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ヒルドイドは処方薬です! 美容目的で欲しがるモンスター患者のあれこれ

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ヒルドイドは処方薬です! 美容目的で欲しがるモンスター患者のあれこれ

 最近テレビやネット上でも話題になっている『ヒルドイド』という商品名のヘパリン類似物質という薬。数年前に美容系のメディアが「市販のもの買うよりも美容効果が高く安価」などといった内容で紹介してしまって以来、患者側からの処方の請求が格段に増えています。

【さらに詳しい元の記事はこちら】

 この問題は医療費の増大の原因の一つともなっており、11月1日に厚生労働省で行われた中央社会保険医療協議会 総会でも議題として挙がっています。
会議の議事録には、「ヘパリン類似物質の処方量の分布(2016年度)」として「皮膚乾燥症等に用いられるヘパリン類似物質(ヒルドイドソフト軟膏0.3%等)の多くは、25gチューブ4本分程度以下の量で処方されているが、一度に10本分以上処方されていることもある。」とグラフが示されています。(引用:中央社会保険医療協議会 総会(第367回) 議事次第)
ヒルドイドは処方薬です! 美容目的で欲しがるモンスター患者のあれこれヘパリン類似物質の処方量の分布(2016年度)

 適正な処方と言えるかどうかは実際に診察して判断されるものですが、処方する医師の中には患者の言うがままに処方している医師も少なからずいるという事がグラフの数字からも推察されます。ヒルドイドを代表とするヘパリン類似物質は、医療用保湿剤という分類で高い保湿力が効果として挙げられています。

 しかし、この保湿力は病的な皮膚の異常がある人に向けて調合されているもの。アトピー性皮膚炎や乾癬、重度の皮膚乾燥症などといった皮膚疾患ではかなりの高確率でこの『ヘパリン類似物質製剤』が処方されます。併せてアトピーの治療用に症状に応じた強度のステロイド製剤が処方されたりワセリン製剤も処方されます。この為、『ヘパリン類似物質』のみが多量に処方されるケースは美容目的であるのではないかという指摘も出ています。

 『ヘパリン類似物質』の先発品メーカーである「マルホ」も、美容系メディアのヒルドイド使用に関する内容に対し「これまでヒルドイドに関するこのような記事を確認した場合、その都度、発行元・配信元に対して、ヒルドイドをあたかも化粧品等と同様のものであるかように紹介することは控えていただくよう要請してきました。また、併せて、医薬品の適応外の使用を推奨することは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下、薬機法)に抵触するおそれがある旨も注意喚起しています。」と注意喚起を出しています。(引用:ヒルドイドの適正使用に関するお知らせ – マルホより抜粋)

■医療関係者も苦悩 美容目的なので処方断ったら嫌がらせされた件

 製薬会社がメディアにその都度注意喚起を行っているほど、美容系バイラルメディアの記事が問題視されてきており、現在は掲載されている記事は減っているものの出回ってしまった情報が独り歩きしてこの様な事態を引き起こしてしまっています。

 それを示すよう、ネットのあちこちでは心ある医療関係者が現状を訴えており、子供のつきそいで来た親が明らかに多い量を余分に処方するよう求めることが増えている(明らかに多いので恐らく自分で使う物だろうと考え必要以上は処方しなかったそうです)、また美容目的で来た人に処方を断ると病院評価の口コミサイトに悪評を書かれた、または「悪評を書く」と言ってだだをこねた。さらには医者や看護師に罵詈雑言を浴びせる人などなど。とにかくあの手この手を使って手に入れようとしているケースが報告されています。

 あるある分かる。筆者も勤務していた病院で似たような経験があります。本当にこういう患者(?)さんっているんです……。ちなみにネットの口コミサイトごときと思うかも知れませんが、このご時世、特に小さいクリニックにとってはネットの悪評は死活問題にもなりかねません。

 また、お子さんの場合には「医療費助成制度」を受けることができ、診察は無料もしくは格安、処方薬についても無料もしくは格安で手に入れることができます。勿論これは税金でまかなわれており、そのため子供のつきそいついでに「多めに求める」人には特に医療関係者は頭を悩ませています。

 日本皮膚科学会では「保湿剤による治療を必要とする患者に大きな不利益を生じかねないため、処方制限には反対する旨の要望書を厚生労働大臣、日本医師会長、健康保険組合連合会会長に提出することを理事会で決定」したと10月31日に発表しており、実際の処方制限はまだ議論の余地ありという事で見送られています。しかしこのままならどうなるかはわかりませんけどね。

 「子どもがアトピーだから・乾燥肌がひどいから多めに出してほしい」という患者側からの要望での処方も、実際に診察してから適正量を処方するのが本来の診察の在り方。医師であれば適切な使用量と次の診察に合わせた必要量の目安は付いてるものです。なので、「多めに処方して欲しい」は本来通してはいけない患者の要望だと思います。
不適切な処方による医療費の圧迫は巡り巡って自分に返ってくるかもしれません。美容によい、という言葉に踊らされずにみんなで問題意識を持つ事がこの問題の解決につながると考えています。

 なお、ネット上ではこの問題をうけ、対策の一つとして「ニベアの青缶が保湿に最強」との噂があります。こちらなら合法的に保湿できますが、ただし皮膚の状態によって合う合わないがある事も付記しておきます。

<参考>
中央社会保険医療協議会 総会(第367回) 議事次第
ヒルドイドの適正使用に関するお知らせ – マルホ
医療用ヘパリン類似物質製剤の美容目的処方等に関連する問題について(第二報)日本皮膚科学会

(看護師ライター・梓川みいな)

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