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夢の新技術、クルマの自動運転─トヨタに異業界転職したソフトウェアエンジニアが開発の魅力を語る

自動運転はクルマの「アポロ計画」

「ドライバーの操作なしにクルマを走らせることができる自動運転技術の開発は、いわばアポロ計画のようなものと感じます。そういう壮大なプロジェクトに関わってみたいという思いから、トヨタ自動車に転職しました」

世界遺産でもある名峰、富士山が見下ろす静岡・裾野市にあるトヨタ自動車の先端技術開発拠点、東富士研究所で、自動運転の中核技術であるソフトウェアの研究開発に携わる五十嵐 諒さんは語る。

トヨタ自動車株式会社 先進安全先行開発部・第一先行開発室 五十嵐 諒さん

ゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツによって発明されてから131年目の今日、自動車開発の世界ではまさに100年に一度と言われる大変革が起こっている。

変革の三大テーマは自動車を内燃機関ではなく電気で走らせる「電動化」、これまでスタンドアロンであった自動車をネットワークに接続してスマートデバイス化する「コネクティビティ」、そして人間が運転せずとも乗る人の思い通りに、あるいは社会の要請に従って走ることができる「自動運転」である。

自動運転はその3つの中で、最もドラマチックな革命を巻き起こす技術と言われている。自動車はもともと馬車から進化したものだが、クルマを走らせる動力が馬から機械になっただけで、御者=ドライバーは依然として必要だった。

今度はその御者を人工知能に置き換えようというのである。自動車業界では「今まで作ってきたのは、いわば半自動車。これができて初めてホンモノの自動車になる」という声が聞かれる。クルマづくりにおいて、自動運転とはまさしく、長年の夢を実現させるテクノロジーなのだ。

だが、その実用化は困難を極める。昨今、「〇〇年に完全自動運転を実現する」というプランを世界の自動車メーカーが続々と打ち出している。

また、ディープラーニングに代表される人工知能の急速な進化も進んでいる、すでに自動運転の実用化のおおまかなロードマップは見えているものというイメージを持たれている。

現実は違う。自律走行可能なクルマを社会と融和させるために、どのような技術を生み出し、それらをクルマにどうパッケージするべきなのか、またそのクルマをどのように走らせれば人間社会に調和するかといった方向性すら決まっていない。

安全や環境に関する基準を満たしさえすれば道路を走ることができたこれまでのクルマづくりとは、困難さのレベルが違うのである。

五十嵐さんが自動運転を1960年代、当時の技術力を完全に超越することが求められた有人月着陸プロジェクト「アポロ計画」になぞらえるのは、そういう意味だ。

機械→原子力→Webサービス→自動運転

トヨタに入社したのは半年前だが、すでに自動運転のためのソフトウェア作りで重要な役割を担っている。

「今、私が担当しているのは、高速道路限定ではなく、一般道を含めた公道で走らせることができる自動運転車の先行開発です。自動運転にはいろいろな方法がありますが、われわれが目指しているのは道路からの誘導管制なしに、単独で自律走行が可能な自動運転車。

それを安全に走らせるためにはクルマがまず各種センサーで環境を正しく認識し、どう走らせるかというプランニングを適切に行えるようにならなければいけません。一般道は高速道路に比べるとスピードは遅いですが、信号がある、歩行者が飛び出してくるなど、環境の複雑性は格段に上。それをクリアするための技術開発に取り組んでいます」

今の仕事の概要をこう語る五十嵐さん。まるで10年もクルマを作ってきたかのような知見だが、実は転職するまでは、自動車産業との接点はほとんどなかったという。

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