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個人撮影NGのCM制作現場……近未来クリップボードを使うという手は、アリかナシか

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「個人撮影NGがダメなら、スタジオの雰囲気をペンで描いてみよう」

 

ここは、都内スタジオのCM撮影現場――。この秋にオンエア予定のテレビコマーシャルを制作するスタッフが早朝から集結し、出演者スタジオ入り前の準備に追われていた。

 

「それでは本日の出演者、○○さん入りまーす! よろしくお願いしまーす」

 

香盤表といわれるスケジュールにそってすすめられるCM撮影。現場を仕切るディレクター(演出)が「はいじゃあ本番まいりましょう」と大きな声で伝えると、プロダクションマネージャーなどが続いて「ほんばーんっ!」「カット6の1っ」などと叫ぶ。現場に緊張感が走る……。こうした制作現場では、機密事項やオンエア前情報などがあちこちにあるので、一般的に個人撮影や録音などはいっさいNG。

 

個人撮影NGだとは知っていたけど、それぞれのスタッフが、どのポジションにいて、どう動いているのかを記録してみたい。そこで「絵を描けばいいじゃん」ってことで、スタジオ全体のスケッチにトライ。スケッチといっても、ただのノートに描くのではなく近未来のメモ帳ともいえる、「アプリ連携デジタルメモ帳」を連れ出してみた。

 

スタジオに持ち込んだデバイスは、ワコム製「Bamboo Slate」。普段のボールペンと同じようなタッチの付属専用ペンで、普段使いのメモ帳と同じ紙に描くスタイルで、本体の見た目は「まんまクリップボード」なデザイン。どこが近未来なクリップボードかというと、普段使いのクリップボードと同じ使用感で、ボールペンで紙に描いた感覚と同じ線画が、スマホやタブレットとリアルタイムに同期し、直感的に描いた線画がPhotoshopやIllustratorなどのソフトで自由に編集・加工できるという点。

 

この近未来クリップボードで描きたい絵は、縦40メートルもあるスタジオを俯瞰した図。ブルーバックが貼られたシューティングエリアを最上段に置き、中央のディレクターエリア、その後ろの広告主や広告会社がチェックするエリア、搬出入口までを、鳥になったつもりで描いてみる。

 

ペンを持ち、実際に紙にスケッチしてみると、あらためてそれぞれのスタッフの動きがつかめてくる。照明やカメラまわりのスタッフは、サイドの壁伝いに移動。中央は、出演者やアートディレクター、チーフカメラマン、DIT(デジタル・イメージング・テクニシャン)、プロダクションマネージャーたちの動線と別れる感じ。

 

アプリ連携デジタルメモ帳という肩書のとおり、スマホに入れたアプリと連携し、Bamboo Slate上の紙に描いた線画などが、スマホやタブレットにリアルタイムにリンクし、スマホ上にその絵が表示されるという“飛び技”を持っている。

 

スタジオで写真を撮っている姿を見られると、スタッフに怪しい目で見られちゃうけど、クリップボードにボールペンで記しているという動きであれば、どことなく「仕事やってる感」も出てそう。専用ペンで、スタジオのレイアウトイメージを描いていく……。

 

Bamboo Slate上の紙に描いた線画は、シレッと添えてある電源ボタンをぽんと押すことで、メモリされる。一回押すごとに、描いた最新の絵がレイヤーとして保存されるから、描き加えて再びぽんと押すと、その加えた部分だけが別のレイヤーとして保存されるという具合。

 

スマホやタブレットに入れたWacom Inkspaceアプリを立ち上げると、Bamboo Slateの電源をオンにするだけで、クラウドを介してスマホやタブレットと同期し、先ほど描いた線画がそのデバイスに表示される。さらに、描いた絵をJPG、PNG、PDF、WILLといったファイル形式でエクスポートできるから、たとえば、スマホからJPGへと書き出し、自宅のPCなどにその絵のJPGデータを取り込んで、Photoshopで思い通りに色を付けたり、消したり、また描いたりもできる。

 

今回は、JPGでエクスポートして、各レイヤーを統合。Photoshopで色を塗ったり、Illustratorで文字を入れてみたりする。色が入り、各スタッフたちのポジションが加えられると、スタジオの臨場感が湧き出てくる。最後に、出演者(タレント)のスタジオ入り時の導線をIllustratorのベクトル(矢印)で加えてみると、撮影が始まる直前の、ピリピリとした瞬間が、鳥瞰できる図ができあがった。コレ、意外と写真で撮るよりリアルかも。

 

実際に、フロアと同じ高さからデジカメやビデオカムで撮影するよりも、想像力をふくらませ、ペンを走らせ、天井から見下ろしている図を描いていく時間は、濃密。画像や動画で記録できない現場だからこそ、近未来のスケッチブックで描く。

 

タブレットとペンで、直接画面に描いていくスタイルもあるけど、こちらには紙の上にゴリゴリと「書く」という気持ちよさがあるのもいい。現場でも「メモをとってる感」がシレッと出てると思うし……。

 

プライベート撮影などがNGなCM撮影現場でトライしたスタジオ配置図。線画の雰囲気を残しながら、思い通りに色を塗ったり線を消したり、文字を入れたり……子どものころ感じた絵描きのオモロさがよみがえってきて、PhotoshopやIllustratorで加工していくうちに、ついつい夜更かし。今回、スケッチに要した時間は20分ほど。スマホとの同期は2~3分。自宅のPCでPhotoshopやIllustratorを使い、1時間ほどで完成させた絵は、こんな感じ。

 

あしたも早朝から撮影があるというのに―――。

 

 MdN(エムディーエヌ) 2017年9月号
Fujisan.co.jpより

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