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「ものごとを決めつけない。ゼロから1を生みたいから」――アソビシステム・中川悠介社長の発想術

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世界で知られるようになった日本の「KAWAII」カルチャー。ファッション・音楽・ライフスタイルが融合した独特の魅力を体現するアーティスト・きゃりーぱみゅぱみゅさんが所属しているアソビシステム株式会社は、東京・原宿を本拠地に、カルチャーの発信をビジネスとしている企業です。「イベント会社」「芸能事務所」「観光案内所」など、いくつもの顔を持つ同社の中川悠介社長に、第一線でカルチャーを見いだして育てる発想術を聞きました。f:id:k_kushida:20170830105349j:plain

中川 悠介(なかがわ・ゆうすけ)

1981年東京生まれ。大学在学中からイベント運営に携わり、2007年にアソビシステムを設立。「青文字系カルチャー」を見いだすなど、拠点とする東京・原宿からファッションや音楽、ライフスタイルに関連したカルチャーを発信し、所属アーティスト・きゃりーぱみゅぱみゅのワールドツアーを成功させたことで知られる。観光案内所「MOSHI MOSHI BOX」を原宿で運営し、内閣府「クールジャパン官民連携プラットフォーム」の構成員に加わるなど、インバウンド推進や日本の発信力強化にも取り組んでいる。

カルチャーは自由だ

―「ブームを作ることよりも、カルチャーを創る。」というモットーを掲げて、原宿発の「KAWAII」カルチャーを世界に発信しています。こうした活動を仕事にしようと、いつ思われたのですか。

もともとゼロから1をつくって発信したいという思いがあって、学生時代からイベントをしたり、イベントに参加するモデルをマネジメントしたりという中から、自然と今のような仕事になっていった感じです。新卒の時期にはいくつかの企業にエントリーしましたが、会社員の経験は1度もありません。

「自分たちのやり方でやるから存在価値がある」と考えていて、実際にできることを探していたんだと思います。原宿の街には中学時代から遊びに来ていて好きだったのですが、「裏原ブーム」でストリートファッションの発信地になっていたこともあって「何かを作り出せる場所」という可能性を感じていました。神宮前の交差点を通りかかる知り合いとしゃべっているうちに1日終わったということもありましたね。

―継続的なファッションや音楽関連のイベントを多くなさっています。「人の集まる場」を設けることで、一過性のブームがカルチャーとして定着するのですか。

よく言っていることなのですが、ビジネスで成功した人のインタビューに載っていることを決まったルールのように捉えて、その通りやるのが正しければ、今ごろ全員が成功しているはずですよね。そうじゃないんです。

僕は今まで、学生を集めたファッションショーや、火曜日が休みの美容師をターゲットにした月曜夜のクラブイベントなどで場を創ってきました。それが根付いたことでビジネスにもなったのですが、同時にバーやネイルサロンを経営し、原宿の観光案内所「MOSHI MOSHI BOX」の運営もしています。それぞれ別の事業ですが、カルチャーという意味では全部つながっている。人が集まる場を創るというのは、やっていることの1つで、そこだけにこだわってはいません。カルチャーは自由なものだと思います。なので「こうだ」と決めつけたくないんです。

―爆発的に拡大したきゃりーぱみゅぱみゅさんの人気は「創ろうとして創れたものではない」と著書の中で触れられています。

ええ。確かにきゃりーはYouTubeで一気に注目されだして、デビュー翌年に「紅白」へ出場した後、すぐワールドツアーに出ることを決めました。でも、当時の彼女がやったことを、今から真似してもうまくいかないと思います。「そのときには、そうなる速度だった」というのが正しい。きゃりー以外の誰かが、もっと早く世界進出すればよいということでは全然ないし、だから僕たちのところで活動しているアーティストも、1人ひとりが全然違うアプローチをしています。

比較よりも直感を

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―自分たちのやり方でカルチャーを創ることと、ビジネスとしての事情が対立することもあると思います。

ビジネスにはいろんな条件や制約が当然あります。タレントの仕事でもイベントでも多くの人が関わりますから、自分たちのアイデアをどの程度前面に出せるかは毎回変わってくる。既に何かを期待されていて、きちんとその通りにやるという場面も、もちろん出てきます。でもだからといって、周りの人たちのほうが正しいとか当たり前とか、決めつけて考える必要はないと思っています。

何かを否定するわけではないんです。既にある考え方や方法のアンチになるのではなくて「そういうやり方があってもいいけど、自分たちは違う」「自分たちにしかできないものを作っていれば、付いてきてもらえる」ということです。

「今はどういうやり方が主流か」「どうしてそうなっているのか」ということを、僕は普段から、ほとんど意識していません。「バブル景気のころと比べてどうか」といった、時代的な変化も考えないようにしています。たまたま僕の職業が、景気の影響をそれほど受けないということもありますが、どこか過去の時代と今を比べてみても、その時代を経験していない人には感覚が分かりません。だから、あまり役に立たないと思うんです。

新しい仕事のアイデアも、すでに話題になっているものを採り入れるのではなく、街を歩いたりしながら僕が気づいたことや、スタッフのみんなが出してきたものといった、個人ベースの直感を出発点にしています。「何か面白いことしてよ」と頼まれたとき、自分たちが楽しいことを、きちんと作れるのが大事なのです。

「早い者勝ち」の世界

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―前例のないことに取り組むかどうかを、どうやって決めていますか。

僕の仕事では、何をすれば人が集まるか、誰が人気になるかはほとんど予想できないし、こうすれば成功するという決まった方法もありません。本当に、まったく新しいことをするときは参考になるデータもないですから、周囲の人にアイデアを話して、反応を確かめる程度。最後は、自分の直感で判断して「やる」「やらない」を決断します。どんなスケールの大きい仕事でもそう。失敗することもありますけどね。

―とても勇気がいりそうですね。

自分たちを売り込んでいくという意味でも、やはり真似をするのではなく「ゼロから1を作る」ことが重要だと思います。特に最初のうちは、そうでないとなかなか認めてもらえません。ベンチャー企業にしても多くの投資を集めている会社は、よそがやっていないことにチャレンジしているはずです。

ゼロから1を作るのは「早い者勝ち」なんですよ。誰もやっていないことを最初にやるという意味でもそうだし、新しいものを作ってしまえば、後はいろんな人が広めてくれます。それに、ゼロを1にした次のステップ、1を10にしていく作業が得意な人はたくさんいるので、自分たちでやるのが難しければ、そこはお願いすることもできるんです。

―ゼロから1を生みだそうと模索している若いビジネスパーソンに何かアドバイスするとしたら、どんなことを伝えますか。

いまの仕事が好きで打ち込んでいる人はよいですが、働くことに不安を抱えている人や、できるだけ働きたくない人、働くこと自体が嫌な人もいると思います。でも、それならそれで、とりあえずは構わないのではないでしょうか。自分を誰かと比べて「こうあるべき」と考えないことが、まず大事。そう思います。

【参考図書】

『#アソビ主義』

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著者:中川悠介

出版社:マガジンハウス

WRITING/PHOTO:相馬大輔

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