが、1つのエントリーとして扱っていたのに対し、コンテンツを構成する「情報」を種類によって分解することで、コンテンツ設計(コンテンツの再構成・再利用)を容易にしようというものだ。

たとえば、ニュース記事の中でも見出しや取材元の発言を引用するスタイル、著者のプロフィール表記など、いくつかの構成要素が考えられる。こうして、情報の”粒”に分けて管理することで、パーツとしていつでも再利用が可能だ。

これは、従来のCMSツールとは大きく変わる考え方になる。

背景には、ネット上のコンテンツに起こっている変化がある。ブログの時代は、ウェブページ同士がつながるのが前提だったが、いまはソーシャルメディアを経由し、ウェブページだけではなく、動画や写真にも直接リンクがされる。PCだけでなくスマートフォンやタブレットがつながることで、コンテンツの幅が広がったのだ。そこで必要になるのは「コンテンツを柔軟に設計できること」だ。

その課題に対する解決として、MTが提示したのが「コンテンツフィールドを組み合わせて、自由にコンテンツタイプを定義する」という機能だ。

しかし、既存のプロダクトにここまで大きな変更を加えるというのは、一から作り直すよりもむしろ難しい。すでにできあがっているところにこうした新たな概念を導入するのは、そう簡単なことではない。

開発の中では何が行われていたのだろうか? 

以降では、MTDDCでの長谷川恭久さん(Six Apartデザイン顧問)のプレゼンから、新しい概念を取り入れるに際し、デザイナーとエンジニアがいかに協業していったのか、そのポイントを紹介したい。

デザイナーとエンジニアが組むというと、真っ先に浮かぶのは「デザイン思考」を使った方法かもしれない。しかし、どうやらそれだけではなさそうだ。

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