社会的ニーズが高まっている福祉&心理の専門職「精神保健福祉士」

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介護福祉士、社会福祉士と並ぶ3大福祉資格の一つ

将来は介護・福祉分野で働きたいと考えている高校生でも、「精神保健福祉士」についてはよく知らないという人は多いのでは?

 

しかし、精神保健福祉士は、介護福祉士、社会福祉士と並ぶ3大福祉資格の一つ。

 

大学の福祉系学部や福祉系専門学校にも養成コースが多数設けられており、介護・福祉の専門職志望者なら、ぜひチェックしておきたい資格なのだ。

 

では、精神保健福祉士とはどのような仕事をする人たちなのか?

 

社会福祉士などとはどのように違うのか?

 

大妻女子大学 人間関係学部 人間福祉学科の蔵野ともみ教授に話を聞いてみよう。 「精神保健福祉士は、福祉にとどまらない、心理や保健医療にもまたがる専門家です。精神の障害を抱えた人たちが適切な医療や公的制度を利用できるようアドバイスしたり、社会復帰に向けたリハビリや、退院、就職をサポートしたりするのが代表的な仕事ですね」

 

精神に病気や障害を抱えた人たちの社会復帰を支援

困っている人たちへの相談・援助を行うところは社会福祉士と共通。

 

社会的ニーズが高まっている福祉&心理の専門職「精神保健福祉士」

 

ただし、社会福祉士が高齢者、障害者、子どもなどを幅広く対象としているのに対して、精神保健福祉士は総合失調症やうつ病、認知症、発達障害、知的障害など精神の病気や障害を抱えた人たちを主な対象としている点が大きな違いだ。 「ただし、必ずしも重い精神疾患を抱えた人たちだけが対象というわけではありません。例えば、健康な高齢者や子育て中の母親なども心に悩みを抱えることはありますし、健康な人でも病気になれば不安に襲われます。また、LGBT(性的マイノリティ)の人たちや日本で暮らす外国人なども、差別や偏見で苦しんでいるケースがあります。このような層への心のケアやサポートも精神保健福祉士の大切な役割です」

 

社会的ニーズが高まっている福祉&心理の専門職「精神保健福祉士」

 

つまり、臨床心理士のような心理系の専門職とも共通点があるということ。これは社会福祉士にはない特色だ。

 

一般企業でうつ病対策などに取り組む働き方もある

そのため、働き場所や働き方も実は幅広い。

 

もちろん最も多い勤務先は病院や障害者福祉施設だが、最近は地域の保健所や精神保健福祉センターで働く地方公務員の採用の際に、精神保健福祉士の有資格者を対象とした枠を設けるケースも増加。

 

そして、医療・福祉以外の分野にも活躍の場は広がっている。 「一般企業の人事部などに所属して、『産業ソーシャルワーカー』として社員のメンタルヘルス対策に取り組む精神保健福祉士も増えていますね。また、学校ソーシャルワーカーとして、いじめや貧困で苦しんでいる子どもをサポートする例も目立ってきています」

 

社会的ニーズが高まっている福祉&心理の専門職「精神保健福祉士」

 

そのほか、これから精神保健福祉士に期待される役割として蔵野教授が挙げるのが、精神に病気や障害を抱えつつ罪を犯してしまった人たちのサポート。 「このような人たちは、刑務所などを出た後、行き場をなくしてしまう状況が続いていました。しかし、国も、各都道府県に地域生活定着支援センターを設け、このような人たちが福祉サービスを受けられるように支援に取り組み始めました。その中核を担うのも精神保健福祉士です」

 

社会的にも精神保健福祉士へのニーズは高まっている

 

今、国は精神に病気や障害を抱えた人たちのリハビリや社会復帰を支援する方向で法整備や制度作りを進めている。その背景には、うつ病や発達障害が社会的にもクローズアップされ、認知症患者も増加しているという事情もある。

 

精神保健福祉士に対するニーズは確実に高まっているといえるだろう。

 

では、精神保健福祉士にはどのような資質が求められるのだろう。

 

もちろん「困っている人の役に立ちたい」という気持ちは不可欠。

 

しかし、「優しい」だけではできない仕事だとも蔵野教授は指摘する。 「抽象的な言い方になりますが、『自分をしっかりともっていること』が大切です。自分自身が不安定な人は、困っている人を助けることに、つい自分が達成感や満足感を得ようとしてしまう。『自分ありき』になってしまいやすいんですね。しかし、精神保健福祉士の目的は、サポートする対象の人たちに自分自身の人生を生きてもらうこと。主役はあくまで彼らなのです」

 

困っている人たちの権利を守ることも大切な役割

 

社会的ニーズが高まっている福祉&心理の専門職「精神保健福祉士」

 

また、もう一つ重要なのが正義を貫く信念。今、社会は変わろうとしてはいるものの、まだまだ一部で差別や偏見は残っている。そこで、精神に病気や障害を抱えた人たちの権利を守る役割も精神保健福祉士は担っているのだ。 「彼らにはほかの人と同じように働き、教育を受け、医療サービスを受ける権利があります。しかし、自分自身ではそれを主張できないことも多い。だからこそ、私たち精神保健福祉士が、会社や学校、病院にアドバイスをしたり、交渉をしたり、ときには闘ったりすることで、彼らがもっている当然の権利を守っていかなければなりません」

このように、私たちが通常イメージする福祉職とは違った側面ももっている精神保健福祉士。決して簡単な仕事ではないが、だからこそ、やりがいも使命感も大きい。

 

興味をもった人は、さらに詳しく調べてみてはどうだろう。

 

●精神保健福祉士について、もっと知る

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