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すべての猫は例外である

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里親会で大吉と出会ってから、家に迎え入れるまでにするべきこと。それは猫と暮らす知識をつけて、大吉が来る日までに準備を進めることです。

そこで、僕と妻は自治体が行っている猫の飼い方セミナーに参加。猫の専門家である先生をお迎えし、お話をいただくわけですが、猫の生態から性格、猫との接し方、病気の予防法、さらに近隣住民との付き合い方に至るまで幅広く猫の知識を教えてもらいました。

「なるほどなるほど、猫にはそういう生態があるのか」

そう理解を深めながら、大吉との生活を想像し、胸を高鳴らせました。また、セミナーの受講に併せて、猫との暮らし方に関する本を何冊か読みました。はじめての猫との生活です。大吉が来るまでに購入しておくべきものとは何か。大吉が来た直後から同居人としてすべきこととは何か。それらをリストアップしながら、一つずつやるべきことを潰していきます。

安心して食事と水分補給ができる安全地帯をつくる。そして、用を足せるトイレを決める。猫は非常にセンシティブな性格のため、新しい家にやって来た直後は食欲が落ちることがよくあるものの、しばらくは、水さえきちんと飲んでいれば問題ないとのこと。

そして、実際に読んだ書籍には、次のような記述が添えられていました。

「猫ちゃんは流れる水を好みます。そのため、ろ過しながら二四時間水を与えられる給水器がお勧めです」

何の前知識もない僕と妻様は「大吉が水を飲んでくれないと大変!」と思い、給水器を購入しました。その金額、2万円……。自分のためだったら絶対に買わないのだが、大吉が我が家での生活をスムーズに始めるためと自分に言い聞かせ、思い切って購入。それと共に、何の変哲もない800円の水皿も購入しておきました。

大吉が家に慣れてケージからリビングへと出てくるようになってから、僕は待ってましたとばかりに給水器をセットしました。タンクに入れた水がモーターによって吸い上げられ、小さな滝のように流れ始めます。
大吉はその光景に興味があるようで、3メートル程度離れた位置から凝視しています。本来であれば、流れてくる水をペロペロと舐めるはずなのですが、警戒心が勝っているようで、怪しげな物体に近寄ろうとしません。

しばらくすると、大吉は低い姿勢でゆっくりと給水器に接近し、匂いを嗅ぎ始めます。「あとは時間の問題だろう」と僕も妻様も見守っていると、大吉はスッと体勢を変えて、給水器の隣に置いてあった800円の水皿から水を飲み始めたのです。2万円を出した僕は卒倒しそうになりましたが、何とか気を確かに保ちました。

「ま、まぁ慣れたら飲むよね……」

そう自分に言い聞かせるも、来る日も来る日も、大吉は800円の水皿からしか水を飲みません。その間も2万円の給水器は絶えず動いています。電気代を食いながら。1週間後、僕はそっとコンセントを抜きました。

このように、大吉は猫セミナーや猫本に書いてある生態と全く違う振る舞いをするのです。例を挙げると切りがないのですが、僕たちが学んだ猫の常識とされる知識を、ぶっ壊していくのです。まるで、鋭い爪で引き裂いていくかの如く……。

しかし、セミナーで教えてもらったことや書籍に書いてあることが間違いだと怒るつもりはありません。猫の性格や個性は猫の数だけ存在するはずだし、一緒に暮らしている猫と向き合いながら、その猫の性格や好みを知っていく必要があると考えているからです。

男性であれば「初デートプランはこれで決まり!」、女性であれば「意中のあの人を落とすモテメイク」といった記事に飛び付いたことのある人は多いでしょう。そして、皆同じ経験をしているはずです。
「その通りにことが運ぶことなんてなかった」と。

すべての男性が例外であり、すべての女性が例外であるように、すべての猫もまた例外なのです。好き嫌いも違えば、感じ方も違う。それこそ、一筋縄でいくはずはありません。

そのことを胸に刻むことさえできれば、相手の性格や個性を尊重し、よりよい関係を築くことができるようになるはずである。それこそ、人間関係も、人と猫との関係も。

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著者:梅田悟司

 

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