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【吉田山田 インタビュー】一番にやらないといけないのが変わること、進化することだった

エンタメ

タイトルからして気になる5thアルバム『変身』。そこには2年後のデビュー10周年に向けた想いが詰まっていて、それがそのまま楽曲であり、歌詞に表れている。そんな本作についてふたりに語ってもらったわけだが、その言葉に覚悟と決意を感じた。
L→R 吉田結威(Gu&Vo)、山田義孝(Vo) (okmusic UP's)
──まずは今回のアルバムに“変身”というタイトルを掲げた想いを教えてください。
吉田
「僕ら、あと2年でデビュー10周年を迎えるんですよ。去年の暮れぐらいにふたりでご飯を食べに行って、“47都道府県ツアーはどうだった?”とか“2017年はどうしていこう?”みたいな話をして…今までそんな話はしたことがなかったんですけど、それをきっかけに10周年に向けて目標を立てたんです。それを叶えるためには、今何をしなければいけないのかも明確になって…2年なんてあっと言う間だぞっていうのが根底にある中で、一番にやらないといけないのが、変わること、進化することだったんで、“変身”というタイトルにしました。」
──ダイレクトなタイトルですね。
吉田
「人って何でもそうですけど、変わろうと思って、すぐにその場で変われるわけがないんで。それを待っていたら、2年では到底間に合わない。なので、今回のアルバムは未完成だと自覚しているんですよ。とても実験的だし、取り繕われてないところがすごく多い。これが1年後にどう自分たちに響くのかというのも分かんない。でも、だからこそ意味があると思ってるんです。」
──なるほど。アルバムの全体像の話になってしまうのですが、すごくいろいろなことに挑戦しているというか、次に行こうとしていることがうかがえる作品だなと。
吉田
「うんうん。だから、“変身”という言葉も、アルバムの曲たちも真価を発揮するのは、もう少し先なのかなと思ってるんですよ。」
山田
「僕は次に行くために自分自身を吐き出したという感じですかね。自分自身に目を向けたものが多いんですよ。10周年を迎える時にアーティストとして、人間として、こういう自分でありたいっていうものが出てきたんでしょうね。掲げた目標に対して、今の自分の人間性だったら全然ダメだなって思うし…そこを繕って10周年を迎えても満足できないだろうから、他人には見せたくない恥ずかしい部分、弱い部分、小さい部分を吐き出すことが必要だったんだなって、このアルバムを作ってみて感じますね。」
──そんなアルバムの核となるのはどの曲になりますか?
吉田
「そういう考え方では作っていないんですけど、結果的に「宝物」が入口になりやすいのかなと思いますね。」
──その「宝物」と、あと「化粧」は「日々」に通じるものがあって吉田山田らしい曲だなと思いました。日常という意味での“日々”を切り取っているというか。この曲の作詞作曲は山田くんなのですが、いかがですか?
山田
「この2曲に共通して言えるのは、人間として未完成な部分を吐き出したってところですかね。もっと大人になったら使う言葉も変わってくると思うし、歌詞としては美しく整えたほうがいいんでしょうけど、心のかたちは整えなくてもいいのかなと思ったというか。そういう意味では、今の心のかたちに近い言葉を選んだって感じですね。」
吉田
「今回からやり始めたことがあって…今まではいろんなことの責任の所在を“吉田山田”ではなく、“吉田山田チーム”として捉えていたんですね。例えば、渾身の曲が数字的に売れなかった時、その責任をチーム全員で負っていたんです。でも、その結果を経ての次の作品というのは吉田山田からしか出せないんですよ。だから、チームではなくて、吉田と山田が自分たちのやりたいこと、“これがいい!”と思う感性にちゃんとスポットを当てないといけないって思ったんです。そのためには、僕らが「宝物」と「化粧」をいいと思う理由をスタッフに説明して、納得させないといけない。それをやり始めたということですね。この「宝物」と「化粧」が世に出た時、その評価がどうであれ、絶対に僕らには学ぶものがあるんですよ。逆に、そうしないと2年後に自分たちのやりたいことに辿り着けない。どこか他人任せのままでは、売れていても納得がいかないと思うんです。」
──そのデモをブラッシュアップしていくのはアレンジャーさんと相談しつつ?
吉田
「いや、山田とですね。やっぱり本人の気持ちが一番なので。そのバランスが大事なんですよ。僕らが表現したい熱量とポピュラーなものを作るという行為、そのどちらかだけに偏ってもいけないし…そこはよく考えました。“どうしたいか?”を大事にしたってのは、全部の曲に言えますね。」
──吉田山田として作り上げたものに対して、アレンジャーさんが入るという感じですか? 今回は涌井啓一さんとがっつりと作っている感じがあるのですが。
吉田
「僕でも足りない、山田でも足りない部分、そこを涌井くんが補ってくれた感じですね。これはもう奇跡の出会いで、彼がいなかったらこのアルバムはできていなかったと思います。」
山田
「基本的には僕の想いをよっちゃん(吉田の愛称)に伝えて、よっちゃんが涌井くんに伝えるっていうかたちだったんですけど、逆に涌井くんのサウンド感に引っ張られて出てくるものあるんですよ。僕の内面を汲み取ってくれているっていうか。涌井くんとの出会いは古くて、もともとは僕のデモ作りを手伝ってくれる人だったんですけど、その化学変化が面白くて、気付けば今回のアルバムのほとんどのアレンジをやってくれているっていう。」
吉田
「涌井くんって山田とちょっと似ているんですよ。言い方が難しいんですけど、一般常識の中に生きてないんです(笑)。そういう人同士が会話すると、会話しているはずなのに会話になってないから、僕が交通整理して通訳している場面もありましたね。“山田が言ってたのは、こういうことなんだと思うよ”“あー、そういうこと!”みたいな(笑)。」
──感性が同じなのでしょうね。だから、山田くんの内にあるものを引き出せるっていう。それが如実に出たのが「しっこ」?
山田
「そうですね、小学校6年生までおねしょしていた僕の実話なので(笑)。頭で考えてたらかたちにならなかった曲です。全部を曝け出すという意味では、すごく自分らしいなと。今まで相手にされなかった曲だったんですけど、このタイミングで発表することができて良かったと思いますね。僕は客観視できないので、ライヴでどんな反応があるのか分からなかった…僕の中ではカッコ良い曲なんですけど。」
──……。
吉田
「わははは、それはもう押し黙るしかないですよね。」
山田
「ライヴで披露した時もすごく笑いが起こって、僕はびっくりしたんですよ。そういう反応になるとは思いもしなかったんで。」
──…吉田くんの感想は?
吉田
「“《大丈夫かい》と歌ってる、お前が大丈夫かい?”って(笑)。でも、一般の人が見ているのとは違う、山田らしさを感じたんですよ。少年っぽいとかじゃなくて、この曲の中に詰まっている山田の照れ隠しの部分だったり、弱さだったり、やさしさだったり。山田って突飛なことをしたがるんですよ。それが良いほうに作用することもあれば、山田が思っているのと違うかたちで人に伝わってしまうこともあるから、スタッフ全員の意見が一致して、この曲はお蔵入りになったんです。でも、僕はそれって山田にとって良くないことだと思っていて。スタッフは“「しっこ」を入れるんだったら、もっとメッセージ性のある曲のほうがいい”と思ったかもしれないけど、山田はこの曲を入れたいと思っているんですよ。そこがすごく大事なんです。アルバムがリリースされて、この曲が聴いてくれた人のものになっていく中で、“あれ? 思っていた届き方と違う”ってなるのか、“思った通りに届いた!”ってなるのか、その次のものを作る糧にするために、僕は絶対に入れたほうがいいって。それが山田の今後の自信になるし、学びになっていくので、今は点だけで捉えていたらダメって。最初はスタッフに反対されましたよ。“ほんとにいいの? もっといい曲あるじゃん”って言われたけど、“現時点のことを考えればそうかもしれないけど、2年先のことを考えるとそうじゃない”って、僕はこの曲を入れることを序盤で決めてました。」
──だって、こういう曲を歌えるのは吉田山田しかいないですよ。
吉田
「わははは、それを褒め言葉として捉えるかどうかですよね。」
──いやいや、呆れたってことではなくね(笑)。
吉田
「でも、よく聴くといい曲なんですよ。捨て曲なんかじゃないし。それをこのアルバムに入れるのに相応しいクオリティーにするってところで、僕なり、涌井くんが試行錯誤した部分はありますね。」
──そんな「しっこ」と対極にあるのが、感動的な「守人」で。
吉田
「この曲は僕がひとりで黙々と作ったというよりかは、涌井くんと一緒にアレンジを進めながら作っていきましたね。僕は最初、いい曲だとは思ってなかったんですよ。でも、涌井くんが“この曲、すごくいいよ!”って言ってくれて。で、それをポピュラーなものにするために、“ここのメロディーはこう変えて〜”とかのアドバイスをもらいながら作っていったんです。さっき山田が言ったみたいに、涌井くんのアレンジに引っ張られて言葉が出てきたり…なので、涌井くんの感性に助けられたところはありますね。」
──「守人」は吉田くんの曲らしく暗いけど、温かい曲で。小さくても深い愛の歌というか。このアルバムを締めるのに相応しい曲ですね。
吉田
「ストリングスのレコーディングが終わった時、この曲はアルバムの最後かなって思ってましたね。」
山田
「僕は聴いた時に、夕日の木漏れ日が映える小さな部屋が浮かんで…サビでは壮大なことを歌っているんだけど、すごく小さな歌でもあるじゃないですか。この小さな部屋が大きな世界の縮図じゃないですけど…う〜ん、なんか等身大なんですよ。歌詞の中で《大事な人を守りたい気持ちが 私をずっと守っている》とサラリと言ってるところがいいなって。」
吉田
「この曲の前の「RAIN」で結構乱暴に投げかけているんですよ。《ずっと変わらぬために ずっと変わっていこう》って。そこで補えなかった“変わるって何?”っていうものに対するアンサーが少しだけ、アルバムの最後の曲に入っているという。それが僕らが今、“変わるべき”と思っていることの根幹にある想いみたいなものかな。」
──そして、戻って1曲目の「HENSHIN」なのですが、これはタイトルが決まってから作ったのですか?
吉田
「そうですね。一番最後に作った曲で、もともとは2分ぐらいのアルバムのプロローグ的なものにしたかったんですけど、立派な一曲になりました。なので、“変身”に対する想いが込められた最新の曲です。変わろうとしているところ…羽ばたけるかどうか分からない、殻を破ったらどうなるかも分からないけど、“このままじゃないけない”という想いを胸に動く!っていう。その想いをこの1曲目の「HENSHIN」には込めたかったんです。」
──カフカの『変身』の朗読も入ってますしね。
吉田
「これがちゃんと伝わるのって数パーセントの人なんだろうなって思うんですけど、そこも今回のアルバムをよく表していて。少しわがままで、少し説明不足なんだけど、吉田らしさ、山田らしさ、吉田山田らしさが入っている。」
山田
「僕は小説を読んでないんでよく分かんないんですけど、そこにはよっちゃんの心の純度の高いものが詰め込まれているから、それは大事なことだなって思っていて。あと、この曲の歌詞を見て実感したのは、今までは翼があるのに風を待ってたんだなって。今はそうじゃなくて、自分の力で飛び出さなきゃ!っていう心境が表れていると思いましたね。」
──そういう意味では、このアルバムは覚悟や決意が詰まった一枚になりましたね。
山田
「そうですね。出来上がってみたらすごく泥臭くなってて、それが良かったなって。ただきれいなものじゃない。変身ってそういうものだし、血と汗がちゃんと入ってるって思いますね。」
取材:石田博嗣
アルバム『変身』
2017年11月1日発売

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