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「社長にしか見えない景色がある」 新卒入社から社長に昇り詰めた経営者が今、見ているものとは

「社長にしか見えない景色がある」 新卒入社から社長に昇り詰めた経営者が今、見ているものとは

「上に昇って社長にならんと見えへん景色がある」

これは、『苦労して成功した中小企業のオヤジが新人のボクに教えてくれた 「上に立つ人」の仕事のルール』(日本実業出版社刊)の中に出てくる一節だ。

本書は、嶋田氏が新卒から勤め、現在は社長を務める株式会社日経サービスでの経験を元に、「上に立つ人」の振る舞い方や仕事の進め方、そして周囲とのコミュニケーションの取り方を、物語仕立てで教えるビジネス書である。

「上に立つ人」は一体何を見ているのだろうか? そして、上に立たないと見られない景色とは一体どのようなものだろうか?

著者である嶋田氏へのインタビュー後編は、「上に立つ人」が見ている景色について、そして部下との接し方についてお話をうかがった。

(新刊JP編集部)

■社長になって初めて分かる「社長にしか見えないもの」

――本書を読む中で、良くも悪くも「オヤジ」のカリスマ性がとても目立つように感じました。当時の社風としてはやはり「ワンマン企業」だったのですか?

嶋田:今回の文章は、社内の人達にオヤジの人物像を伝えるために書いたものです。

当時、オヤジの周囲には、個性豊かな幹部がいましたが、彼らについては、言及していません。だから、今回の文章だけを読むと、ワンマンに映ると思います。

実は私も、入社当時、「オヤジはワンマンだ」と思っていました。オヤジが、強烈な個性とリーダーシップで会社を引っ張っていたからです。しかし、今振り返って考えると単なるワンマンではなかったと思います。

オヤジは、役職や社歴に関わらず、「お前はどう思う?」と常に皆の意見を求めていました。「偉い奴と話してもおもろない」と言い、お昼はいつも一般社員と食事に行き、若手の意見を積極的に聞いていました。

だからといって人の意見に流される訳ではありません。重要な意思決定をするときは、たとえ周囲の反対があっても、自分ひとりで決断する強さを持っていました。

「衆議独裁」という言葉があります。これは、「意見を出し合い、最後はトップが決める」という意味ですが、ワンマンというよりも、この言葉のイメージですね。

――「会社全体を見ろ」の章で「オヤジ」が「上に昇って社長にならんと見えへん景色がある」と言っています。嶋田さんも会社のトップに昇り、今や上から見ている立場ですが、その景色はどのようなものですか?

嶋田:私は、社長に就任する前に8年間、副社長を務め、会社の政策立案や意思決定に関わりました。

その際、ある大学の理事長から「トップの責任は重い。社長と副社長の距離は、副社長と一般社員の距離よりも大きい。それぐらい違うんだ」と言われたことがあります。

当時は「そんなはずはない」と思っていましたが、社長に就任して、この言葉の重みを実感することになりました。

社長の決断は、会社の意思決定そのものです。それを誤ると、やがて会社を衰退させ、倒産させてしまう可能性もあります。そうなると社員を路頭に迷わせてしまうのです。責任の重さは計り知れません。

今、わが社の業績はとても順調です。しかし、将来衰退するなら意味がありません。

例えば、今期の業績を高める政策でも、長期的に見れば不正解というケースもあります。したがって、短期・長期の両方の視点でしっかり考えた上で意思決定をしなければなりません。

「社長になると全体が見える」というのは、オヤジの言う通りだと思います。

しかし、見えるのは、会社全体だけではありません。同時に、会社の直面している危機、乗り越えるべき課題もよく見えるようになりました。それも、一個や二個ではありません。何十個、何百個です。見たくなくても見えてしまうのです。

ところが、見えている課題を一気に解決することはできません。自分たちの力量を高めながら、優先順位をつけて、一つずつ乗り越えていく必要があります。

オヤジは、一日中会社のことを考えていましたが、私も同じです。何をしていても、何を見ても会社のことを考えてしまいます。

それが社長の定めであり、社長の見る景色なのだろうと思います。

――改めて、嶋田さんにとって「オヤジ」はどんな存在ですか?

嶋田:今振り返ると、時期によってオヤジは、変わったような気がします。

入社した当初は、スポーツ指導者のような存在でした。日々課題を課され、不出来な部分を指摘され、厳しく鍛えてもらいました。

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