30代女性が「仕事力を高め、キャリアを前進させる」ために必要なこと【女性活躍支援イベントレポート】

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リクルートキャリアとパソナキャリアの女性活躍支援プロジェクトチームの共催イベント「キャリージョ・エンカレッジ・プログラム」。9月9日、第2回目となるイベント『30代ワーキングウーマンのための仕事力の高め方』が開催され、100名を超える女性が集合しました。

本イベントは三部構成。第一部が株式会社グロービスの林恭子さん、浜屋祐子さんによる基調講演、第二部がリーディングカンパニー4社の女性管理職によるパネルディスカッション。そして第三部では、林さん、浜屋さん、パネラーとして登壇した女性社員と参加者によるキャリア座談会が行われました。

先日、第一部の林さんの講演内容を中心にリポートしましたが、今回は女性管理職4名による第二部:パネルディスカッションの模様をご紹介します。

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(登壇者紹介)

株式会社ローソン 山口恭子さん

アクセンチュア株式会社 長谷川紀子さん

株式会社セールスフォース・ドットコム 成田麗子さん

株式会社リクルートジョブズ 脇 みずきさん

登壇者は全員女性管理職。働きやすい環境を活かしつつ、自らキャリアを切り開く

今回の登壇企業4社はいずれも、女性の働きやすさ、働きがい向上を支援する制度を整備しています。その中で、パネルディスカッションに参加いただいた4名の女性リーダーは、家庭と両立しながらステップアップしてこられた方々です。

まずは、キャリアを切り開くベースとなった「自身の強み」について、それぞれ語っていただきました。

「やりたいことは声に出して言う」を徹底

コンビニエンスストア大手のローソン。人事本部人事企画部部長の山口さんは、自身の強みとして「コミュニケーション力」を挙げました。

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「私は出産後に復職した際に、人事部採用チームに入りました。その際、新卒や中途の面接に数多くかかわったのですが、一緒に担当した当時の部長から『山口さんは話を引き出すのがうまいね』と褒められたんです。それがとても嬉しくて、コミュニケーションをもっと極めたいと思うように。子どもが小学校に入学したタイミングで夫に『土日だけ学校に行かせてほしい』とお願いし、夫の協力を得ながらカウンセリングの勉強を始めました。これが私の強みのベースになっています」

そんな山口さんがキャリアを切り開くきっかけになったのは、「育児と仕事を両立しながら、今の自分に何ができるのか、もがきつつ考え抜いていた」時期に、一歩離れて会社を俯瞰してみたこと。

「当時のローソンは、社員に対する取り組みが手薄な部分がありました。体系立てて仕組み化すべきだと考え、勇気を振り絞って人事担当役員に提案してみたんです。すると『やってみたら』との答え。私の性格的に、役員に直談判するのはとても勇気が要ったのですが、手を上げれば受け入れられる風土があったこと、上司に理解があり、やる気がある部下に任せる姿勢だったこともあり、チャンスをいただくことができました。このような経験を積むことで、強みを磨けたのだと思っています」

「2年前に部長に就任したのですが、以前の人事担当役員から『お詫びの会をしたい』と言われました。私が育児と仕事を両立していた時期、『山口さんは今大変な時期だから、仕事の負荷をかけてはいけないんじゃないか』と勝手に考えていた、とのこと。『もっと早く意見を聞き、どんどんチャンスを与え、早く昇進させてあげればよかった。そのことが悔やまれる』と言ってくださったんです」

この経験から、仕事やキャリアについての自分の希望や考えは、自ら発信しないと気付いてもらえない、どんどん上司に伝えるべきなんだと気付いた…とおっしゃいます。

新しいことに着手したいときは、現状から何かを削除すれば負荷がない

外資系総合コンサルティング会社であるアクセンチュア。人事部中途採用Associate Managerの長谷川さんが挙げた強みは「決断力」です。

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「周りを見渡してみたとき、かっこいいと思える人はみんな決断が速いことに気づき、『決断力さえ高められれば、私もすごそうに見えるのではないか?』と考えました(笑)。そのため、何か質問されたら瞬時に答えられるようにしようと決めたのですが、いくら即答できても、根拠がないと胡散臭い。だから根拠を作るために情報収集を徹底し、ひたすら勉強しました。物事を決断する際には、それを阻害する何らかの『不確定要素』があるものですが、その不確定要素をとことん突き詰めることでジャッジメントしやすい状態を作ることも徹底しました」

長谷川さんは現在、5歳と2歳の子どもを持つワーキングマザー。

「子どもを産んだら、しばらくは保育園の関係で17時には帰らなければならない。それでも2人目の出産時は『子育てをしながら、もっと仕事にドライブをかけたい』と考え、夫に協力してもらうことにしました。夫は夜遅い仕事をしているので、『私は仕事を朝にシフトするから、朝の家事・育児をお願いしたい』と協力を仰ぎました

なお、長谷川さんは無類の「削除好き」。なにかやりたいことがあったら、まず「今の業務を削減する」のだとか。「現状、優先度が高い業務は何かを考え、下位の業務を見直して大きく捨ててから新しいことに着手すれば、負荷がかからないですよ」

壁にぶつかったときは、周りの意見ややり方を徹底的に「真似する」ことも必要

セールスフォース・ドットコムは、米国に本社を置き、クラウド型の顧客管理(CRM)を提供しています。

インサイドセールス部門の部長を務める成田さんの強みは、周りのいいところを吸収する「真似する力」だとか。「突拍子もない斬新なアイディアを思いついたり、イノベーティブなことがひらめいたりするタイプではなく、今ある道を突き進むタイプなので、できるだけ周りから吸収することを心がけている」と言います。

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「1社目に勤めた会社ではSE、2社目では営業を担当。3社目である今の会社では、初めにインサイドセールスを担当した後、外勤営業に異動しました。それまでずっと自分のスタイルで働いてきたのですが、外勤営業に異動して初めて壁にぶつかり、『自分のスタイルでうまくいかないならば、いったん捨てて上司のアドバイスを聞いてみよう。周りのやり方を徹底的に吸収しよう』とスタイルを変えてみたら、数字がついてくるようになったんです」

成田さんは現在4歳の子どもを育てながら、現場の最前線で活躍中。時間をやりくりするために「夫との役割分担」「使えるものは徹底して使う」を実践しているのだとか。

「親が遠方に住んでいて頼れないこともあり、食洗機、乾燥機、ロボット掃除機の活用に加え、ベビーシッター、延長保育もフル活用しています。また、朝の送り迎えは私、お迎えは夫と、夫婦で時間の分担を決めています。当社はITの会社でクラウド型サービスを提供していることもあり、ネットさえつながれば基本的にはどこにいても仕事ができる環境が整っているので、自宅に居ながらにして、とても効率的に仕事を回すことができています」

マネージャーの仕事を近くで見れば「自分にもできそうだ」と可能性に気づける

人材採用に関する総合サービスを手掛けるリクルートジョブズ。人事部中途採用グループのマネージャーを務める脇さんの強みは、「突破力・推進力」とのこと。

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「合言葉にしているのは『やっちゃえばいいじゃん』です。人事の仕事においては、もちろん慎重にならねばならないアジェンダもありますが、基本的には営業経験で鍛えた『言ってみる、やってみる』を大事にしていて、それが新しい取り組みにつながったりもしています」

そんな脇さんも、30歳ごろ「自分のキャリアに焦りを覚えた」と言います。

「当時の立場は営業部門のチームリーダー。個人の売り上げも、グループの売り上げも好調でしたが、ある日、メンバーから受けた本質的な質問に答えられない自分に気づいたんです。例えば、なぜうちのグループは売れているのか、これにより自社の市場シェアはどう変化するのかなど。深く答えようと思えば答えられるはずの質問に対して、事業全体を把握できていなかったため、上司から共有されている範囲のことしか答えられなかった。目先の数字を追うだけではなく、もっと物事を俯瞰したり、背景を考えながら営業戦略を練ったりする経験をしないと、このまま小手先でやっていても成長がないと危機感を覚え、上司に『企画部門に異動して自分を鍛えたい』と直談判しました。異動申告制度もありましたが、かなり焦っていたんでしょうね(笑)」

その結果、営業企画部門への異動が実現。「自分で手を挙げたからには、ここで絶対に成長しなければ」と背水の陣で臨んだそうです。事業の風向きをどう捉えればいいのかという大局的なことから、「この数字はどう見ればいいのか」という営業データの細かいことまで、日々周りに聞きながら一つひとつ習得する中で、自分で物事を推し進め、壁を突破する力が身に付いた…と振り返ります。

「その頃は、キャリアップについては考えておらず、とにかく目の前のことをやれるようになりたい一心で突っ走っていました。ただ、仕事柄、全国各地の営業マネージャーとやり取りする機会が多く、『マネージャーにもいろいろな人がいるんだ』と気づいたんです。マネージャーになっても、さらに上の上司からこっぴどく怒られたり、より良いやり方を試行錯誤したりしながら頑張っていて、親近感を覚えましたね。マネージャーの仕事は決して特別なものではなく、私にもできるかもしれないと思えるようになり、自然にマネージャーを目指すようになりました」

仕事やキャリアの目標はどんどん伝え、あくまで「自分のために」仕事をしよう

女性管理職として活躍している皆さんに、「キャリアを前進させるためのアドバイス」を伺ったところ、多様な意見が挙がりました。

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ローソン・山口さんは、上級管理職の仕事の面白さについて語ってくださいました。

「当社は男性社員が多く、女性の管理職は全体の8%とまだまだ少ないですが、部長ってそんなに特別なものでも、怖いものではないと実感しています。以前の上司に、『部長の仕事は戦略を立てることだ』と教わりました。どうしても自分で手を動かしたくなりますが、部下を育てるためには『戦略を立てて、後は任せる』ことが必要。そのために、視座を上げて視野を広げ、全体を俯瞰できるよう心がけています。実際、女性のほうが物事を広く見られるものです。管理職になれば、皆が幸せに働くためにはどうすればいいか、ひいては会社の枠を超え、世の中がよくなるにはどうすればいいか、考えられると思います」

アクセンチュア・長谷川さんは、「チャレンジするためには、会社を変えることもありだと思う」とアドバイス。

「私は今までに3社を経験していますが、アクセンチュアに来て、子どもの急病などに対応しやすくなりました。スカイプなどのコミュニケーションツールが社内用に整備されているので、『出社して顔を突き合わせないと仕事ができない』ということはありません。私は人生において、子育てが最も不確実性が高いものだと思っていますが、だからこそ、転職などの方法で“仕事に打ち込みやすい環境”を自ら見つけることが大切。転職しなくとも、今の環境を変えるために上司に訴えるなど、自ら働きかけることも大切だと思います」

セールスフォース・ドットコムの成田さんは、「キャリアを前進させるには、口に出して言うことが大切」と訴えます。

「以前、マネージャーをやりたいと思ったときは、当時の上司に『私はいつまでにマネジメント職に就きたい』と具体的に伝えました。今も本部長に『私は早く昇進したいし昇給もしたい』と率直に言い続けています。私も部下を持つ身だからわかりますが、『上司から聞いてくれないならば、自身のキャリア志向は言わないと伝わらない』ものです。ちゃんと伝えれば、『この人はこういう志向を持っているんだ』と理解してもらえ、『そのためには今のうちにこのスキルを身に着けておいたほうがいいよ』など的確なアドバイスをもらえるようになりますよ」

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リクルートジョブズの脇さんは、「自分のために仕事をする、という視点を持ってほしい」とアドバイス。

「私自身、若いときはそうだったのですが、上司から目標を与えられるのを待ち、それをただがむしゃらに追うだけでは、いずれ精神的にも肉体的にもしんどくなります。その仕事から何をつかみ取れるか、どのように先につなげるか、自身のキャリアを戦略的に考える習慣を身につけてほしいですね。また、『相談相手を持つ』こともお勧めします。上司でも同僚でもいい、正直に自分の気持ちを吐露する相手がいれば、気づけることがたくさんあります。メンバーと面談をしていると、よく『こんなこと言っていいのかわからないんですけど…』と胸のうちを明かしてくれることがあるのですが、聞けば『え?そんなことで悩んでいたの?いいに決まっているのに!』と思うことがとても多いんです。相談する相手がいれば、サポートしてくれたり、有益なアドバイスをくれたりするもの。仕事もプライベートも、もっとうまく回るようになりますよ」

誰しもキャリアに悩み、壁にぶつかりながらステップアップしてきた

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管理職としてイキイキ活躍している4名のビジネスリーダーも、キャリアを積み上げる中で悩んだり、壁にぶつかったりしながら、自身の強みを伸ばして成長してきたことがわかりました。

参加者の多くは、これからステップアップする方たち。女性で管理職になることに不安を抱いていた方もいらっしゃると思いますが、登壇者の体験談やアドバイスに真剣に耳を傾けて、熱心にメモを取る姿が多く見られました。このイベントを機に、管理職に対するイメージが少し変わったという方も多いのではないでしょうか?

結婚や出産などのライフイベントを経験しながらも、「仕事力」を高めながらキャリアを前進させる。そのための視点が得られたイベントになりました。今後もさまざまな切り口での女性活躍支援イベントが予定されているので、キャリアのヒントを得たい方は、ぜひ注目してみてください。

イベント情報等はこちらを随時更新中/リクルートキャリア「ジョカツ部」

https://www.facebook.com/rcajokatsu/

EDIT&WRITING:伊藤理子 PHOTO:中恵美子

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