Interview with DONY JOINT & MUD (KANDYTOWN)

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NeoL_MUD_DONY | Photography : Junko Yoda

クルーとしての人気の高まりは勿論、ソロとしての活躍も著しいKANDYTOWN。正規リリース、配信、現場リリースなど、その形態を問わなければ、ほぼ全員がソロでの作品リリースを手がけ、そのカタログ数は膨大な数に上り、KANDYTOWNの創作意欲とヴァラエティの豊かさ、そしてそれぞれのソロとしての存在感を楽曲として形にしている。そういった流れの中、メンバーのDONY JOINTは「A 03 Tale,¥ella」を5月に、MUDが「Make U Dirty」をリリースした。いぶし銀の世界観の中に、キラリと光るような鮮やかさを込めた「A 03 Tale,¥ella」、そしてG-FUNKやオートチューンなど、これまでのKANDYのカラーとは違った側面を見せた「Make U Dirty」と、それぞれのカラーをソロとして確立させたDONY JOINTとMUDに、彼らのこれまでと現在、そしてこの先をうかがった。

——今回はMUDくんとDONYくんの二人でのインタビューということで、まずお二人の出会いからお教え願えればと思います。

MUD「初めて会ったのは俺が高1、DONYが中3の時ですね。俺が高校から私立に入って、後にKANDYTOWNのメンバーに繋がっていくBANKROLLのメンツと遊びだした時に、DONYと出会ったんです」

——KANDY TOWNは学年的に言うと、一番上にIOくんやRHOHUくん、B.S.Cくん達のBANKROLL組、その一学年下にMUDくんやNeetzがいて、そのもう一つ下の学年にDONYくんやYOUNG JUJUくんのYABASTA組と、大まかには3つの学年で構成されているんですよね。

MUD「そうです。それでDONYは中学生でBANKROLLに所属してて。それで向ヶ丘遊園にあったライヴハウスで高校の人間が中心になったパーティがあった時に、俺もソロで出て、DONYもBANKROLLのメンツとして出てた時があって、その時に最初に会いました」

——その時の印象は?

MUD「もう今と変わんないですね。中学生なのにヒゲも生やしてたし」

DONY「『ヒゲ生えて欲しいな』ってずっと願ってたら、中3ぐらいから生えてきて」

——そんな『願えば叶う』みたいな話なの?(笑)

MUD「だから最初は敬語使った記憶があるもん。年上だと思って。でよく話したら年下かよって(笑)」

DONY「俺もその前に何かでMUDのライヴを観たことがあって、一つ上の世代の中でも、スゲえラップが上手い、格好いいラッパーだなって思ってましたね。その時から、いまに通じる独特の、病みつきになるラップをしてて」

MUD「そこら辺から遊びだしたんだよね。(後にKANDYTOWNに繋がっていくような)音楽や遊びの感性の似てるヤツの中の1人というか」

NeoL_MUD_DONY3 | Photography : Junko Yoda NeoL_MUD_DONY2 | Photography : Junko Yoda

——そのイべントってどれぐらいの集客があったの?

MUD「100人以上来てたんじゃないかな。卒業した人とかも出てたし」

DONY「ラップとかDJだけじゃなくて、(オカモト)レイジくんとか、今のOKAMOTO’Sに繋がるメンバーがやってたバンドも出てたし」

MUD「落語とかも出てて。レイジくんがその落語のマイクにエフェクター繋いで、ロボット声で落語したり(笑)」

DONY「もうジャンルを問わず、各々のパフォーマンスを見せるみたいなイベントだったんで。100回以上やってるんじゃないっすかね」

MUD「あれでやっぱりパーティ好きになっちゃったもんな。今でも色んな世代やジャンルに友達がいるのは、そこで繋がった関係性も大きいですね」

——DONYくんは学年が違うけど、BANKROLLに入ったキッカケは?

DONY「BANKROLLのサンタくん(B.S.C)が地元の先輩で、サンタくんと一緒にラップを聴いたりしてたんですけど、サンタくんがYUSHIくんとかIOくん、Ryohuくんと遊ぶようになって、そこに俺も顔を出してるうちに、一緒にラップやろうよ、みたいな感じでした」

MUD「俺が高校から私立に入ってまず驚いたのは、もう学校のいたるところでフリースタイルやってた事ですね。非常階段、食堂、中庭……。体育の授業サボって、誰もいない空き教室で、プレイヤーとテレビのスピーカー繋いでラップしたり。ホントにあそこは自由だったんで、生徒じゃないDONYも遊びに来てたし。BANKROLL世代の卒アルには学年の違う俺とか、そこの生徒じゃないDONYも載ってます(笑)」

——自由というかなんというか(笑)。

DONY「もう自由すぎてビビりましたね。こんな学校あるのか、って(笑)。俺が通ってた公立校はラップも流行ってなかったんで、地元に無いものを普通にやってる人たちがいるっていうのは、結構カルチャーショックでした」

——二人に別々に話を聞いた時に、二人とも一番影響を受けたのはグループBANKROLLだっていう話をしてて、それがスゴく印象に残ってるんですよ。

MUD「最初のお手本って感じだったすね」

DONY「俺も」

MUD「それまでもヒップホップを聴いてたけど、『目標にしたい』って思ったモノは無かったんです。だから、何をどうすればいいんだろうって思ってた時に、BANKROLLに出会って、これを目標にすれば良いんだって、『見えた』感じだったんですよね。今でもその気持ちは変わらない。一番刺激を与えてくれるのはBANAKROLLであり、KANDYTOWNのメンバーですね」

DONY「確かに。BANKROLLの先輩たちに出会って、『目覚めた』感はありました。音楽だけじゃなくて、遊び方だったり、街での身の処し方、どう過ごすか、生き様とか、全部が刺激的で。そういうライフ・スタイルも含めて、目覚めたと思います。しかも、その遊びには常に音楽がついてくるんで、そこで色んな音楽を教えて貰ったり、一緒に曲を作ったりして、今の自分が出来上がって来たんだなって思います」

NeoL_MUD_DONY4 | Photography : Junko Yoda

——ライフ・スタイルの中心に音楽があったと。

DONY「暇だから曲でも作るか、とか、それぐらい自然な感じなんですよ」

MUD「遊ぶ時には常に音楽が流れてたし、『今日はどこどこのレコ屋に行ってみる?』とか。『SOUL TRAIN』をみんなで見て、そこに出てくる奴にあだ名つけるゲームとかやってたよね(笑)」

DONY「やってたな~。ハードル高いんですけど、みんなメッチャ面白いんですよ。そうやって遊ぶ中で、みんなでいろんなモノを共有しあって、KANDYの感覚が生まれてる部分があると思う」

——そうやって遊びの中で音楽や、皮膚感的な部分でも感性が擦り合っていったというか。昔はどれぐらいの頻度で集まってたんですか?

DONY「ほぼ毎日一緒にいましたね。 YUSHIくんの家とかもあったし、公園とか色んなたまり場があって。そこに夜中、親が寝たら抜け出して遊びに行って、親が起きる前に帰ったり。補導されないように警察にビクビクしながら(笑)」

MUD「俺は学校でも会ってたし、放課後も一緒に遊んでて。あと『誰々がライヴやってるから観に行こうか』とか、今と変わんないですね」

DONY「俺がMUDの家に行って、曲作ったりもあった」

MUD「その時はGOTTZもいたよね。DONYは喜多見、俺は町田なんで、車乗れるようになってから、みんな遊びにくるようになって。とにかく、MTRを持ってる人の家に行ってRECしようって感じだったし、マイク・リレーとかメッチャ録ってましたね」

——メンバー全員の作品となると数が膨大すぎて洗い出せないんですが、ただ、お互いのソロ作とKANDYTOWNでのアルバム『KANDYTOWN』だけで考えると、DONYくんのアルバム『A 03 Tale, ¥ella』に収録された“My World feat. MUD, Young Juju”、KANDYTOWNのアルバムに収録された“The Man Who Knew Too Much”と、MUDくんとDONYくんが同じ曲に参加する機会は多くはないですね。

DONY「意外と少ないっすよね」

MUD「あんまりないかもね」

DONY&MUD「(声を揃えて)なんでなんだろう?」

——そういう感じだ(笑)。

MUD「かなり少ないかも、この二人で同じ曲に入ってるのは」

DONY「トラックメイカーからの指定や、『こういう組み合わせで作ろう』ってメンバー内で話し合って決めたりもするんですけど、その時、その場にいる人達で作るってパターンも多いんで、いつも溜まってるメンバーや、溜まるタイミングが近いメンバーは同じ曲に参加しがちっていうのもありますね。だから、ただタイミングが合わないだけかもしれない」

MUD「むしろ趣味や方向性はかなり似てる筈なんだけどね」

DONY「そうっすね」

——音楽的な趣味に関して言えば、例に挙げてもらうとどうなりますか?

DONY「好きな洋楽のヒップホップの年代とかはマッチするっすね」

MUD「WU-TANG CLANとか」

DONY「あと、50CENTとかG-UNIT」

MUD「DIPSET、JA RULE、CHINGY……」

DONY「RASCO、MOBB DEEP……」

MUD「Dr.Dre、DADDY YANKEE、BABY BASH……とか挙げればキリないよね。それに『このビートいいな』って思う時(の感性)も似てると思う。でも他の人と一緒にやってたりするんで(笑)」

DONY「でも俺も思うっすよ、『このビート、俺も参加させて欲しかったのに』とか、嫉妬しちゃって(笑)」

MUD「もう出来ちゃってるから入れねえし……」

DONY「しかも出来上がったら格好いいから余計悔しいみたいな(笑)。俺の“My World feat. MUD, Young Juju”にMUDに参加して貰ったのも、単純に『このビートでMUDのラップ聴きてえ!』ってトコでしたね。プロデュースのNeetzも『MUDがいいんじゃない?』って言ってたんでっていう、それぐらいシンプルな感じで」

——だた、その話になるとMUDくんのアルバムにはDONYくんが参加してないという話にもなってしまうんですが(笑)。

DONY「次こそ絶対呼んで貰わなきゃな~(笑)」

——でも、それを言い出したら、結局KANDYのアルバムを作らなくちゃなくなるからし、タイミングの問題というか。DONYくんのアルバムはNeetzくんがエンジニアリングを手がけられていて、MUDくんのアルバムはNeetzくんのフル・プロデュースですね。その意味でも、その2つの作品はNeetzくんのバックアップも強かったと思いますが。

DONY「今までもNeetzくんにずっと録ってきて貰ってるんで、一番把握してくれてるんですよね。単純にやりやすいし、信頼できる人の頼みたいと思ったら、やっぱりNeetzくんで」

MUD「俺のアルバムは、最初に選んだトラックがNeetzのトラックばっかりだったんで、じゃあ全面的にお願いしようかなって。やっぱり一緒に作りやすい。『あれ録ったほうが良いんじゃない?』『あそこ削ろうか』みたいな、『あれ』とか『あそこ』でお互いに話が伝わるんで」

DONY「あと、ハッキリ言ってくれますよね」

MUD「うん。『あのパート要らないよ』とか」

NeoL_MUD_DONY5 | Photography : Junko Yoda

——お互いのソロ作に対する感想は?

MUD「DONYのソロは『渋っ』!って感じでしたね。とにかく『DONYっぽい』=『渋い』だし、言ってることも、ビートも、佇まいも全部渋いですよね。その部分がアルバムの前面に出てて。でも通して聴きやすい感触もあるし、アルバムとして意味のある形になってると思いました」

——作品のトーンとして、渋さの中にもキラキラした部分があって、銀落としみたいな渋い光り方をしてるなと感じました。

DONY「とにかく自分らしいモノを作りたかったんですよね。とにかく渋いのが好きで、渋く生きたいとしか思ってないので。そこからジャケのイメージとか、曲のイメージを固めていって」

——ではMUDくんのアルバムはいかがでしたか?

DONY「MUDのアルバムは、ラップもトラックもバッチリかましてて、かなり喰らいましたね。それは俺だけじゃなくて、KANDYのメンツみんな喰らってます。やっぱりソロはMUDっぽさが出てて、ラップからMUDのライフ・スタイルが見えてくるっていうか、MUDを知らなくても、その人となりが見えてくるような、響くアルバムでしたね」

——ラップの上手さに加えて、ヴォーカライズだったりオートチューンだったり、そういったカラフルさもありますね。

MUD「今回はとにかくフロウを大事にしました。それこそ、昔からRAKIMのフロウが格好いいと思ってたんで、彼のように韻とフロウをしっかりと組み合わせることが大事だなって。良いフロウが思いついたら、そこに言葉を当てはめたりして、まずはフロウを優先してますね」

——ではこれからのKANDYの動きはいかがですか?

DONY「個々でもそれぞれプロジェクトが動いてるし、KANDYの中で何個のプロジェクトが進んでるんだろうってぐらい、色んな話が動いてますね」

MUD「だから全然止まってはないですね。それにKANDYのアルバムも、曲を全員で作るんじゃなくて、何人かで一曲を作るわけなんで、ソロでの構成ともちょっと近い部分もあるんですよね。だから、どこまでがKANDYかは分からないし……」

——逆に言えば、どういった形であってもKANDYのメンバーが作れば、それもKANDYの作品ということですね。当然だけど。

MUD「そうっすね。ソロの作品もKANDYだと思うし。だから自分としては、また自分のソロを作ろうと思ってて、そこに向けてのビート集めをやってる感じです。それからライヴがいっぱい入ってきたんで、しばらくライヴですね」

DONY「俺もそういう感じです。次の作品を作るために、新しいプロデューサーの人と一緒に曲を作ったり。ライヴをこなしつつ、曲も作りつつ……いい形でリリースできればなって。最近はソロがみんな忙しいんで、キッカケがないと全員で揃うのは難しいけど、でも、それぞれではみんな会ってるし、新しい計画も考えてるんでそこに期待してほしいですね」

——最後にお互いに印象に残ってることは?

DONY「MUDは酒っすね。『楽しく呑んでるな!』って感じなんですよね、いい意味でも悪い意味でも(笑)。しっかり呑み切る、やりきるって感じで」

MUD「やっぱ呑むと楽しいんで(笑)。DONYは『渋』。みんなで集まってても『あれ、DONYは?』みたいな時とか結構あるんですよ。そしたらもう帰ってたり」

DONY「あれだけ人数いると、これからどうするみたいにグダグダする時もあるんですけど、その時間にスッと帰っちゃうっていう。それはサンタくんに教えてもらいました、帰り際の巧さは」

MUD「あと、酒呑むとメッチャ格好いいですよ」

DONY「格好いいっぽいです、俺(笑)。今日もこのインタビュー終わったら、呑みに行くことになってますからね。そろそろ行きますか?(笑)」

photography Junko Yoda
interview & text Shinichiro “JET” Takagi
edit Ryoko Kuwahara

KANDYTOWN
http://kandytownlife.com/
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IO × DONY JOINT
”A BLUE TOUR”
supported by Carhartt WIP

10/1 (SUN) 福岡 GRAF
10/22 (SUN) 沖縄 G+
10/29 (SUN) 東京 WALL&WALL
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ローソン http://l-tike.com/ (Lコード:76292)

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DONY JOINT
『A 03 Tale, ¥ella』
(KANDYTOWN LIFE / BCDMG / P-VINE)
発売中
1. Sunshine (intro)
 Produced by Neetz
2. Vice City
 Produced by Jashwon
3. Nice One
 Produced by MURO
4. BERRY #1
 Produced by The Purist
5. Too Good To Be True (Interlude)
 Produced by Ryohu
 Backing Vocal by Ryohu
6. Good Times feat. Ryohu
 Produced by Ryohu
7. One & Only Thing
 Produced by Neetz
8. Q’s Bash Night (skit)
 Produced by Jashwon
 Special Act by Holly Q
9. Eyez On Me feat. Gottz, DIAN
 Produced by Jashwon
 Backing Vocal by Neetz
10. My World feat. MUD, Young Juju
 Produced by Neetz
11. Godspeed You
 Produced by Kashi Da Handsome
12. B R-ight / BANKROLL
 Produced by Jashwon

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MUD 『Make U Dirty』
(KANDYTOWN LIFE / P-VINE)
発売中
1.Intro
2.Dallaz
3.No Stucks
4.Chevy
5.The Baddest
6.Make U Dirty
7.A Lady feat. YOUNG JUJU
8.A Gentle feat. IO
9.Struggle Dayz
10.South Side
11.Fly With Mi (Interlude)
12.Chasing Summer feat. GOTTZ
13.One Love

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都市で暮らす女性のためのカルチャーWebマガジン。最新ファッションや映画、音楽、 占いなど、創作を刺激する情報を発信。アーティスト連載も多数。

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