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久石譲 ミュージック・フューチャーVol.4コンサート開催、3部構成の新曲は観客も息を呑む圧倒的な凄まじさ

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久石譲 ミュージック・フューチャーVol.4コンサート開催、3部構成の新曲は観客も息を呑む圧倒的な凄まじさ

 久石譲の【ミュージック・フューチャーVol.4コンサート】が10月24日、25日の2日間、東京・よみうり大手町ホールにて行われた。

久石譲コンサート写真(2枚)

 同コンサートはミニマル、ポスト・クラシカルなど最先端の現代の音楽を久石がセレクトし、“明日のために届けたい”音楽をナビゲートする公演で、2014年に第1回が開催され、今年で4回目を迎える。久石譲といえば映画音楽やCM音楽での美しい旋律の印象が強いが、このコンサートではその対極。前者をホワイト・サイドと例えるならミュージック・フューチャー・シリーズは、いわばブラック・サイド。本公演で演奏されたプログラムは、音をタペストリーのように幾重にも積み重ね、短い旋律やリズムを反復させるミニマル・ミュージック。といっても、決して難しい音楽ではなく、フュージョン・ジャズにプログレッシブ・ロックやEDMとも親和性が高いものだ。

 今年のミュージック・フューチャーで久石は自身の新作を含む5編を選曲。ミニマル・ミュージックはクールで無機質な音楽の印象が強いが、1曲目に演奏された『pierced(デヴィット・ラング/2007)』では、ミニマルらしい執拗な反復こそあれど、ピアノやパーカッション、マリンバが激しいビートを刻み、古川展生のチェロが覆いかぶさる。ジャズのインプロビゼーションを見ているようで、クールと重厚さが違和感なく同居し、ミニマルの既成概念が覆される。2曲目(25日のみ演奏)の『Two Pages(フィリップ・グラス/1968)』に至っては、エモーショナルな力強ささえ響かせる。

 休憩を挟んで3曲目に演奏された『弦楽四重奏曲第2番(ガブリエル・プロコフィエフ/2006』では、ヴァイオリンが弦を激しく叩いてビートを紡ぐといった斬新な演奏を披露。楽器こそクラシック系だが、これはもはやEDM等のダンスミュージック。作者のガブリエル・プロコフィエフは、ロシアの作曲家セルゲイ・プロコフィエフの孫。祖父のDNAを引き継ぎポスト・クラシカル系の作曲家でありながら、DJとしても活動し、クラブミュージックとの競作も発表しているほど。

 そして最後は久石が本公演のために書き下ろした3部構成の新曲『室内交響曲第2番』。2015年には6弦エレクトリック・ヴァイオリンをアンプに繋いでディストーション・サウンドを響かせ、昨年はキーボードや電子楽器を持ち込みオーディエンスを驚かせてきたが、本作では三浦一馬のバンドネオンをフィーチャーしてきた。1曲目の『The Black Fireworks』では、オーケストラ各々の楽器が反復を奏で、それが幾重にも幾重にも重なり独自のグルーヴ感を生む。2曲目の『Passing Away in the Sky』では奥底にオリエンタルな響きを聴かせながら、突き刺さるように随所に入ってくるパーカッションが聴くものを覚醒させる。最後の『Tango Finale』では、前の2曲では最下層の音を支えてきたバンドネオンが縦横無尽に炸裂。これに併せるように各楽器の反復音が唸りを上げて暴れ出すや、ステージは美しい混沌状態となる。観客も息を呑む圧倒的な凄まじさだ。

 また、10月24日の公演では事前に公募を受け付けた「Young Composer’s Competition」の優秀作品を受賞した作品が披露された。同賞は若手作曲家の発掘を目的として今年から設けられたコンクール。全応募作の中から5作品を選び、足本賢治(国立音大准教授)、小沼純一(早稲田大学教授)、島田雅彦(作家)、高畑勲(映画監督)、西村朗(作曲家)と久石の6人が審査員となり、門田和峻氏の「きれぎれ」が選ばれた。門田氏本人も来場し各審査員から短い講評が伝えられ、太田弦の指揮で同作を演奏。ミニマル・ミュージックに忠実でありながらも祝祭的な華やかさを垣間見せる若々しい作品で、将来の活躍が楽しみだ。このコンクールは来年も開催を予定している。

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