この秋、鉄道ファン激オススメの紅葉&ローカル線グルメはここ!わたらせ渓谷鐵道「列車のレストラン清流」

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昭和から平成の初めにかけて、浅草と日光・鬼怒川を結んでいた東武特急1720系電車。

当時は「デラックスロマンスカー(DRC)」と呼ばれ、長きにわたって人気を博しました(写真下)。

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今も東京・東向島の東武博物館や、埼玉・さいたま市内などで大事に静態保存されていて、かつての気品あふれる姿を見ることが出来ます。

さらに! この「デラックスロマンスカー」で食事を楽しみながら旅気分も一緒に味わえる場所が、今もあるとのこと……皆さん、ご存じでしょうか?

人気の「わたらせ渓谷鐵道」へ

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東京から上越新幹線で1時間弱、高崎で両毛線に乗り換え45分ほど……都合およそ2時間で、群馬県の桐生(きりゅう)に到着します。

この桐生から分岐しているローカル線が「わたらせ渓谷鐵道」

群馬の桐生から栃木の間藤(まとう)までの44kmあまりを1時間半前後で結びます。

国鉄時代は足尾線(あしおせん)と呼ばれた路線で、今は第三セクターの鉄道となっています。

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桐生からさらに50分あまり、降り立ったのは、レトロな木造駅舎が残る「神戸駅」。

群馬県みどり市にある無人駅で、駅舎は国の登録有形文化財となっています。駅名の「神戸」の読み方は、“こうべ”ではなく「ごうど」

懐かしさを漂わせるホーローの駅名板も、漢字の「神戸」より、ひらがなの「ごうど」のほうが大きく書かれていますね。

「デラックスロマンスカー」が送る、第二の人生

木造駅舎を抜け、ホームに出てくると……停車中のわたらせ渓谷鐵道のディーゼルカーの向こうに、お目当ての「デラックスロマンスカー」の姿が見えました!

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でも、もちろん現役の車両ではありません。

さあ、その正体は?

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「列車のレストラン 清流」といいます。

今から23年前の平成6年(1994年)、この地で「デラックスロマンスカー」が“第二の人生”を送りはじめたのを機にオープンしました。

ココでは、かつての「デラックスロマンスカー」の車両を“レストラン”として活用し、営業しています。

「わたらせ渓谷鐵道」随一の注目スポットというべき場所なんです。

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日中、間藤行と桐生行の列車がすれ違う時間、上下線の線路が埋まり、さらにデラックスロマンスカーも見えると、山間の小さな駅とは思えないくらい「鉄分たっぷり」な空間が生まれます!

しかも「わたらせ渓谷鐵道」は非電化にもかかわらず、「デラックスロマンスカー」は電気を集めるパンタグラフを上げた状態になっているのも面白いところ。

こちらの神戸駅には「デラックスロマンスカー」の中間車が2両保存されています。

厨房のある建物を挟むように2両置かれ、通常は間藤寄り(上写真、手前側)の車両がレギュラーで使われていて、桐生寄りの車両は、団体のお客さん用に使われているのだそう。

周辺の山が色づき、紅葉が見ごろを迎える時期には、多くのお客さんが訪れることでしょう。

デラックスな“リラックス”を体感。驚異の1100mm!

さっそく「列車のレストラン清流」の店内にお邪魔します。

こちらは食券制となっており、まず自動券売機で食券を買い求めます。

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セルフサービスですのでチケットをカウンターに出して、注文したメニューが出来あがると呼ばれる仕組みです。

ちなみにこの券売機、わたらせ渓谷鐵道の有人駅に置かれている機械と同じタイプ。

横に駅の時刻表があって、この券売機……まさか列車のきっぷも買えちゃったり???

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なぁんて思いましたが、ちゃんとお店のメニューだけが買えるようになっていました。

いよいよデラックスロマンスカーの車内に入りますと……

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ほぼ昔のまんま!

ヘッドカバーがかけられ、シートもリクライニングして素晴らしい!

管理されている方の車両への愛が、懐かしさ120%の世界を作り出しています。

「レストラン」という性質上、向かい合わせのボックスにされて、真ん中にテーブルが置かれているのは致し方ないところですが、実はこのテーブルが置かれていることがすごいのです!

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よく見ると「窓1つに対し1つのシート」は変わっていません。

つまり、現役時代からシートの位置は変わっていないのに、大きなテーブルを置いても差し支えがないくらいに足元が広く設計された車両なのです!

古い文献によれば、座席と座席の間隔(シートピッチ)は1100mm。

コレは、当時の国鉄特急のグリーン車に匹敵するほど広いものでした。

しかも東武鉄道はグリーン料金などなく、普通の特急料金だけで乗せていたわけですから、いかにこの車両が「破格の」車両であったか、まさに「デラックス」な車両だったかが分かります。

「デラックスロマンスカー」が生まれた背景には、東武と国鉄の「日光を巡る競争」がありました。

昭和30年代、国鉄は準急「日光」に、特急並みの車両・157系電車を投入します。

これに対して東武はこの1720系電車をデビューさせ、圧倒的な優位に立ったのです。

時代は下って、11年前の平成18年(2006年)、東武とJRが日光・鬼怒川へ相互直通特急を走らせるようになりました。

現在使われているJR253系と東武100系共に、この1100mmのシートピッチの特急車両となっており、新宿~東武日光・鬼怒川温泉間で毎日4往復運行されています。

何気なく置かれたテーブルの1100mmの空間にはそんな歴史が隠されていたんですね。

舞茸ご飯で列車と秋を愛でる

列車行き違いの風景を眺めながら、「デラックスロマンスカー」の素晴らしさを堪能しているうちに、お待ちかねのご飯が出来上がり!

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お店の方イチオシの「舞茸ご飯定食」(1,230円)をいただきます。

「舞茸」がこの地域の名物なんだそう。

カラッと揚げられた大ぶりの舞茸は、もちろんアツアツでサクサクです。

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【お品書き】 舞茸ご飯 そば(温) 舞茸と野菜の天ぷら 生野菜 なます 香の物

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日本の鉄道史に残る名車の車内で、秋の味覚がいただける喜びは別格です。

神戸駅は「デラックスロマンスカー」が走っていた駅ではありませんが、車窓にはホームがあって、時折動く列車もやって来るというシチュエーションは、何物にも代えがたい風情があります。

お店には、実際に「デラックスロマンスカー」の運転をされていた方や、現役時代によく乗った方をはじめさまざまな方がやって来て、それぞれの思い出を語っていくそうです。

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お店には青く塗られた時代の「デラックスロマンスカー」の写真もありました。

平成23年(2011年)1月の末に、マルーンとベージュの現役時代の塗装が復刻され、今に至ります。

車両には雨風をしのぐ屋根もなく、メンテナンスにはかなりのご苦労もあるかと推察します。

それでも「デラックスロマンスカー」を、地域の宝として守って下さっている「わたらせ渓谷鐵道」の皆さんに自然と敬意の気持ちが生まれてくるもの。

温かいご飯と温かい気持ちを「ごちそうさま」でした!

ロマン倍増、帰り道もデラックス気分!

神戸駅からの帰り……実はまだ「デラックスロマンスカー」の余韻に浸ることが出来てしまいます。

しかも2つの方法があるんです!

①「デラックスロマンスカー」の雰囲気を楽しめる~特急「りょうもう」〜

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「わたらせ渓谷鐵道」は、途中の相老駅(あいおい・えき)で東武桐生線と接続しています。

この桐生線には、浅草からの特急「りょうもう」が乗り入れています。

実はこの「りょうもう」に使われる主力の200系電車の一部は、「デラックスロマンスカー」の機器を再利用しているとされ、列車の走る雰囲気が似ているんですね。

「わたらせ渓谷鐵道」の旅を楽しんだら「りょうもう」が走るサウンドと共に、「列車のレストラン清流」のひと時を思い出してみてはいかがでしょうか?

②「デラックスロマンスカー」のシートピッチと歴史を楽しめる~特急「スペーシア」〜

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「わたらせ渓谷鐵道」の終点・間藤駅は、栃木県の日光市にあります。

線路は間藤で行き止まりですが、実は間藤から先、日光市営バスの東武日光駅方面行きが走っているんですね。このバスを使えば、「わたらせ渓谷鐵道」と日光を合わせて、ぐるっと回ることもできちゃいます。

東武日光へ出れば、「デラックスロマンスカー」の後継となった東武100系「スペーシア」が活躍する特急「けごん」がお待ちかね!

「デラックスロマンスカー」のゆったりとしたシートの系譜を受け継いだ足元の広いシートに身を委ねながら、日光・鬼怒川の特急列車の移り変わりを実感するタイムトリップも楽しめるのです。

来た道を帰っても、先へ抜けても、ノスタルジックな旅が楽しめる「わたらせ渓谷鐵道」の旅。

だからこそ、神戸駅の「列車のレストラン清流」には立ち寄る価値があるのです。

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秋は紅葉が美しい「わたらせ渓谷鐵道」。

例年11月の中ごろが見ごろだそうです。今年はもうちょっとだけ早いかも!?

美しい景色と昭和の懐かしい鉄道旅に思いをはせながら、少し足を延ばしてみませんか?

お店情報

列車のレストラン 清流

住所:群馬県みどり市東町神戸886−1 わたらせ渓谷鐵道神戸駅構内

電話:0277-97-3681

営業時間:11:00~16:30

定休日:4月~11月は無休、12月~3月は月曜日定休(但し月曜日が休日の場合は翌日)

www.hotpepper.jp

※この記事は2017年9月の情報です。

※金額はすべて消費税込です。

書いた人:望月崇史

望月崇史

1975年静岡県生まれ。放送作家。 ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは足かけ15年、およそ4500個! 放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。 ラジオの鉄道特番出演、新聞・雑誌の駅弁特集でも紹介。 現在、ニッポン放送のウェブサイトで「ライター望月の駅弁膝栗毛」を連載中。 連載:ライター望月の駅弁膝栗毛|ニッポン放送「しゃベル」ラジオ ブログ:駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分

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