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幼児教育無償化の真偽も見極め、自分と将来世代のため選挙に行くべき

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幼児教育無償化の真偽も見極め、自分と将来世代のため選挙に行くべき

3〜5歳児の教育無償化は実現するのか?

安倍首相は、9月25日、3~5歳のすべての子どもの幼児教育・保育の費用を無償化する方針を示したそうです。この施策等について2兆円規模の大規模な政策を実施し、その財源として平成31年10月に予定する消費税率の8%から10%への引き上げによる税収増を充てる考えとのことです。

しかし、もし本当に安倍首相にわが国の少子化や子育て世代の負担に問題意識があったのであれば、民主党から政権交代してからの政権の座にあった約5年間のうちに具体策を講じていたはずです。しかも、政権与党は、予算も法律も最終的に決することができる立場にあるわけですから、真にやる気があれば具体案を国会の場に出して国民に事実上提案して、実現もできたはずです。少子化を「国難」とまで言うのであれば、この5年間「国難」を放置していたとも言えるでしょう。

また、2兆円も掛けるという施策について具体的なアイデアがあるというのであれば、衆院解散より3か月も前の6月22日に召集要求(憲法53条)の出されていた臨時国会を早期に開いて審議していたはずでしょう。

したがって、選挙後になにがしかの施策がなされるかもしれませんが、幼児教育の無償化の実現という主張には信用性があると判断することは厳しいでしょう。

消費税の使途の説明は正確とは言えない

使い途を特定せずに一般経費に充てる税金を普通税といい、初めから特定の経費に充てる目的の税金を目的税といいます。

現在8%で課されている消費税は、普通税です。

ただし、平成26年4月1日から、この消費税は、社会保障のための特定財源となっています。特定財源というのは、税収の全部または一部を特定の事業の財源に充てることにされている税金のことです。

具体的には税率5%から8%を経て10%に増税するという平成24年の改正の際に、消費税法1条2項で「制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する経費に充てる」ということが規定されています。

すると、既に消費税法では、消費税の税収を少子化対策として幼児教育の無償化に充てることは制度を確立すれば許容されているといえます。

そう考えると、消費税の増税分から財政再建に充てるとかいう話は、おカネに色が付いていないから言える話でしょう。平成29年予算の社会保障費は32.5兆円で、消費税の税収17.1兆円より多くなっています(平成29年4月財務省「これからの日本のために財政を考える」参照)。消費税の増税分から直接、借金返済に充てる分を減らして社会保障費に充てるというのは不正確です。社会保障の特定財源である消費税が増税されることによって、他の税収から社会保障に充てずに浮いた分を財政再建に充てると言うべきです。不正確な言い回しだと国民は誤った印象を受けてしまいます。

財政再建の後回しは、結局は若い世代の負担増に繋がる

消費税の増税は、比較的収入の少ない若い世代には特に重い負担になるでしょう。

また、財政再建を後回し、つまり国の借金の返済を後回しにすることが続けば、今の若い世代や子ども、これから産まれてくる将来の国民に重い負担を残すことになるでしょう。

幼児教育無償化の施策をするにしても、その他の歳出も減らさず、国の借金も減らさなければ、その施策の負担は結局は若者・子どもに重く返ってくると思います。

10月22日に投開票の衆議院議員選挙では、国民の負担や税金の使途について、よりマシな主張の候補や政党をよく考えて投票に行くべきです。白票や棄権は、現状維持にしかなりません。

(林 朋寛/弁護士)

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