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「安定した生活と仕事のやりがい、どちらを選んだらいい?」【シゴト悩み相談室】

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キャリアの構築過程においては体力的にもメンタル的にもタフな場面が多く、悩みや不安を一人で抱えてしまう人も多いようです。そんな若手ビジネスパーソンのお悩みを、人事歴20年、心理学にも明るい曽和利光さんが、温かくも厳しく受け止めます!

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曽和利光さん

株式会社人材研究所・代表取締役社長。1995年、京都大学教育学部教育心理学科卒業後、リクルートで人事コンサルタント、採用グループのゼネラルマネージャー等を経験。その後、ライフネット生命、オープンハウスで人事部門責任者を務める。2011年に人事・採用コンサルティングや教育研修などを手掛ける人材研究所を設立。『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)など著書多数。

CASE19:「好きなのに激務に耐えかねて辞めたWebデザインの仕事。戻りたい気持ちはあるものの、心が揺れています」(26歳女性・ITサービス会社勤務)

<相談内容>

新卒で入社した制作会社で、2年間Webデザインを担当していました。しかし激務と薄給に嫌気がさし、「給与はいいし、土日もちゃんと休めるから」と友人に誘われたITサービス会社の営業職に転職。しかし、1年たってもどうしてもやりがいが得られません。

営業の仕事が嫌というわけではありません。営業成績は普通ですが、前職の倍近い給与をいただけるうえ、土日もしっかり休めます。生活はかなり楽になりました。でもWebデザインのように、自分のこだわりを発揮できる仕事と違い、現在の仕事は誰でもできるもののように思われ、「私でなくてもいいのでは…」と感じることがしょっちゅうです。離れたからこそ「やっぱり自分はWebデザインが好きなんだ」と思うようにもなりました。

そこで、またWebデザインの仕事に戻ろうかと考えているのですが、以前の同僚に相談したところ「あんなに辛い辛いと言って辞めたのに、またこの業界に戻ってくるの?本当に大丈夫?」と言われ…心が揺らいでいます。私はどの道に進めばいいのでしょうか?(ITサービス会社・営業職)

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「のど元過ぎて熱さを忘れた」だけではないか?

人は、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」生き物です。本来好きだったはずのWebデザインの仕事を捨てて全く違う仕事に転職するほどなのですから、よほどの激務だったはず。なのに、一度離れると大変だった当時のことがなぜかキラキラ輝いて見えたりする。でも多くの場合、それは幻想です。

Webデザイナーだったころのあなたの苦労を間近で見ていた元同僚の意見は、おそらく的を射ていると思います。大半の人は、自分の能力を2割増しで認識していると言われており、他者からのフィードバックのほうが正しいというケースが多いからです。それに、「やっぱりWebデザインが好きなんだと気づいた」にもかかわらず、「心が揺れている」というのは、身体が「止めておけ!」と警告を出しているような気もします。

この考えに納得できなければ、別の元同僚や、あなたの仕事ぶりを知っている近しい友人・知人にセカンドオピニオン、サードオピニオンをお願いしてみてもいいかもしれません。客観的な意見を複数もらえば、方向性が見えてくるし、自分の気持ちも整理できるでしょう。

もしくは、今の会社は土日にしっかり休めているようですから、元同僚にお願いしてWebデザインの仕事をボランティアで引き受けてみてはどうでしょう?実際に手を動かしてみて「やっぱりWebデザインが好き!たとえ激務でもこれが天職だ!」と決断できるかもしれませんし、仕事を通じて現場で働く人たちの激務ぶりが伝わり「やっぱり今の職場にいよう」と思えるかもしれません。

想像力を働かせて、自分の仕事が与える影響を考えてみよう

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ただ、相談者は「現在の仕事は誰にでもできるもの」と思っており、「私でなくてもいいのでは…と感じることがしょっちゅう」とのこと。このままでは、たとえ今の職場に残るという選択をしても、すぐにはやりがいを見出せないかもしれませんね。

仕事にやりがいを持つためにはいろいろな方法がありますが、まずは「想像力を働かせる」ことをお勧めします。「この仕事を私がやる意味」を想像するのではなく、「この仕事が与える影響、この仕事の意義」を想像するのです。

例を挙げてみましょう。私は現在、ある「恵まれない子どもたちに対する支援団体」の人材コンサルティングを担当していますが、例えばその団体の「経理職」の仕事は非常に間接的です。活動目的に賛同の気持ちを覚えても、自身が直接それに関われる役割ではありません。経理の知識があれば誰でもできる仕事なので、それこそ「私じゃないとできない仕事」というわけでもありません。

しかし、ここの経理担当者は、自分の「エクセル処理一つ」が子どもたちへの支援を決定し、子供たちの将来を支えているのだと理解しています。「自分の仕事はとても意義あるものなのだ」ということに気づいているから、皆さんモチベーション高く業務に臨んでいる。意義がわかっているから「私じゃなくてもできる仕事だ」なんてみんな考えもしません。

相談者も、目の前の仕事だけに目を向けるのではなく、「その先」を想像してみてください。自分の働きが及ぼす影響をずっとたどっていけば、きっと仕事の意義が見えてくるはずです。

相談者が何を売っているのかは相談内容からはわかりませんが、エンドユーザーの声を聞きに行くといいでしょう。自社のITサービスを利用している人を探して意見を聞いてみる、SNSで検索し反響を探ってみるなどのほか、自社にカスタマーサポート部門があればそこに問い合わせてみてもいいかもしれません。自身の仕事がエンドユーザーにつながっていることがわかれば、今よりも介在価値を感じられるのではないでしょうか?

土日を充実させれば、ネガティブな感情が軽減する可能性

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いろいろな解決策を提案しましたが、結局のところ、相談者が悩みを抱えるようになった要因の一つは「ヒマだから」ではないでしょうか?

私にも経験がありますが、今まで土日どころか昼夜もなく働いてきた人が、土日しっかり休める安定した環境に移ると、何をしていいかわからず悶々としてしまう傾向にあります。

人はどんな恵まれた環境にいようと「隣の芝生は青い」と感じるものです。自分が選ばなかった道を妄想して、「そっちの選択のほうがよかったんじゃないか」とくよく考え込んでしまう。だから、そもそもそんなことを考えないで済むように、土日にがっつり予定を詰め込んでしまいましょう。

友達と遊ぶでもいいし、習い事や趣味に没頭するもいい。せっかくだから、キャリアアップにつながるような勉強を始めるのもいいですね。忙しく、充実した土日を過ごしていれば、キャリアに関してくよくよ考える時間が減り、今の仕事に対するネガティブな感情も軽減する可能性があります。ぜひ、一度トライしてみてください。

<アドバイスまとめ>

せっかくいい環境にいるのだから

想像力の欠如ゆえに安易に決断しないこと。

まずは想像力を鍛えつつ、

土日を有意義に過ごすことを考えよう。

EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:平山諭

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