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【舌対音感】第8回:U-zhaan(ユザーン)「俺が愛したローカルフードたち」

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「旅をしない音楽家は不幸だ」という言葉を残したのはモーツァルトだが、では、旅する音楽家の中でもっとも幸せなのは?

それはやはり、その土地土地ならではの旨いものを味わい尽くしている音楽家ではないだろうか。そこで! ライブやツアーで各地を巡るミュージシャンたちに、オススメのローカルフードや、自分の足で見つけた美味しい店をうかがっていくという『メシ通』連載企画が、約1年ぶりに復活!

今回は、ジャンルの枠を超えてさまざまなアーティストと共演を果たしている、日本を代表するタブラ奏者の一人であるU-zhaanさんが登場。タブラ演奏を学ぶために単身インドに渡ったことで知ったインド食文化のあれこれや、地方で出会った美味しい料理についてたっぷり語ってもらいました!

話す人:U-zhaan(ユザーン)

U-zhaan(ユザーン)

インドのパーカッションであるタブラの奏者。インド音楽をはじめ、ジャンルを問わず国内外のさまざまなアーティストのライブやレコーディングに参加し、CM音楽や映画音楽も手がける。最新アルバムは蓮沼執太 & U-zhaan『2 Tone』(commmons)。インドでは、オニンド・チャタルジー、ザキール・フセイン両氏にタブラを師事。埼玉県川越市出身。公式サイト:U-zhaan Official Website

インドでのカレー過多な日々

── U-zhaanさんは地元・川越のデパートでタブラに出会ったことがきっかけで、タブラ演奏のためにインドへ修行に行かれるほどになったわけですが、それ以前からインド料理にも興味はあったんですか?

昔、実家の近所に「アラジン」っていうインド料理店があったんですが、そこの金曜日限定メニューとして提供されてたビリヤニがすごく好きで。スパイスの香りと長粒米の旨さに衝撃を受け、インドの料理ってヤバいな、と思いながら一人でしょっちゅうそこへ通っていたんですよね。それがタブラを知る前、高校3年生ぐらいのときだったので、インド料理が好きになる素養はもともとあったのかもしれません。

── ちなみに、U-zhaanさんが初めてインドに行かれたのは?

1997年ですね。でもその時は楽器だけ買い、2週間ぐらいで帰ってきて。その翌年から1年間コルカタに行っていました。

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── 現地に長期滞在して、日常的にインド料理を食べるようになって気付いたことは?

発見だったのは、同じものを食べ続けるとこんなにも飽きが来るんだ、ということ。今この街で食べられるものの中で、食べたいものがひとつも頭に浮かばないって状態になってくるんですよね。インド料理じゃないものを食べたい、と思って近所をさまよってみても、選択肢はバナナぐらいしかなかったりして。コルカタに住み始めて3カ月ぐらいで雨季に突入したんですが、その頃はかなり苦しかったですね。しんどすぎて、ベジタリアンみたいになっていました。

── しんどいというのは、具体的にどういう部分が?

コルカタの人たちは魚をよく食べるんですが、その魚のニオイが生臭く感じるようになったりする。雨季に入ると衛生状態も悪くなるから、身体が防衛反応をしていたのかもしれないですね。下宿先の大家さんに「僕は今後、魚を食べるのをやめます」って宣言して、野菜のカレーばかりの食生活を送っていました。カレー味にも飽きているから果物でも食べようと思って、露店でカットフルーツの盛り合わせみたいなものを買ったりしたんですが、受け取ろうとした瞬間に断りもなくスパイスをザバっとかけられて。「ちょっと、何してるんですか!」と。

── えっ、フルーツにもスパイスをかけるんですか?

チャットマサラっていう、独特な香りと酸味があるスパイス。インドの人たちには好評で、生野菜や果物など何にでもかけるんですが、僕は当時その味がかなり苦手で。チャットマサラがたっぷり振りかけられたスイカやグァバを、残念な気持ちで口に運びました。捨てるわけにもいかないですしね。

気がつくとソウルフードに

── インドでは「素材そのままの味」には、なかなかたどり着けないものなんですかね。

何かシンプルなものをどうしても食べたいと思って、米を少し分けてもらってお粥を作っていたら、ちょっと目を離した隙にベンガル人の大家さんがターメリックとかを投入しちゃってて。手伝ってくれていたつもりだったんだろうけど、本当にやめてくれないかなと思いました。あ、ベンガル人というのはコルカタが属する西ベンガル州の人のことです。隣のバングラデシュの人と総称して、ベンガル人と呼ばれてます。そして彼らが日常的に食しているのがベンガル料理。

── 日本ではインド料理もだいぶメジャーになりましたけど、ベンガル料理というローカルな味付けはまだそこまで浸透していないような……。

確かに、ベンガル料理の専門店なんてめったに見つからないですよね。初めてインドを訪れたときには、それまでに日本で食べたことのあるインド料理との違いに驚きました。魚の頭とムング豆のカレーとか、やけに苦い謎の葉っぱの和え物とか、まったく知らない味が日替わりで口に入ってくるのはエキサイティングな経験でしたけどね。でも、徐々に疲れてきて「富士そば行きたい」みたいな気持ちになってくる。

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