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会社で「必要とされる人」と「そうでない人」の差はどこにあるのか?ーーマンガ『エンゼルバンク』に学ぶビジネス

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会社で「必要とされる人」と「そうでない人」の差はどこにあるのか?ーーマンガ『エンゼルバンク』に学ぶビジネス

『プロフェッショナルサラリーマン(プレジデント社、小学館文庫)』『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」(日本経済新聞出版社)』等のベストセラー著者である俣野成敏さんに、ビジネスの視点で名作マンガを解説いただくコーナー。三田紀房先生の『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』の第1回目をご紹介します。

『エンゼルバンク』から学ぶ!【本日の一言】

こんにちは。俣野成敏です。

名作マンガは、ビジネス書に勝るとも劣らない、多くの示唆に富んでいます。ストーリーの面白さもさることながら、何気ないセリフの中にも、人生やビジネスについて深く考えさせられるものが少なくありません。そうした名作マンガの中から、私が特にオススメしたい一言をピックアップして解説することによって、その深い意味を味わっていただければ幸いです。今回シリーズとして取り上げた作品は「エンゼルバンク」です。

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©三田紀房/コルク

【本日の一言】

「人の価値もそうです。自分で決めるんじゃないんです。決めるのは相場なんですよ」(『エンゼルバンク ドラゴン桜外伝』第1巻 キャリア1より)

龍山高校の英語教師だった井野真々子(いのままこ)は、10年目にして仕事に飽きてしまい、転職を決意します。井野は、かつて一緒に働いていた弁護士の桜木建二(さくらぎけんじ)に相談。桜木は以前、経営破綻の危機にあった龍山高校で教鞭を取っていた時期があり、東大合格者を排出することによって当校を救った救世主でした。

井野から話を聞いた桜木は、転職エージェント会社の転職代理人・海老沢康生(えびさわやすお)を紹介。井野は海老沢の下でキャリアパートナーとして働くことになりますが・・・。

転職で失敗する理由とは「自分の相場を無視するから」

上記の場面は、桜木のビジネス塾で特別講師として招かれた海老沢が講演している場面です。海老沢は、「多くの人は自分の“相場”を意識せずに市場で取引してしまい、その結果、転職に失敗している」と話します。教師を辞めるべきかどうかで悩んでいた井野は、この話を聞いて衝撃を受けます。

後日、海老沢が勤める会社を訪ねた井野は、そこで思いがけず海老沢からスカウトされます。驚いた井野が「考えてみます」と答えると、すかさず海老沢は「これだけ転職が当たり前の世の中になっていても、成功率はたったの45%でしかない」と告げます。

二の句が継げないでいる井野に対して、海老沢は「たいていの人がうまくいかない理由は、会社ごとに『業務内容』『業績』『福利厚生』といった条件の比較だけで決めようとするからだ」と説くのでした。

「エンゼルバンク」とは何か?

ところで、そもそも相場とは何でしょうか?相場について説明するために、海老沢が例に挙げたのが“エンゼルバンク”です。

それは、海老沢が小学4年生の時のこと。ある日、友だちから「銀のエンゼルを1枚10円で売ってくれないか」と声をかけられます。当時、子供たちの間で流行っていたチョコボールのお菓子があり、箱の口に印刷されているエンゼルマークを集めて送るとおもちゃの缶詰めが当たる、というキャンペーンをやっていました。あなたも「金なら1枚、銀なら5枚でプレゼント」というコマーシャルを、見たことがあるかもしれません。

結局、銀のエンゼルを20円で友だちに売った海老沢は、これにヒントを得て翌日からエンゼルマークの売買を始めます。すると「自分で集めるより買ったほうが早い」「送るのは面倒だから他人に売りたい」という子供たちが集まってきて、やがて市場が形成されました。エンゼルは在庫次第で価格が上下し、相場が誕生。海老沢は自分の役割が銀行と同じだということに気づき、これを「エンゼルバンク」と名づけました。

売買がついに投機にまで発展した段階で、エンゼルバンクは先生の知るところとなり、閉鎖されます。しかしこの経験から、海老沢は「すべては相場で決まっている」ことを知りました。以来、海老沢は自分の中にエンゼルバンクを開設。自身の持つ知識・経験・技術などを商品と見なして市場での値動きを観察し、自分の価値をより高める方法を考え続けてきたのでした。

「自分がもっとも高く売れるところ」はどこなのか?

労働力を売る側、つまり転職をしたい側からすると、「自分が一番高く売れる場所を探す」というのは当然のことです。とはいえ、「条件で選ぶ」というやり方だけでは、失敗する可能性が高くなります。

だったら、どのようにして転職先を選べばいいのかと言うと、それは“相場が一番伸びているところ”、つまり「市場なり会社なりが伸びている」ということがポイントになります。要は「今ではなく、将来性を見る」ということです。

たいていの人は転職を考える際に、今までの経験を活かそうと、これまでと似たような仕事を選びます。しかし同じ業界・同じ業種を選んだ場合、今までと同じ市場内での勝負となりますから、基本的に相場自体は変わりません。そうなると、むしろ転職によって社内での蓄積がゼロに戻ってしまう分だけ不利になる可能性があります。

転職をする際は、必ず今いるところよりも相場が高いところに自分を売れるようにならないといけません。そういう意味では、その道のプロである「良いエージェントとタッグを組む」というのも一つの方法ではないかと思います。

条件よりも大切なものとは

これからの日本は少子高齢化が進むことは明らかであり、労働市場全体で見た場合、労働者に対する需要が高まることが予想されます。だからといって、無闇に転職することはオススメできません。

大事なことは、仕事を通じて学び続け、応用可能なスキルを身につけていくことです。これをポータブルスキル(持ち運びできるスキル)と言います。スキルとは、必ずしも何かの知識や資格のことばかりを指すのではありません。たとえば「顧客のニーズをつかむ力」「問題発見能力」なども立派なスキルであり、こうしたスキルであれば業界を問わずに使えます。

最大のポイントは、そのスキルを自分の体験談を通じて他人に説明できるかどうか。そして、その再現性に対する期待が転職時の評価となるのです。

転職を題材としたマンガですから、転職を切り口とした戦略性について語っていますが、この「上げ相場に乗る」ということは、何も転職に限ったことではありません。社内でのチャンスでも、独立起業でのチャレンジでも、同じく応用がきく考え方になりますので、ぜひ参考にしてみてください。

俣野成敏(またの・なるとし)

大学卒業後、シチズン時計(株)入社。リストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。31歳でアウトレット流通を社内起業。年商14億円企業に育てる。33歳でグループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらに40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任。『プロフェッショナルサラリーマン』(プレジデント社)と『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』(クロスメディア・パブリッシング)のシリーズが共に12万部を超えるベストセラーに。近著では『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』が12刷となっている。著作累計は35万部超。2012年に独立後は、ビジネスオーナーや投資家としての活動の傍ら、私塾『プロ研』を創設。マネースクール等を主宰する。メディア掲載実績多数。『ZUU online』『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも寄稿している。『まぐまぐ大賞2016』で1位(MONEY VOICE賞)を受賞。一般社団法人日本IFP協会金融教育顧問。

俣野成敏 公式サイト

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