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ザ・コレクターズの90年代における代表作と言えば『UFO CLUV』

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結成30周年ツアー中のザ・コレクターズ。今年3月には初の武道館でのライヴを大成功させ、大忙しの一年となった。なんだかんだ言ってもロックはポピュラー(商業)音楽なので、売れなければならない。そして、売るためには自分たちの主張を曲げて、リスナーの喜ぶサウンドを時には提示しなくてはならない。それができなければプロで食っていけないのも確かである。しかし、ザ・コレクターズは30年間、リスナーに媚びることはなく自分たちの描くサウンドをストレートにアウトプットしてきた。これはすごいことである。今回は彼らが93年にリリースした傑作のひとつ『UFO CLUV』を紹介する。
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バンドブームの残したもの

バブル絶頂期の80年代後半に始まったバンドブームは、アマチュアのロックグループが激増した時代であった。大きな才能がなくても、そこそこできればレコード会社がフォローしてくれるし、何よりレコード会社は湯水のようにお金を使っても、その分CDが空前の売上げを記録していたので、すごい収益をあげていたのである。若い世代なら誰もがバンドに熱中したのがあの時代ではあったが、単に流行りを追いかけているだけで、プロで食べていく苦労を知らずにやっていた若者が多かったのも事実である。これ、別に文句や説教ではなく、バンドの数が増えれば質が悪くなっていくってことを言いたいだけなので悪しからず。でも、やる側ではなく聴く側にしてみれば、裾野が広がったというか、リスナーの数が増えることで音楽を受け取る力は育っていったと思う。要するに、耳の肥えたファンが増えていった時代でもある。
スピッツ、ザ・ブルーハーツ、ユニコーン、ジュン・スカイウォーカーズ、ザ・ブームなど、バンドブームから生まれた本物のグループもあったが、日本全国で何百というバンドが暇つぶしのために、または部活のようなノリで結成されては消えていったのだが、演奏するほうも追いかけるほうも楽しい日々を送れたのではないかと思う。
もうひとつ、この時代に育ったのがオタク的な感覚。バンドの数が一挙に増えただけに、1バンド当たりのファンは少なくなったのだが、わざわざファンがあまりいないバンドを追いかけるという、今で言う地下アイドル的を愛するオタク的感覚を生み出したのもこの時代であった。しかし、90年代に入ってバブルが崩壊するとバンドブームも終焉を迎え、ブーム後には生き残ったグループの再編やビジュアル系の台頭などもあって、日本のロックシーンは大きく変わっていく。
ザ・コレクターズのこだわり

ザ・コレクターズがメジャーデビューしたのは1987年、ちょうどバンドブームの頃ではあるのだが、たまたま同時期であるというだけで彼らとバンドブームになんの関係もない。グループのリーダーである加藤ひさしは1960年生まれで、中心メンバーの古市コータローが64年生まれ。60年代生まれと言えば、アメリカやイギリスの本物のロックに洗礼を受けた世代であり、良いものばかりを聴いてきただけに、目指すハードルは相当高い。それだけに、バンドブームでライバルのめちゃくちゃ多い時代にあっても、彼らの音楽は一歩も二歩も、いや圧倒的に抜きん出ていたのである。
昨年、メジャーデビュー30周年を迎えたザ・コレクターズは、ライヴ盤やベスト盤を除いたオリジナル盤だけでも20枚以上リリースしているから、音楽性も広くアルバムごとのテイストはもちろん違うわけだが、その核となる部分は60sブリティッシュロックにある。ビシッと決めた彼らのファッションはモッズそのものの出で立ちであり、音楽性ではザ・フー、スモール・フェイセス、キンクス、それにデビュー時のビートルズなどに影響を受け、それらの音楽を再構成しながら日本人としての感性も盛り込んだサウンドを、デビュー以来ぶれることなく提示し続けている。
ザ・コレクターズは英国産のパワーポップ、プログレ、サイケ、ビートミュージックはもちろん、日本のGSやロックグループからの影響も相当あって、それらを浴びるように吸収した加藤ひさしのハイクオリティーなソングライティングは、以後登場したグループやシンガーに大きな影響を与えているのは周知の通りだ。
本作『UFO CLUV』について

アルバムはムーディー・ブルースやピンク・フロイドのようなプログレ臭のする「月は無慈悲な夜の女王」からスタート。スローでムーディーなナンバーを頭に持ってくるあたり、バンドとしての余裕と自信を感じるのだが、それは次に続く名曲「愛ある世界」で確信に変わるのだ。今でこそ、この曲が彼らの代表曲であることはファンなら誰もが知っているが、本作で初めて聴いた時、余裕と自信どころか風格すら感じさせてくれ、心底感動したものだ。昨年、この曲がコレクターズ30周年記念アニバーサリー・セッションとして、奥田民生、甲本ヒロト、藤井フミヤ、吉井和哉、山中さわお、増子直純、鈴木圭介、真城めぐみなど、錚々たるメンバーで再演され、日本版「We Are The World」と騒がれたのも記憶に新しい。
本作は、それまでの5枚のアルバムと比べると、日本的(歌謡曲的と言っても良いかもしれない)な雰囲気をかなり意図的にプッシュしている。歌詞の持つ役割が大きくなったと言えるのかもしれない。特に、彼らの代表作のひとつである「世界を止めて」での歌い回しにそれが顕著だと思うのだ。日本人の琴線に触れる表現だからこそシングルカットした時、この曲は予想以上に売れたのではないか。「愛ある世界」がブリティッシュロッカー的なザ・コレクターズ節が全開であるのに比べると好対照をみせている。
また、ブリティッシュ・ビート系だけでなく、ボ・ディドリー風、リバプール風、ジャクソンファイブ風(?)などバラエティーに富んだ楽曲群で、肩肘張らずに聴けるところが素晴らしく、メジャーデビューから6作目で到達した最初の頂点であったように思う。プロデューサーの吉田仁(SALON MUSIC)がザ・コレクターズのエッセンスというか魅力を引き出したことも、本作の充実につながったのは確かで、彼はここから彼らとの長い付き合いが始まることになる。
収録曲は全部で10曲、作詞・作曲は全て加藤ひさしが手掛けている。僕は個人的にはブリティッシュ的サウンドの中にちょっとだけバーズっぽいギターワークが登場するのが好きなのだが、ザ・コレクターズはそれを意識的にやっているのか無意識でやっているのかが興味あるところ。いずれにせよ、本作『UFO CLUV』はコレクターズの傑作というだけでなく、日本のロック史に残る名盤として、これからも間違いなく愛聴されていくだろう。
TEXT:河崎直人
アルバム『UFO CLUV』
1993年発表作品

<収録曲>

1. 月は無慈悲な夜の女王

2. 愛ある世界

3. リラ

4. Dog Race

5. Monday

6. 世界を止めて

7. 土曜日の子供たち

8. 5・4・3・2ワンダフル

9. THE HAMMER AND SICKLE

10. U・F・O
 (okmusic UP's)

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