アメリカ人に聞く日本で働く・暮らすって?「日本人は仕事への倫理観が強い」

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アメリカ人に聞く日本で働く・暮らすって?「日本人は仕事への倫理観が強い」 Aaron01

外国人から「日本で働く・暮らす」って、実のところ、どのように見られているのでしょうか?そこで、フロムエーしよ!!では、さまざまな外国の方から見た日本をご紹介していきます。第1弾は、日本在住歴3年のアメリカ人「Aaron Perry(アーロン・ペリー)」さんです。

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日本での酒造りは魅力的な仕事。「すべて」が楽しい

――あなたが日本で経験したバイトはどういったものでしたか?

2014年に妻と一緒にアメリカから日本に移住しました。そこから、しばらくして、知り合いを介して、島根県の醸造所の冬期のバイトとして働いていました。

職場では、米を洗い、蒸した米を発酵室に移し、櫂(かい)で醸造用の大きな桶を撹拌し、布袋から重力ろ過された酒を専用の容器に詰めていました。設備の洗浄と、壁や床の掃除もこなしました。私の日本語能力と理解力が未熟な頃は掃除の仕事が多かったですね。

米を洗うのは簡単ですが、作る酒の種類に応じて米を水に浸す時間を変える必要があり、重要な仕事でもありました。その時、誤った表示で売られたり、飽和しすぎた酒になったりすることもありえるので、米とぎの仕事を任された時は、チームの一員として信頼されていると実感しました。

ぶっちゃけると、この仕事を選んだのはただ採用されたからにすぎませんが、働いてみると、思っていた以上に魅力的な仕事でしたね。酒造りは部外者に秘密も多く、特に私のような外国人にとってはなおさらです。外国人ながら醸造所の一員になることを許されるのはレアケースだし、ありがたい機会だと思っています。

――当時の上司や同僚はどんな存在でしたか?

私の同僚は皆いい人たちで、忍耐強く、言葉の壁につまずくこともありませんでした。

上司と私の関係はある意味面白かったですね。私は面接をした人が所長だと思い、フレンドリーな彼とはすぐに打ち解けたんです。ところが1ヶ月して彼は所長ではないことが分かりました。実際の所長は、静かで思いやりのある人でしたね。いつも突然現れていつの間にか消え、仕事道具と2枚の虫眼鏡を持っていたので技術者だと思っていたんです。今思えば間抜けな話です。

――そのバイトの最も楽しかったエピソード・辛かったエピソードを教えてください。

1番楽しかったのは、基本的に「全て」です。醸造所での仕事はとても特殊で、何をやっても楽しく過ごせました。

辛かったことは、自転車や徒歩の通勤です。冬になるとほぼ毎日雨や雪なので通勤は大変でしたね。でも私はパートタイムでしたし、大した問題ではないと思っていましたが。

40時間/週のスケジュールを保つのがアメリカでは普通。でも、日本では…

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――その仕事を通して一番驚いた日本人の行動・考え方は何ですか?

日本人は仕事への倫理観が強いですが、それが仕事への情熱なのか、怠けていると見られることへの恐れなのか、疑問に思うことがあります。例えば、休日の少なさです。

アメリカでは、休みが週に1日しかないというのは狂気の沙汰です。中には休みが少ない人はいますが、それは周囲からのプレッシャーによるものではなく、自らの意志があってのことが多くを占めます。アメリカの企業は40時間/週のスケジュールを保って仕事をするのが一般的です。多くの日本人が過労のストレスに晒されているので、できるなら変わるべきだと思います。

――(自らの経験を踏まえた上で) 友人が来日し、日本の企業で働くことになったとしたら、どんなアドバイスをしますか?

くだらないことだとしても、たくさん質問をすることです。実際よりも日本語を理解できているふりをしてミスをするよりはずっと良いはず。私の場合、やるべきことを理解しているつもりでも部分的に間違って理解していることが何度かありましたので。

――ご自身の国で10代後半~20代前半の就業意識・キャリアプランはどういったものですか?10代が考えるキャリアプランと親や教師から理想とされるキャリアプランに違いがあれば教えてください。

最近の若者は、大学を時間とお金の無駄とみなす風潮があります。親の世代は、大学の学位をより良い人生への切符と捉えてきましたが、私の周囲には学位を取得しても就職できなかった人が大勢います。親の世代にとって安全だった選択が、私たちには負担にしかならず、楽しめない仕事に悩まされる人生につながっています。若い世代は魅力的なキャリアを形成するよりも、単に自分の人生を楽しもうとする傾向にありますね。

――「天職が見つからない。やりたいことが見つからない。」という悩みを持った方に対して、どんなアドバイスをしますか?

私が尊敬する人から聞いた、天職を見つけるための3つのヒントなのですが、一つ目は、物価の安い所に住む。物価の高い場所に住んで時間とお金を生活に費やしていると、夢を追うお金も時間もなくなりますよね。

二つ目は、コネをつけるためではなく、興味のあるコミュニティで気の合う人たちとの交わりを純粋に楽しむ。人脈構築や就職口を探すことにしか興味がない人は明らかにそれと分かります。

三つ目は、一貫性を保つ。一般的に技術や学位が求められる求人は倍率も高いです。例え優れたスキルがあっても、他の誰よりも卓越しない限り、就職活動には忍耐が必要ですからね。

――もし、あなたが経営者となって、日本の何らかのサービスや商品を母国に輸入する事業に携わるなら、どんな事業を手がけますか?

私が日本の商品を輸入するなら、きっと日本酒を選ぶでしょうね。醸造所での仕事は楽しかったですし、日本酒について少し知ることができましたから。それから、バーの業界に友人が何人かいて、アメリカと日本をうまく繋げられることも理由の一つですね。

日本人は真意を読みとるのが難しい…。ただ、見知らぬ人に対しても助けてくれる

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――日本で暮らしてみて、驚いたこと/好きなところ/嫌いなところはなんでしょう。

本当に驚いたのは、今まで当然のものと思っていた便利な機器が、日本では必須ではないことです。例えば、衣類乾燥機や食器洗い機。アメリカの知人は皆、両方とも持っています。最初は不便でしたが、今はない生活にも慣れてしまいました。

文化的に言えば、日本人は衝突があっても控えめなので真意を読みとるのが難しいです。間接的な言い回しが多く、どうして欲しいのかがなかなか分かりません。必ずしも嫌なわけではありませんが、新しい人と会う時、特に大人数のグループの時は、慎重になりすぎて疲れることもありますね。

その一方で、私が会った日本人のほとんどは本当に素晴らしくて、見知らぬ私のために助けてくれます。他の国なら「私は関係ない」と言うであろう場面でも真剣に取り合ってくれました。感謝しています。

――仮に、100万円もらって日本ですべて使い果たさなければならないとしたら、どのように使いますか?

東京のすきやばし次郎(ミシュランガイドで三ツ星の寿司店)で食べてみたいです。そこから日本中を食べ物ツアーで回りたいですね。

――家族や友人が日本に旅行する際、あなたが案内役ならどんな計画を立てますか?

東京・京都・大阪の古典的な名所と、私が住んでいる島根のスポットもいくつか案内したいです。出雲大社、石見銀山、松江とか、それから大山などの鳥取の名所でしょうか。お金と時間がたくさんあれば、北海道と九州にも連れて行きたいですね。 ■プロフィール:Aaron Perry (アーロン・ペリー)

27歳、アメリカ出身。2013年にオークランド大学を卒業後、翌年奥さんと共に日本に移住。現在はフィクションにもノンフィクションにも携わるフルタイムのライターとして働く。2017年の1月から、島根県の隠岐酒造にて期間限定のアルバイトを始め、来年の冬にも同じ職場に戻って勤務する予定。好物はうなぎの寿司。

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