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おいしいごはんを食べながら、お客さんも参加するお芝居「演劇ごはん」がオイシイ3つの理由

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「お芝居を観に行く」というのは、馴染みのない人にとっては敷居が高く感じられるかもしれません。筆者自身は、エンタメ業界に近いところで仕事をしていることもあり、劇場やライブハウスには割とよく足を運んでいる方かと思います。しかし、周りには小劇場のお芝居に全く行ったことがない人もいるわけで、そういう人に「お芝居観に行こう」は、さすがに言いづらいなぁと感じていました。

 

ところが、そんな心配はご無用で、気軽に友人知人をお誘いできる、全く新しいエンターテイメントを見つけました! それが、「演劇ごはん」です。

 

当初、「飲食店で」「お芝居を見ながら」「お客さんも参加して」「おいしいお食事がいただける」と説明を受けたのですが、あまりにも全部盛りで全く想像がつかなかったため、実際に体験してきました。

 

飲食店ならではの演出に溢れていた

今回うかがったのは、京王井の頭線永福町駅から徒歩3分の場所にある「マッシモッタヴィオ」。本場ナポリのピッツァがいただける、イタリアンのお店です。

 

案内された地下のフロアに入り、まず驚いたのがインテリア! イタリアから取り寄せたこだわりの調度品だそうです。

 

しかし、当たり前ですが、いわゆる“飲食店”。椅子とテーブルが置いてある、普通のレストランスタイルです。

 

「ここで本当にお芝居ができるの…?」と思いながら席に座り、開演時刻の19時になると…さっきまでドリンクの注文を取っては運んでいた店員さんが、お店の紹介や自分の趣味などを話し始めたのです! 制服もお店のものだし、あまりにも自然だったので、本当に店員さんかと思っていたら、なんと出演者でした。

 

さらに、この時すでに客席にも役者がいたのです。こちらも、周りになじんだ様子で席に座り、会話をしていたので、一般のお客さんかと思っていたからとにかくビックリでした。

 

もう、この時点で一般のお芝居とは全く違います。「開演に先立ちまして…」のアナウンスがあり、開演ブザーがなって幕が開くのではないので、とても自然なのです。

 

…と、さわりはこれくらいにして、観に行ってみたい人、これから観に行く人への楽しみ分を残しつつ、観劇にいらしたお客さんの声とともにレポートします。

 

「演劇ごはん」がオイシイ3つの理由

 

思わず人に語りたくなる、お店のこだわりが分かる!

「演劇ごはん」を展開する団体「Alive a live」のストーリーは、お店の料理を題材にしています。使っている食材へのこだわりや、料理に込めたオーナーの思いなどが物語の重要な要素となっていて、勉強にもなります。

 

お店の思いやコンセプトなどを、チラシやホームページに掲載するのはもはや当たり前ですが、こうしてストーリーに組み込まれていることで、よりしっかりと記憶ができました。公演期間が終わった後も、誰かと一緒にお店に来れば、さも常連かのように語れること間違いなし!

 

「ピザ生地を作る時のコツが意外でした。最後もほっこりするストーリーだったのが良かったです。(30代女性)」

 

筆者も、ナポリピッツァの生地の秘密を誰かに話したい…!

 

観客がお芝居のストーリーを選べる!

「演劇ごはん」の醍醐味は、お客さんもお芝居に参加できることです。役者が選択に迷った時、お客さんが、どちらを選ぶのかを多数決で決めるのですが、これがさながらアドベンチャーゲームの分岐選択のよう。

 

今回は店員役の女性がお客さんに2種類の文字が書かれた棒を配り、要所要所でお客さんに、どちらを選ぶのかをたずねていました。例えば「行け!」 なのか「残れ!」 なのか、お客さんはどちらの“分岐”を観たいかを、棒を上げて答えます。その時に居合わせたお客さんによってストーリーが変わるので、他のストーリーを観たい場合は…もう一度観に来ること、そして、前回と違う分岐になるのを祈ることです。

 

リピートするお客さんも少なくないそうですが、また観に来たくなってしまう理由も非常に納得です。

 

実は今回、行く日によってピッツァのメニューが変わるのです。その上別ストーリーもあるだなんて…ずる過ぎます! 筆者は、最初はマルゲリータの公演日に行ったのですが、多数決で負けたことと、ピッツァがあまりにもおいしかったので、ビアンカサラミの公演の日にも行ってしまいました。…まんまと思惑にハマってしまった良客です(笑) 2回目では別の分岐も見れたので、大満足でした。

 

そ間違いなくご飯がおいしい!

「演劇ごはん」はその名のとおり、物語中でお店の料理を食べるシーンがありますが、おいしそうに食べている役者さんたちを見ていると、こちらも食べたい気持ちでいっぱいになります。ピッツァの香ばしい匂いが漂ってくると、“おあずけ状態”になるのは辛いところ…! ですが、終演後には、さっき役者さんたちが食べていた料理をちゃんといただけるので、感動もひとしおです。

 

「お芝居の初心者にこそオススメしたい! 正直、お芝居がイマイチでも、ごはんおいしかったでしょ? って満足してもらえるから、誘いやすいよね。まぁハズレだったことないんだけど(笑) あと、絶対に料理がおいしい店で開催されるのもいい!(40代男性)」

 

「五感を全部使って体験できるお芝居ってないですよね。ディナーショーともまた違って、すごく楽しい! 新しい体験でした。(50代女性)」

 

この日は6名ほどのお客さんにもお話をうかがいました。ここのお店にいらっしゃるのは全員初めてだったそうですが、皆さんが「永福町でこんなにおいしい本格ピッツァが味わえるなんて知らなかった!」 とおっしゃいました。

 

「普段井の頭線を使うことのないエリアに住んでいますが、渋谷から10分程で来れるなら、絶対また来ちゃうと思います。(30代男性)」

 

と語る男性は、なんと「演劇ごはん」初演時からのファンで、全公演制覇しているのだとか。 過去に公演を行ったお店のごはんのファンになって、再び足を運ぶ人もいらっしゃるそうです。

 

主宰が「演劇ごはん」に寄せる3つの思い

えんぶ 2017年10月号
Fujisan.co.jpより

 

お芝居と料理、役者と観客が見事に融合した、文字通り“良いトコどり”の「演劇ごはん」ですが、どうしてこのような発想が生まれたのか、「Alive a live」主宰の小濱さんに経緯をうかがいました。

 

役者の、職業選択の幅を広げたい

役者と言えば、演じることで対価を得るわけですが、それが芸能界以外でも、もっと選択肢が広がったらいいのに、と課題に感じていらっしゃいました。飲食店での試みは、そのアイディアのひとつなんだとか。

 

食について、もっとみんなに興味を持ってもらいたい

グルメ漫画の金字塔『美味しんぼ』が好きな小濱さんは、食べることが大好き。調理の仕事に就いていたこともあり、私たちの口に入る食材がどうやってやってくるのか、ずっと興味があったそうです。

 

また飲食店は、素材ひとつ取ってもこだわって選んでいて、食に関するご自身の仕事経験から、小濱さんはそうした背景をよく知っていました。実は「演劇ごはん」を開催するお店は、小濱さんをはじめ団体のメンバーが足を運び、「ぜひここでやりたい!」と厳選したお店なのです。

 

お腹を満たすだけなら気にする機会も少ないかもしれませんが、「食」を通してお店側の思いも伝えたいと語る小濱さんは、役者の肩書きを越えた職人のように感じました。

 

演劇をもっと身近なものにしたい

舞台と客席が、緞帳を挟んで別世界、とはっきり分かれているのが、お芝居の敷居を高くしている要因のひとつかもしれません。ですが、小濱さん曰く、海外の舞台は「線がない」状態なんだとか。例え役者が舞台の上に居ても、お客さんの存在を認識しているので、置いてきぼりにされた感じがしないのだと言います。

 

そこで、「飲食店」という、日常の延長線上で誰もが行く場所を舞台にし、お客さんに「お客さん」という役を与えることで、無理なくストーリーに参加できる、楽しみやすい環境づくりにこだわっているのです。

 

公演後のお食事タイムには、さっきまで演じていた役者さんたちがテーブルを回っては、お芝居や料理の感想を聞く等交流をしてくれて、とてもフレンドリーです。

 

「何回か来ているうちに、出演している役者さんの、他のお芝居も観たくなっちゃって…。(50代女性)」

 

お客さんと役者さんたちが自然とお知り合いになれるのは、他ではない体験でしょう。

 

2017年の公演は、10月3日~13日の夜開催される『隣のテーブルのふたり in マッシモッタヴィオ』が最終とのことですが、2018年もすでに「南青山野菜基地」と、「アインソフ ソア 池袋店」での開催が予定されています。

 

食べておいしい、参加して楽しい「演劇ごはん」。お芝居が観たい、とにかくおいしいご飯を食べたい、新しい体験がしてみたい、どこからのアプローチでも楽しめますから、お友達を誘って、行ってみてはいかがですか? 

 

ハードルが高そうな時の誘い文句は、「ねぇねぇ、おいしいご飯食べに行かない?」です!

 

演劇ごはん in マッシモッタヴィオ「隣のテーブルのふたり」

 

公演日程:2017年10月3日(火)、5日(木)、6日(金)、10日(火)、12日(木)、13日(金)

公演時間:19:00~21:30(18:30開場)

会場:ナポリピッツァ マッシモッタヴィオ(京王井の頭線 永福町駅より徒歩3分)

※予約方法や2018年以降の公演については、団体のホームページをご確認ください。

http://alive-a-live.com/

 

<文・写真 鴨島 妙実>

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